表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

146/155

負けられない女の戦い2

 樹の立候補が可能になっただけなのに、教室にはリレーのパートナーに決まってしまったかのような空気が流れはじめる。

もちろん、そんな事を易々と許すはずもなく‥。



「ちょっと、何にパートナーに決まったような顔してるの?

 ただ、立候補しただけでしょ?」



 十和が大きめの声を出して樹を牽制する。



「えー、ここはボクになる流れじゃない?

 坂田さんは無粋だね。」



 樹は穏やかな口調で十和を睨みつけ、十和もお返しとばかりにそれに答える。



 二人がバチバチと火花を散らしていると、今度は別の人物を口を開く。



「先生!

 立候補している中で一番足が速いのは私だよ。

 もう私でいいじゃん!」



 慈愛那は余裕の笑みを浮かべながら立ち上がると自己主張を始める。



「確かに、一番速い人でよくない?」

「他の競技も決めないといけないし、速い人でいいよ。」



 クラスの中に賛同する者がちらほら出てくるのを見て、慈愛那は勝ちを確信し拳を握りしめる。



 だが、この戦いはそんなに簡単ではなかった。



「先生!!

 勝つことがそんなに大事ですか?」

「お姉ちゃん!?」



 永野紅羽が突然口を開いたので、妹の乙羽がビックリしてしまう。



「先生はクラス対抗リレーの目的を知ってますか?

 そう!答えは走り切る事です。」



 紅羽はゆっくりと立ち上がると、先生の回答を待たずして語り始める。



「足が速ければ良いわけではない。

 たとえ足が遅くても、出場する事に意味があるのです。

 先生はオリンピックの精神を思い出して下さい!」

「お姉ちゃん、オリンピックは関係ないと思うよ。」



 乙羽の言葉は姉には届いていない。



「勝ち負けなんて関係ない。

 走る事に意味があるのです!」




 「いや、対抗戦だから関係あるよね?」と皆んなが思ったのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ