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疎外感

 朝からずっとイライラしていた。


 目の前で好きな男が他の女にキスをされたからだ。

 あっ、1人男がいたけど‥。

 ってか、オレは男に負けたのか。


 あームカつく。


 モブの双子に先を越され‥

 男に先を越され‥

 ギャルにまで先を越されて‥


 あとキスをしていないのはハーフとザコ幼馴染とオレ。


 イヤイヤイヤ、この面子に負けたら生きていられないかも。


 その後ずっとイライラしながら過ごして、学校終わりに正に声をかけたかったがタイミングを逃してしまい1人で帰宅していた。


*    *    *    *


 ムシャクシャしていたので真っ直ぐ帰宅することなく、駅前をブラブラしているとカラオケボックスから出てくる正を見かける。

 チャンス!と思い声をかけようとすると後からハーフが現れたので物陰に隠れた。


「あいつら、カラオケに行ってたのか‥。」


 オレが誘うつもりだったのに‥。


ギリッ


 悔しくて歯を食いしばる。


「あっ!」


 ハーフが去り際に正の頬にキスをしているのを見て、思わず声がもれてしまう。


 ハーフは顔を赤くして走り去ってしまう。


 残された正はキスをされた頬を触っていた。


ズキッ


 その仕草を見て心が痛んだ。


「クッ!

 ここで勇気を出さないでどうする!」


 オレは不甲斐ない自分を奮い立たせる為、頬を叩いて気合いを入れる。


「正!」


 周りの人間なんかどうでもいい!

 オレは大声で正を呼ぶ。


 名前を叫ばれた正はビックリしてようだが、すぐにオレだとわかると走って向かってくる。


ドキッ


 他愛のない事だが、笑顔で向かってくる正にときめいてしまう。


ドックン


 心臓が高鳴る。


 正が何かを言おうとするが、聞いちゃいられない。


 オレは正の胸ぐらを掴むと路地裏に連れていく。


バーン!


 正を壁に押し付ける。


 さぁ、準備は整った。


 後は頬にキスをするだけ。


ドックン

ドックン

ドックン

ドックン

ドックン

ドックン


 ヤバい、心臓が爆発しそうだ。


 って、正が不安そうな顔で見つめてくる。


 そんな顔するなよ‥。


 ほら、早く横を向けよ。


 じゃないと頬にキス出来ないだろう。


 あ〜もう‥


 オレは正の顎をクイッとする。


 ん?

 こ、これってキスのチャンスでは!!


 よく考えたら他の奴らが頬にしていたからオレも頬にしないといけないと思い込んでいた。


ゴクッ


 オレは唾を飲み込むと、覚悟を込める。


 少しずつ正の唇にオレの唇を近づける。


 あっ、でも‥

 もし正がオレの事を嫌いだったらどうするんだ。

 嫌いな奴にキスされたら正が傷つくかも‥。


 あと数センチで唇が触れ合うのにオレは躊躇してしまう。


 正が困った顔をしている。


 どうする?

 やめるか?


 そんな風に悩んでいると正が口を開いた。


「あ〜、もう焦ったい!」


 正はそう言うとオレの頭を掴むと、キスをしてくる。


 オレはビックリして目を見開く。


 さらに正の舌がオレの口の中にはいってくる。


 駄目だ、力が抜ける。


 オレが倒れ込むのを正が支えてくれる。


 キスはまだ続いている。


 あ〜気持ち良すぎておかしくなりそう。


 かなり長い時間、キスをしていたがやっと正が唇を離してくれた。


「大丈夫?」


 正が心配そうに声をかけてくれる。


 大丈夫なわけないだろ?

 

「腰が抜けた‥。」


 オレは正のキスで腰が抜けてしまった。


 その後、どうやって家に帰り着いたのか全然覚えていなかったが気がついたら自分の部屋にいた。


 一瞬、正とのキスは夢じゃないかと思ったが、自分の唇を触るとキスをし過ぎて少し腫れているのがわかった。


 オレは薬用リップを唇に塗りながら、正とのキスを思いだすのであった。

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