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兄と弟1

 夕食後、お風呂に入って部屋で寛いでいると扉がノックされる。

 また姉貴が無茶な事を言いに来たのかと身構えていると、弟の正が入ってきた。

 こうやって正から尋ねてくる時は悩みがある事が多いので姿勢を正して聞く体制を整えておく。


「あのさぁ、ちょっと相談があるんだけど‥。」


 やっぱり相談だった。


「おう!俺でよければ何でも聞くぞ!」


 ここは茶化したりはしない。


「実は‥

 周りの生徒の距離が近いんだ。

 ハーフの鉄千って子はハグをしてきたり、時には膝の上に座ってきたりするんだ。

 さすがに膝の上に座られるのは恥ずかしいって伝えたけど、外国では当たり前の事だから気にするなって‥。」


『いやいや、何処の外国の話?

 そんな習慣聞いた事ないけど。

 どちらかというと夜のお店の話じゃないの?

 ちなみに正以外の男の子に同じ事をするのか聞きたいが‥。』


「他にも晶も知ってる樹がずっと腕に抱きついてくるし‥。

 樹が抱きつくと渚って子が逆の腕に抱きつくんだ。」


『おいおい、何ですかそのハーレム展開は!!

 正、モテモテじゃないですか!!

 もしかして、自分がモテてる事に気がついてないとか??』


「正的にはどうなんだ?

 嫌なら嫌と伝えた方がいいぞ。」


 ここは真面目に応えておこう。


「嫌じゃないけど‥

 もしかして、皆んな俺の事好きなのかなぁ?」


『おっ!どこかの漫画に出てくるような鈍感系主人公ではないんだ。

 ちゃんと相手の好意に気がついて、お兄ちゃんはそれだけで嬉しいよ。

 うんうん、正も大人になってるんだね。 

 よし、ここは俺が背中を押してやるか!』


「普通に考えたら好きなんだと思うよ。

 モテ期到来か?」


 ちょっと茶化してみる。


「ねぇ、どうしたらいい?

 どうしたら皆んなを幸せな出来るかな?」


『ん?

 俺の聞き間違いか?

 今、皆んなを幸せにするって言った?

 まさかね‥。』


「ごめん、お兄ちゃん耳が悪いかも。

 もう一度言ってくれない?」


「大丈夫?

 もう一度言えばいいの?

 だから、どうすれば皆んなを幸せに出来る?」


『どうやら、聞き間違いではなさそうだ。』


「別に皆んなを幸せにしなくてもいいだろ?

 皆んなの中から1人を選べばいいし。」


 俺の言葉に正が驚いてみせる。


「え?

 1人を選ぶ??

 全員攻略するじゃないの??」


 一瞬冗談でも言っているのかと思ったが、正の顔は真剣であった。

 


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