1.私、年女になったの
始まりはグループラインでの年始挨拶のやり取りだった。
『今年は年女。気合い入れて楽しみたいと思いますので宜しくお願いいたします』
真崎博子からのコメント。これに対して柳本純子の返信。
『真崎さんおめでとうございます。盛大にお祝いしましょう』
そのやり取りに対して梶浦敏生が提案した。
『4月22日が真崎さんの誕生日だから何か企画しましょうか?』
『それなら季節も良い時なので、みんなで温泉でも行けたら楽しそうですね』
博子がそう返すと、温泉旅行の計画が加速した。
『その頃なら埼玉に居ます。時間だけは自由ですので何処の温泉でも大賛成です』
仕事を引退して悠々自適の生活を送っている本田道夫は自宅がある埼玉と実家がある佐渡を行ったり来たりの生活をしている。今は佐渡に居るのだけれど、4月には埼玉に戻っているからと温泉計画に賛同した。
『え~! ヤバいなぁ…。5月に丹沢でイベントがあって、その後は浜松なんだけど4月末だと日程が近すぎて…』
そう言って来たのは、こちらも仕事を引退して現在は実家の秋田で暮らしている小野寺亨。秋田に戻る前は奥さんの実家である浜松で暮らしていた。5月の連休にはそちらへ行くことになっているのだと言う。
『4月の初めくらいならどうでしょう?』
『それくらいの時期なら、全然大丈夫です』
4月の初めということで、1日~2日か8日~9日のどちらかでの選択になる。人によっては1日~2日だと年度初めの行事や決算の事務処理などで予定が立たない可能性もあり、8日~9日で決行することになった。
『私も参加します』
このタイミングでコメントを送って来たのは柳瀬修治。これで全員の確認が取れた。その日程で博子も小野寺も本田も純子も異論はないとのことだった。あとはどこへ行くかを決めることになり、梶浦は秋田に居る小野寺のことを考慮して聞いてみた。
『秋田にいい温泉ありますか?』
『秋田は温泉だらけだけど、福島の裏磐梯とか栃木の那須。日光方面とかなら車でビューンです』
『じゃあ、小野っちゃんが車でビューンって行けるところにしましょう』