呼び出し2
荒れ狂う朝日奈茜をいとも簡単に宥めてしまう高橋美羽に警戒心を強める。
高橋美羽
朝日奈茜の陰に隠れて目立っていないが、学年2位の頭脳である。
朝日奈茜と仲が良いとは3年生の先生方から聞いてはいたが、ここまで仲が良いとは‥。
その高橋美羽が穏やかな顔で私を見てくる。
朝日奈茜が喜怒哀楽がハッキリしているのに対して、高橋美羽はどこか感情が読み取れない。
ゲームや物語に出てくるキャラと考えるなら厄介なタイプだろう。
「下手な駆け引きは時間の無駄なので単刀直入に聴きます。
先生は朝日奈正の事が好きなのですか?
あっ、この聴き方だと逃げられそうなので言い方を変えます。
先生は朝日奈正に好意を持っていますか?」
『クッ、なんて上手い聴き方だ。
ここで好意がないと答えると、好意のない相手にキスする人間だと思われてしまう。それは悪手だ。』
「こ、好意を持っています。」
私の答えに高橋美羽の表情が少し柔らかくなったように見える。
「先生って、処女ですか?」
高橋美羽がいきなりぶっ込んでくる。
「なっ、何ですかいきなり!」
驚きと恥ずかしさに動揺してしまう。
「その反応‥
処女なんですね。」
私がまだ答えていないのに高橋美羽は勝手に納得してしまう。
「し、処女とは言ってませんが!」
本当は処女だが、ここで認めてしまうと負けたような気がして嘘をつく。
「プッ
そんなに顔を紅くしてるのに‥
まぁまぁ、別に処女が悪いわけではないですから。
ちなみに私も茜も処女ですよ。
ほら、皆んな同じです。」
高橋美羽に笑われて一瞬ムカついたが、美人でモテる2人が処女だと聞くと少しだけホッとする自分がいた。
「今、私達が処女と聞いて安心しました?
先生、可愛いですね。」
完全に高橋美羽に心を見透かされていた。
ヤバい、コイツ苦手かも‥。
高橋美羽に主導権を握られてしまった。




