挑戦
「お、お姉ちゃん!
ホームルームが始まったよ!」
妹の永野乙羽が姉にすがりつく。
「クソッ!
あの腐れ教師が!
この状況を無視するとは‥
この世に神はいないのか!」
姉の永野紅羽が妹を庇いつつ、敵と対峙していた。
「抜け駆けするってどういう事?」
橘樹が笑いながら永野紅羽に詰め寄る。
「これには深い訳が‥
ほら!アメリカン的な挨拶だよ!」
永野紅羽が必死に弁明する。
「アメリカにそんな挨拶はない。
それに頬にキスするのではなく、頬に近づいて音を鳴らするのが一般的だ!」
アメリカ人を親に持つ黒千が永野紅羽の嘘を見抜く。
「ね〜、もう何でもありなら私本気だすよ。
頬とか生ぬるい。
もうベロチューよ!」
ギャルの岩田渚が横で悔しがる。
「そんな事させるわけないでしょ!」
ギャルの発言には朝日奈茜が反応する。
「幼馴染より先にするとか、良くないと思うよ。」
あまり争い事が好きではない坂田十和が珍しく怒っていた。
「十和ちゃん、幼馴染は関係ないと思うけど‥。
もう幼馴染マウントはやめた方がいいよ。
全然有利に働かないから‥。」
二葉沙月が坂田十和を注意する。
「高校生でキスはちょっと早くないか?」
風間慈愛那が1人だけ別の次元にいた。
「ピュアかよ!」
風間慈愛那の発言にちゃんとツッコミを入れる永野紅羽だった。
「とにかく、アンタら2人は死になさい!」
突然、暴論を口にしだす朝日奈茜。
「罪が重!」
朝日奈茜にビビりながらも突っ込む事を忘れない永野紅羽。
「そもそも、好きな男の子とキスをして何が悪い!!
キスって愛情表現だろ?
はん!
お前ら、ビビってキスも出来ないからって私に当たるなよ。
ザコが!」
永野紅羽が囲むメンバーを挑発する。
「お姉ちゃん、それは悪手だよ!」
妹の乙羽には嫌な予感がしていた。
「ビビるわけないじゃん。」
それが誘いだとわかっていても、自分より下に見ている紅羽に煽られて橘樹は怒っていた。
「正、ちょっと。」
橘樹が先生の話を真剣に聞く正に声をかける。
後ろの争いには参加しないように考えていた正は急にお呼びがかかって驚く。
橘樹は正に近づくと頬に軽くキスをする。
まさかキスをされるとは思っていなかった正は目を見開いて驚いた。
素早くキスをして橘樹は永野姉妹の前に何事もなかったかのように戻った。
本人は澄ました顔のつもりだが、顔は信じられない程紅くなっていた。
この時、二葉沙月と永野乙羽は朝日奈茜が一瞬笑ったのを見逃さなかった。
『『止められたのにあえて見逃した!?
しかも笑うって‥』』
橘樹をあえて泳がせた朝比奈茜に恐怖を覚えるのであった。
* * * *
『丁度いいわ。
この際だから、私たちがラブラブなのをコイツらに見せつけてあげる。
頬にキスして顔を赤くするとか‥
私は口に349回、頬なら6936回してるんだからね。
記念すべき350回目はコイツらの前で‥。』
朝日奈茜は覚悟を決める。




