鬼
「では、叶先生と瀬尾先生。
説明してくれますか?」
私と小夜香の目の前には鬼が立っていた。
目はまるで汚いモノを見るような感じで、ずっと殺気を放っている。
ちなみに何でこんな状況になったかと言うと‥
* * * *
扉を破壊して保健室に飛び込んできた朝日奈さんに私は確保された。
朝日奈さんは一目で状況を察してか、騒ぎを大きくせずテキパキと処理を進める。
「ごめん。
ちょっとすぐに来れる?」
朝日奈さんは誰かに連絡を取ると、その人物はすぐにやってくる。
「茜、大丈夫?」
高橋美羽さんだった。
「私は大丈夫だけど、正がね。
何か媚薬を盛られたみたいで。」
ギロッ
朝日奈さんの目が私を非難するように睨みつける。
「媚薬!?
それ本当の話??
って、盛られたって‥」
高橋さんの目は朝日奈さんの視線の先を追って、私に行き着く。
ギロッ
今度は高橋さんが私を睨みつける。
「詳しい内容は後で聴くことにして‥
とりあえずは私が壊した扉をどうするか‥」
「扉は私の方で何とかする。
茜は正くんと家に戻って。
正くん、苦しそうだから早く楽にしてあげて‥。」
ん?
楽にしてあげるって姉弟だよね?
私は朝日奈さんと高橋さんの会話に疑問を持つ。
ギロッ
ギロッ
朝日奈さんと高橋さんに睨まれる。
それはまるで「余計な詮索はするな!」的な睨みであった。




