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好機

 父親がとある事情で入院してしまったので、彼女達は偶然正が入院した病院にたまたま居たのである。


「妹よ、私は哀しい。

 自分の父親が『痔』でよもや入院するとは‥。」


 姉の紅羽がわざとらしく泣き真似をしながら父親のベッドに倒れ込む。


「お姉ちゃん、あんまり『痔』って大きな声で言わないで。

 恥ずかしいから。」


 妹の乙羽は本心で恥ずかしいようだ。


 そんな娘たちを見て父親は怒りだす。


「大きな声を出すなよ!

 お父さんだって恥ずかしいんだから!」


 父親もまさか『痔』で入院することになるとは思っていなかったのでショックのようだ。


「ん?

 そういえばお母さんはどうした?

 何で一緒じゃないんだ?」


 居ると思っていた母親がいないことに父親は不思議がる。


「お母さん、一緒じゃないよ。

 『痔』が恥ずかしくて病院には来られないって。」


 娘から真実を告げられてショックを受けていた。


 娘たちとそんなやり取りをしていると看護師の女性がやってくる。


「永野さん、体調はどうですか?」


 若いが優しそうな女性だ。


「だ、大丈夫です!」


 父親は相手が若い女性のせいなのか、かなり緊張している様子だ。


「お父さん、痛いなら看護師さんに『痔』の薬でも塗ってもらったら?」


 姉の紅羽が『痔』を強調して話しかける。


「おい、紅羽!」


 強調された事がわかったのか父親は怒っている。


「ふふふ

 皆さん、仲が良くて羨ましいです。」


 看護師の言葉に満更でもない3人は笑顔になるのであった。


*    *    *    *


 お見舞いを終わらせた2人は父親に別れの挨拶を済ませると病室を後にする。


 2人してエレベーターを待っていると姉が突然振り返った。


 姉の変な動きには慣れた妹は慌てることもなく話しかけてくる。


「お姉ちゃん、どうしたの?

 幽霊でも見た?」


 たまに幽霊や妖精を見たと騒ぎだす姉に慣れているのか、どこか冷めた反応だ。


「いや、幽霊じゃないけど‥

 あの女の気配を感じた。」


 紅羽はキョロキョロ辺りを見回す。


「ビンゴ!」


 突然、大声を上げる紅羽。


 この時、正のお見舞いに来ていた茜を偶然双子が見つけてしまうのであった。

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