兄の苦悩2
「キス!?」
私が叫んでしまった事で、通学中の生徒の視線が私達に集まってしまう。
ギロッ
晶くんが睨みつけて注目しないようにするが、それは逆効果であった。
ザワザワ
結構な数の生徒が騒ぎ出してしまう。
「晶くん、行こう!」
私は晶くんの手を引いて、その場を後にする。
* * * *
「ハァハァハァ‥」
結局、下駄箱までダッシュしたので息があがってしまった。
「栞里、大丈夫か?」
晶くんが背中を摩りながら心配してくれる。こういう何気ない優しさが晶くんを好きな理由の一つなのだ。
「だ、大丈夫。
それより、大声出してごめんね。
私が叫んだから‥」
私は晶くんに謝る。
晶くんが私を守る為に他の生徒を睨んだりして、また評判を下げさせてしまったからだ。
「別に栞里は悪くない。
俺が朝から変な事を言って驚かせてしまったのが悪い。」
晶くんが私に頭を下げてくる。
こうなってくると自分が悪いと譲らなくなる2人である。
「じゃぁ、2人とも悪いという事で‥」
どちらも悪くないと言うと晶くんが気にしてしまうので、あえて両方が悪いとしておく。
「まぁ
俺たち2人ではなく、正と姉貴が悪いんだけどな‥」
晶くんが険しい顔をしながら2人の名前を出してくる。
それを聞いた私は2人のキスの事を思い出して顔を紅くするのであった。