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姉と弟3

 大木にぶつかる事で崖からの転落は免れたが、正は無傷ではなく身体中に切り傷や擦り傷、手の指を2本骨折していた。

 父親と近くにいた登山客の救助によって助け出されるとすぐに病院に連れて行くと検査の為入院することに。

 この時から自分の身代わりで正が怪我した事を茜はずっと後悔していたのだ。


*    *    *    *


 茜は正の髪をかき分けると、その時負った傷を指先で触りながら問いかける。


「どうしてあの時、お姉ちゃんを助けてくれたの?

 下手をしたら正、死んでたよ?」


 茜が真剣な表情で正を見つめる。


「俺たちは家族なんだ。

 助けるのは当たり前だよ。

 あの時、姉ちゃんが落ちていくのを見た瞬間、考えるより先に身体が動いてた。

 俺はあの時、お姉ちゃんを助けられて本当に良かったと思ってる。」


 正の言葉に茜の目に涙が浮かべる。


「実は今だから言うけど‥

 助けてくれた登山者のおじさんの話だと、俺が指を折りながら落ちていく角度を変えたから助かったって。

 だからあのまま、姉ちゃんが落ちてたら大怪我もしくは死んでたかも‥。

 心底、姉ちゃんを助けられて良かっ‥」


 正は最後まで話す事は出来なかった。


 何故なら茜のキスによって口を塞がれたからだ。


 正はパニクる。


 実の姉にキスをされたから。

 さらにこのキスが自分にとってのファーストキスなのだから。

 しかも軽いキスではない。

 茜の舌が歯をこじ開けて口の中に侵入すると、激しく動かして正を蹂躙する。


 茜の舌が動いてる時、正は何も出来なかった。

 長く続くキスの中、固まっていた。


 5分を過ぎた時、やっと茜が唇を離してくれる。

 もう2人とも口のまわりは唾液でベトベトしていた。

 

 茜が唇をかるく舐める。

 その仕草がとてもいやらしく思えた。


 姉弟でしたキスの罪悪感とファーストキスの感動が入り混じり、何も言葉が出てこない。


 それでも罪悪感がわずかに勝ったのか言葉を絞りだす。


「俺にとってファーストキスだったけど姉弟だからノーカンだよね?」


 この時、余裕のない正は姉がどういう想いでキスをしてきたのかを考えない気の利かない言葉が口にする。


 それに対する茜の答えは‥


「ディープキスはカウントされるの‥。

 ちなみに私はこのキスで348回目。

 もちろん正以外とした事はないよ。

 どういう意味かわかる?」


 茜の笑みが妖艶に感じた。


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