密談2
坂田十和が発起人として同じ目的の仲間を集めた事になっているが、実際は親友の二葉沙月の入れ知恵であった。
「どう逆立ちしてもお姉さんがいる限り、私達に勝ち目はないよ。
こうなったら仲間を集めよう!」
坂田十和は考える事が苦手なので二葉沙月に全てを委ねている。
放課後の1年3組の教室に残った生徒は5名である。
1人目と2人目は発起人の坂田十和と二葉沙月。
3人目が永野紅羽。
4人目が永野乙羽。
そして最後の1人が風間慈愛那であった。
「まさか、彼女が残ってくれるとは‥。」
発起人である坂田十和と二葉沙月はヤンキーに少しビビっていた。
「もう!お姉ちゃんが忘れ物するから巻き込まれたじゃん!」
「だって、いまさら抜けられそうにないじゃん!」
永野姉妹が小声で言い争っている。
そして‥
「あ〜ミスったな。
朝日奈茜に対抗するって言うから喜んで残ってみたが、まさかメンツがここまで酷いとはな。
残念幼馴染にガッツ姉妹とか終わってる。」
風間慈愛那がこの場に残った事を後悔していた。
* * * *
「それでは、話し合いを始めたいと思います。
この場に居るということは全員が朝日奈正に好意があって、朝日奈茜を脅威に感じているであってますね?」
坂田十和が当てにならないので二葉沙月が話し合いを進行していた。
二葉沙月の言葉に永野姉妹が頷く。
それを見た二葉沙月はもう1人の参加者の顔を見る。
「え?
好意!?
いやぁ、別に嫌いではないけど‥。」
ヤンキーが照れていた。
『うわぁ〜、ヤンキーが照れてるよ。
何か小学生が1人混じってる感じ。』
二葉沙月は心の中で失礼な事を思っていた。
時間がもったいないので照れるテンキーは無視して話を進めようとするが、思わぬ邪魔が入る。
「貴女も正くんが好きなの?」
姉か妹か区別がつかないが、永野姉妹のどっちかが質問をしてくる。
え?
私が正くんを好きか?
別に嫌いではないけど、特別好きというわけでは‥。
何でこんな事を聞いてくるのだろう。
不思議に思っていると十和が耳打ちしてくる。
「沙月ちゃん、さっき『この場に居るということは全員が朝日奈正に好意があって』って言ってたよ。
そっかぁ〜、沙月ちゃんも本当は好きだったんだ。
エヘヘ、仲間だね。」
司会進行は別じゃん!と思いながらも、下手に否定して円滑に進まなくなる事を危惧し、静かに頷くのであった。




