第30項 「怪獣好き、 再び向かう」
夜の平原を馬車が進んでいる。
昨夜と全く同じ光景だ。
違うとすればラッキーの口数が減った事だろうか。
それもその筈だ。
あの時ラッキーが知識を語っていたのは、 己の有能性を売り込む為だった。
まぁ本当の売り込みはその後だった訳だが。
何にせよ、 それを知らしめた今の彼にその必要はない。
代わりにラッキーは俺を見ていた。
今夜品定めされるのは俺の方だ。
その為に俺たちはアンデッドの所に向かってるんだ。
◇◆◇
ハグレの正体には本当に衝撃だった。
まさか、 傷が似合う凛々しい顔立ちの女性だったとは。
まぁ本当の正体は傷だらけのスライムなんだが。
何にせよ驚いたのは本当だ。
しかも俺はその姿に見惚れていた。
前世ではまともに恋愛なんか経験した事がない。
もしかするとあれが一目惚れというやつかもしれない。
だが勘違いはしない。
俺がそう感じたのは、 あくまでハグレが魔物だからだ。
人間にまで変身出来るその生態に興味が湧いたからだ。
もっと知りたくなったからだ。
恋愛とは、 相手を知りたいと思うところから始まるという。
その点から考えると恋なのかもしれない。
んな訳ない。
流石に魔物に恋はしない、 筈だ。
その証拠に、
ハグレへの衝撃はすぐに頭の隅に追いやられた。
もっと好きな事に頭を支配されていたからだ。
ハグレと別れ、 宿屋に戻る。
するとちょうど酒場で二人が食事をしてる所だった。
二人だけでいるのは珍しいと思ったが、 そう言えばこの後今後について話す予定だったのを思い出す。
さっきまで覚えていたのにな。
それ程までに気持ちが急いているのだろう。
入口から入った勢いのまま俺も席に着く。
二人は俺の様子を見て少し困惑する。
まるで腹の減った犬を見るような目をしていた。
ラッキーが自分の食事を少し引いたのが印象的だった。
取らないから。 食わないから。
「もう一度アンデッドに会いに行きたい」
しかし腹は減っていたので飯を注文し、
これまたそのままの勢いでそう宣言した。
顔を見合わせる二人。
しかし何となく予想していたのか、
やれやれといった感じで溜め息をつくぐらいで驚いてはいなかった。
いつの間にそんなに仲良くなったんだ。
しかし何故予想出来たのだろう。
レナが何か言ったのだろうか。
まぁ何にせよ話が早くて助かる。
飯を食ったら打ち合わせをして準備に取り掛かろう。
そう考えながら早くもやってきた飯をかっこんだのだが、
流石にそうは簡単にはいかなかった。
「一体なんの為に? 」
当然の疑問をぶつけてきたのはラッキーだ。
そりゃそう思うだろう。
アンデッドと戦ったのは、
あくまでラッキーが自分を売り込む為のものだった。
同時に戦闘の連携を確かめる意味もあった。
それらは昨晩の戦いで十分に成果を上げたと言えよう。
だったら今更アンデッドと戦い意味がないのだ。
この世界の人間がいくら魔物を嫌っているとはいえ、
わざわざ自分から戦いに行こうとは思わないだろう。
いくら塩で簡単に倒せるとはいえだ。
だからラッキーの疑問は当然だろう。
「それは、 俺のわがままでしかないんだけど......」
正直、 俺はその正当性を納得させられるものを持っていない。
だから正直に話す事にした。
俺が魔物図鑑に書きたいのは倒し方だけじゃない事。
もっとアンデッドを知る必要がある事。
その為にヤツらにもう一度会いたい事。
包み隠さず話した。
それはもう、 心の底から。
熱弁に熱弁を重ねた。
レナは呆れて頭を抱えている。
「いつかこういう事があるんじゃないかと思ってた」と言わんばかりに。
対してラッキーは苦笑しながらも楽しそうに聞いていた。
そしてこう放つ。
「君! 本当に面白いなぁ! 出会えた俺はやっぱりツイてるよぉ! 」
どうやら彼には好印象のようだ。
まぁこれはある程度想定済みだ。
勿論、 アンデッドを調べたいからまた会いたいというのは本心だが、
こんな常識外れな事を言えば食いついてくると思っていたからな。
なんせコイツは、
常識を知り、 そのつまらなさに刺激を求めてる男だ。
乗ってこない筈がない。
「まぁいいよ! 頭である君がそうしたいならそうすればいいじゃん! 」
そして思った通り、 ラッキーは承諾してくれた。
レナは納得してないようだったが、
また槍尻尾の練習が出来るからと伝えると渋々受け入れてくれた。
少し頬を綻ばせんがら。
案外チョロいのかもしれない。
ここまでは概ね予想通りの流れだった。
しかしここで予想外の事が起こる。
それはラッキーの発言だった。
「でも普通にお願いを聞くのも面白くないからさ、 一つ勝負をしようか」
流石は刺激を求める男だ。
俺以上に発想が飛んでいる。
まぁ勝負と言っても大したものではなかった。
俺が次の戦いで新たな発見が出来るかどうかを賭ける、 というものだ。
当然俺は出来る方に賭け、
ラッキーは出来ない方に賭ける。
レナは公平を記す為に審判となった。
俺がテキトーを言っても見破れるようにだ。
嘘をつけば大体顔に出るので、
付き合いの長いレナには直ぐにバレる事だろう。
こうして勝負方法は決まった。
するとラッキーは次に報酬の話を持ち出した。
こんなのはお遊び感覚なんだからそこ迄は......とも思った。
しかしそれでは本気にならないからと押し切られてしまう。
本気も何も、 俺は最初から本気でやるつもりだ。
それにそっちの本気は関係ない気もする。
まぁなんでもいいんだが。
ちなみにラッキーの提示した報酬はこれだ。
「負けた方が自分の秘密をバラす事! これなら本気になれるでしょ? 」
その言葉に一瞬たじろぐ。
俺の秘密、 それは前世の記憶がある事だ。
それを知られたら『転生者』と疑われる。
それにレナも知らない事だ。
当然の事ながらバレたくない。
まぁバカ正直に話さなきゃいいんだが、
最初から負ける事を想定してはいけないし、
ラッキーにはなんだかんだで聞き出されそうな気がする。
益々負けられ無くなった。
ちなみに例えば話で、
「『馬車を引っ張ってる馬が実は魔物でしたー!』くらい衝撃的なやつをお願いねぇ! 」
と言われ冷や汗をかいた。
これにはレナも渋い顔をしている。
冗談で偶然なんだろうがシャレにならない。
これが『幸運』の効果か。
本当に負けられなくなった。
こうして俺の提案は受け入れられた。
余計な勝負事が絡んでしまったが関係ない。
そもそも何かを発見しに行くのだ。
それが得られなきゃ何も意味無いしな。
その後俺たちは戦闘について少し見直しをかけた。
と言っても、 俺がわがままを通した形だ。
その為には二人に協力してもらわなければいけない。
内容について話すと、 二人とも驚いて固まった。
そして次第に、
レナは再び呆れ顔に、
ラッキーは苦笑しながらの楽しそうな表情になった。
これで真の意味で二人の協力を得た。
納得していないだろうが。
この時団長になって良かったと初めて思った。
多少のワガママは通させてもらおう。
そのうちレナに謀反を起こされそうだが。
そんなこんなでそれぞれが準備をした後、
昨日と同じく夕暮れ時に村を出た。
ハグレは宣言通り、 馬の姿で馬車に繋がり待機していた。
そう言えばコイツと言葉で意思疎通できたのは今日が初めてだ。
当たり前だが凄い事だ。
どの魔物ともこうして話せればいいのに。
そんな事を考えつつ、 アンデッド目指して出発した。
◇◆◇
日はすっかり落ちた。
気づけば昨日アンデッドに出会したあたりにいる。
俺は馬車を操ってるフリをしているが、 ハグレは自分の意思で走っている。
道案内までしてくれるとは出来たスライムだ。
周りをよく見ると、 街道の横に一本の木が生えていた。
見覚えがあると思ったら初日に野営をしようとした場所だった。
カマクラは崩したが、 焚き火の跡が残っている。
どうやら昨夜は見逃していたらしい。
緊張していたからな。
というか、 あのまま野営を続けていたらアンデッドに出会していた訳か。
あの時戦っていたら絶対に勝てなかっただろう。
偶然で塩がかかるなんて事はあり得ない。
レナがゴブリンに攫われたのは不幸中の幸いだったのかもしれない。
もしくはこれはラッキーの『幸運』が為せる技か。
あの時は出会ってもいなかったし関係ないとは思うが。
そんな事を考えていると、 その場の雰囲気が変わり始める。
正確には地面が揺れるような、 地鳴りで場が乱される感覚だ。
それはヤツらが現れる合図。
俺たちは馬車を出て、 身構える。
......いや違う。
馬車から降りたのは二人だ。
レナとラッキーだ。
俺は馬車に乗ったままである。
キョロキョロと周囲を警戒していると、 ソレは現れた。
地面を突き破り、 大量の手が生えてきたのだ。
そしてあっという間にゾンビと骨人間の大群に囲まれる。
昨日と同じ状況だ。
アレだけ倒したのにまだこんなにいるのか。
それだけこの地で多くの人が死んだというのか。
ビヨルフってのはどこまで強かったんだよ。
......よし。
そんな事を考えられる余裕はあるようだ。
やはり敵を目の前にしてるとでは大違い。
今回はしっかりと観察出来そうだ。
それに......。
「さてと。 今回は見てるだけのライブル? しっかり観察するんだよ? 」
そう、 今回の俺は見てるだけだ。
嫌味っぽくラッキーに言われたがその通りなのでぐうの音も出ない。
二人には申し訳ないが、 頑張ってもらわなくては。
俺が今回二人に対して通したわがまま。
それは、 俺が観察に徹し、 その間二人に戦って貰う事だった。
そりゃ嫌な顔もされる。
しかしそうでもしなければ新たな発見など出来ないのだ。
思えば。
スライムの時は『インビジブル』で擬態してその生態を見ていた。
ゴブリンの時も、 住居からその生活を予想出来た。
つまり落ち着いた状態でなければヤツらの事を見れない。
戦いながらなど以ての外だ。
だから今回、 戦闘は二人に任せる事にした。
俺が言い出しっぺなのにだ。
とんでもない鬼畜野郎である。
でも二人はそれを受けてくれた。
色んな理由はあるし、 納得もしていないだろう。
だったら俺は遠慮せずそのわがままを貫き通すだけだ。
昨日の様子からするに、 二人が殺される事はないだろう。
それにいざとなったら塩がある。
なるべくなら使いたくないが。
それにいざとなれば馬車で逃げればいい。
奥の手も退路もある。
だから理不尽に二人に押し付けた訳ではない、 筈だ。
そう信じたい。
何にせよ、 二人の苦労が無駄になるような事はしたくない。
勝負どうこう関係なしに、 何かを見つけなければ。
そうこうしているうちに戦闘が始まった。
仕掛けてきたのはアンデッドの方だ。
昨夜は気づかなかったがその時も同じだったのだろう。
いつも魔物から襲いかかってくる。
人間がそんなに憎いのか。
まぁ彼らからしたら、 大昔に魂に刻み付けられた命令に従ってるだけなのだろうが。
しかし本当にそれだけなのか。
今回はそこも見極めたい。
襲いかかってきたアンデッドに対し、
ラッキーが前に出てターゲットを引き受ける。
そしてそっちに気を取られてるうちにレナが攻撃を仕掛ける。
俺のサポートはないがやる事は同じだ。
負担は大きいだろうが。
だが苦戦している様子はない。
ラッキーは歩いてるだけの『幸運」頼りで攻撃を避けているし、
レナの槍尻尾の一撃で、 ゾンビも骨人間も沈む。
すぐさま再生もするが、 特に問題にはなっていないようだ。
倒せないがやられはしない。
そんな感じだ。
強いなこの二人。
まぁ正確にはレナだけだが。
さて、 いつもでも二人の戦いぶりに感動している場合ではない。
アンデッドを引き付けてくれてる間に観察しなければ。
深呼吸をする。
いつもの自分を落ち着かせる儀式だ。
二人は大丈夫、 そう自分に言い聞かせる。
そして意識をアンデッドに集中した。
まずは容姿から見てみるか。
その場にいるアンデッドは30体程。
ゾンビと骨人間が半々ずつぐらいだ。
しかしその人種は様々。
平人、 獣人、 鱗人。
その他会った事もない種族まで選り取り見取りだ。
ゾンビなら肉体の特徴で分かるし、
骨人間は骨格からそう判断出来る。
ここから分かる事。
それはアンデッドになってしまう人間に種族なんて関係がないという事だ。
生きているうちは差別もあるが、
死んでから平等になるというのは皮肉なものである。
今度はレナたちと戦ってる姿を観察してみる。
二人は一生懸命なのに申し訳ない気持ちになるが、 ここは割り切ろう。
二人の動きは昨日とほぼ同じだ。
というか、 昨日は二人ばかり見ていてアンデッドの動きを見ていなかった。
今夜はそこを重点的に見るべきだろう。
アンデッドたちの攻撃は単調だ。
腕を振り回して当てようとしてきたり、
体当たりしてきたり、
はたまた抱きつこうとしてきたり。
正にゾンビ映画そのものの動きだ。
いや、 正確には少し違うか。
骨人間の方は知らないが、
俺の知るゾンビは噛みつき攻撃がメインな気がする。
映画などに寄って設定は違うだろうが、 主に捕食をする為だ。
ゾンビにとって人間が主食なのである。
その点に関しては別に珍しい事では無い。
スライムだってゴブリンだって人間を食べていた。
不思議なのはアンデッドがそれをしようとしない事だ。
二人を殺してから食べるつもりなのか?
いや、 そんな事はないだろう。
頭のいいゴブリンのような魔物ならまだしも、
あれだけ単調な動きのアンデッドがそんな風に頭が回るとは思えない。
ならば他に理由があるのか。
それに食事に関しては他にも不思議な点はある。
この場で食べないにしろ、 ゾンビは口や内臓があるだろうから食事は可能だろう。
しかし骨人間の方はどうやって栄養を補給しているのだろうか。
『不死者』とはいえヤツらは魔物だ。
何かしらの方法で栄養を補給してるのは間違いない筈だ。
直接食事はしないにしろ、 魔力だのなんだのを得ているに違いない。
まさか怨霊だからエネルギー補給が必要ないって事はない筈だ。
オカルトを否定する訳じゃないが、 何か引っかかる。
何か見落としているような気がする。
まぁそこは一先ず置いておくとして、 別の所に目を向けようか。
俺が次に目をつけたのは、 ヤツらの再生能力だ。
スライムも再生能力を持っていた。
しかしそれは魔力を吸収した事で得た能力。
何の代価も無しに出来るとは思えない。
だから俺は、
レナに攻撃され腕を落としたアンデッドが、 どうやってその腕をくっつけるかに注目した。
何かヒントを見つけられるかもしれない。
ソイツは骨人間だった。
自分の落ちた腕を見つけると、 繋がってる方の手で拾う。
そしてそれを折れた部分にくっつけていた。
ちなみに折れたのは手首と肘の間辺りだ。
関節が抜けた訳ではないのではめ込むというのは無理。
つまりこれをくっつけるとなると、 やはり再生能力があるという事になるだろう。
俺はどうなるか目を凝らして見ていた。
するとどうだろう。
やはり昨夜と同じように腕がくっついてしまった。
治った部分の繋ぎ目もないくらいに綺麗に。
やはり再生能力か、 とも思った。
しかし俺はその治る瞬間に違和感を覚えていた。
腕が繋がる瞬間。
ただくっついただけではなかった。
それは握手するように繋がったのだ。
指が絡み合うように。
もしくは、 戦隊もののロボットが合体する時、 結合部が露出しドッキングするように。
折れた腕が繋がったのである。
これには何かある。
俺は更に意識をそのアンデッドに集中する。
そして魔力の目の抑制を切り、
同時に『オブザービング』を使う。
これで夜でもよく見えるし、 魔力の流れも分かる。
そしてそのおかげで分かった事があった。
魔力の流れがおかしいのだ。
普通、 一つの生き物に対し、
人魂のように見える魔力の炎は一つだけだ。
それはどの命にも、 物に関してもそうだし、
いくつものスライムが合体した『混沌スライム』もそうだった。
あれは沢山の個体が一つ個体になったからだ。
しかし今回は違う。
一体のアンデッドに対し、 複数の......いや、 数え切れない程の小さな人魂が集まっているのだ。
なるほど、 そういう事か。
ここから考えられる答えは一つだ。
しかしまだ確証はなく、 判断するには早い。
何かサンプルが欲しい。
そう考え、 俺は馬車を降りた。
するとどうだろう。
今の今までラッキーとレナに集中していたアンデッドたちかが、 急に俺に意識を向け始めたのである。
なんだ?何が起こった?
地面に立った途端にこちらに気づいた。
今まで見向きもされなかったのにだ。
だとすると秘密は地面にありそうだ。
俺は真相を確かめる為に地面を見る。
魔力を切った状態ではただ地面しか見えなかった。
次に魔力の目と『オブザービング』を使う。
そして目を覆いたくなった。
ここら辺の地面一体には、
一つのアンデッドの何百倍もの、
魔力の流れである人魂があったのだ。
これで確信した。
アンデッドの正体は怨霊なんかじゃない。
列記とした生き物、 魔物だ。
その証拠を探すように地面を掘る。
少し掘り進めた所でソレを見つける。
これこそが、 アンデッドの正体だったのだ。
「レナ! アンデッドを細かい破片になるまで切り刻んで!! 」
同時に攻略法を思いつく。
それを簡潔な形でレナに伝えた。
彼女は一瞬何を言われたのか分からない様子で顔をしかめていたが、
すぐさま俺の意見を取り入れ行動してくれた。
槍尻尾を使い一体のアンデッドを切り刻む。
回転し、 前後に動き、 飛び跳ね、
まるで本物の自分の尻尾のように腰の槍を操って。
次の瞬間には、 アンデッドは粉々になっていた。
そして地面にポトポトと落ちていく。
そこまでは、 おかしな点はなかった。
しかしそれは直ぐに訪れる。
「え!? 」
レナはその異変に気づく。
なんと彼女の足元で、 切り刻んだアンデッドの破片が地面に潜って行ったのだ。
俺もそれを見ていた。
反射的にそれを拾うレナ。
俺は彼女の元へと駆けた。
手の中には同じモノ。
さっき掘って見つけた時に回収したのだ。
「何、 これ......? 」
レナは戦闘中にも関わらずソレを集中して見ている。
そこに多くのアンデッドが迫る。
俺は走りながら草を毟り、 『草カッター』でそれを牽制する。
「レナ! それがアンデッドの正体だ! 」
そう叫びながらレナに合流する。
そして周りに『草カッター』を放ちつつ、
手の中にある同じ物を見せた。
そして顔を見合わせ、 アンデッドを見る。
レナは信じられないって顔をしている。
俺も信じられない。
でもコイツがアンデッドの正体なら辻褄が合うんだ。
「なになに? 何の話し? 」
そこにラッキーが合流してくる。
余裕の表情で無傷だ。
こういう時イライラするなコイツは。
こっちは結構必死なんだが。
ラッキーはそのまま俺たちの手の中のソレを見て一言。
「うわっ! 気持ち悪っ! 」
相変わらずだ。
けどきっと真実を知ればその態度を変わるだろう。
なんせこれを見つけた時点で、 勝負は俺の勝ちなんだからな。
手の中のソレ。
ウネウネと蠢くソレ。
『ソレ』には見覚えがあった。
この世界ではどうだかは覚えてないが、
前世では嫌という程に見た。
正直こうして手に持っているのも嫌悪するレベルの生き物。
白い弾力性のある身体。
手足は無く、 地面を這って進む。
通った所にはヌルヌルの粘膜の後が出来、
乾燥と塩に弱い。
同じような生き物との区別はうずまきの殻を背負ってない事。
そんな軟体動物。
ナメクジ。
それがアンデッドの正体だった。
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