7.本田! お前かっ!
博子と純子が合流してきたところで、再び真野鶴の登場だ。本田はすかさず女性陣に真野鶴を振舞う。
「いい香り」
小野寺は北秋田のかすみ酒を開ける。薄ピンク色の瓶に入った淡いにごり酒だ。梶浦が早速、それを貰おうとして空けたグラスに本田が真野鶴を流し込む。
「ちょい! そっちを貰おうとしたのに」
「まあ、いいじゃないか。どうせ、まだ飲めるでしょう」
そして、柳瀬にも進める。柳瀬はそれを遠慮して立ち上がる。すると、おはぎを出してきた。それを切り分けてみんなに配る。おはぎと一緒に買って来たみかんもここぞとばかりに。
「いやいや、おはぎはいいかな…」
それでも、強制的に目の前に置かれる。強引だ。おはぎもみかんもここで出すか! いや、普通はここじゃないぞ。
「これも食べてよ」
そう言って、今度は朝買って来た、あたりめを示す。これは新幹線でのつまみで買って来たやつだ。そして、すごく硬いやつだ。
そうやって宴も盛り上がって、気が付くと既に日付が変わっていた。
「そろそろお開きにしようか」
こうして仙台1日目が終わる。
翌日、柳瀬は朝一番で風呂に行った。朝食は7時から。それまではゆっくりしていればいい。けれど、みんな早くに目を覚ます。旅行の時はなぜか無駄に早く目が覚めるのはなぜだろう。ぼーっとしている間に7時になった。
朝食はバイキングだ。各々列に並んで好きなものをトレーに乗せていく。それが間違いの元だった。先に席を確保しておくべきだったのだ。
梶浦と小野寺は先に席に着いてみんなが来るのを待っていた。ところがいつになっても誰も来ない。
「なんだ? 誰も来ねえな」
本田と柳瀬はちょうど6人用のテーブルが空いていたのでそこをキープした。あとからやってきた女性陣もそこに合流した。
「梶浦さんと小野寺さん、来ないね」
結局、二人と四人は別々に朝食を終えた。
朝食を終えると身支度を整え、ロビーに降りた。それから売店で買い物をしてチェックアウトの手続きをする。その後、ホテル前で集合写真を撮ってもらうことにした。ホテルの名前が入った看板の前で。
「そこだと看板の字が隠れてしまいますよ」
そう言われたのにもかかわらず…。あとで写真を確認すると、看板の文字に被っているのは…。本田! お前かっ!
それから荷物を一旦フロントに預けて再びさいちへ。小野寺は駐車場まで車を取りに行った。さいちはホテルから歩いて1分。
「こんなに近かったんだね」
さいちに着くと既に並んでいる客が居た。目当てはおはぎだ。駐車場に車を取りに行った小野寺とおはぎは買わない梶浦以外の4人は列の後ろに並ぶ。開店時間になる頃にはかなり行列が長くなっていた。小野寺が車でさいちに着くと、二人は車で待つことにした。
買い物が終わり4人が車に戻って来た。
「これ、サービス」
そう言って本田が並んでいなかった二人の分もおはぎを買って来た。心優しい本田だった。看板の文字に被っていなければ、もっとポイントが高かったに違いない。残念!
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