第98話 会議に呼ばれました!!
「へーそれで、ヒロムくんはカナちゃんのパーティーに入ったんだ」
「そうそう。ヒロムはこれから基本的にカナ達と一緒にクエストを受けていく事になる」
夜、俺の部屋でレイアに今日あった出来事……ヒロムがカナ達のパーティーに正式に加入したことを話していた。
結局は俺が
『ヒロム、ぼちぼちソロだけじゃなくてちゃんとしたパーティーに入った方がいいんじゃないか? お前はもう次のステップに上がるべきだと思っている』
みたいなことを言ったら、真面目なヒロムくんは「なるほど……」と深く頷き
『あ、でもどうしたらパーティーを組めるんですか? 僕なんかと組んでくれる人なんているんでしょうか……』
と自信なさげに言ったので一緒にパーティ募集の張り紙がある掲示板へと連れて行った。
そこで待機させていたカナが勧誘するという流れだった。
まぁ、カナが勧誘するまではスムーズに進んでいたのだが、肝心のカナがヒロムに話しかけるだけで頬を赤らめ、緊張していた。
それでも頑張ってヒロムを勧誘したカナの姿はますで告白をした女の子のようだった。
「私も聞いてたけど、カナちゃんのあの様子……もしかして」
「……ああ…もしかすると……だ」
レイアはえーっ!! と女子らしいキャピキャピとした反応をする。
まぁ、俺は全然キャピキャピできねーけどな。
「さてと、さっさとエレナから来た手紙を読んでしまおうか」
「あ!! うん。そうだね。はい、どうぞ」
レイアから受け取った封筒を開けてみると手紙が2枚入っていた。
どれどれ……
『拝啓イツキさん風邪などはひいていませんか? あ、あとすぐ調子に乗ってしまう癖も治っているでしょうか?』
うるさいな、ほっといてくれよ。お前は俺のお母さんか。
『近日、5大ギルド会議が行われますのでお手紙を書かせていただきました』
? 5大ギルド会議? なんだそりゃ?
『グランドマスターは定期的にキャメロット王国に招集され、第一王女である私と近況の報告や今後の方針などを話し合う会議を行なっています。それが5大ギルド会議です』
(ほーん、なるほどねー?)
(本当にわかってる? 適当に言ってない?)
(ちゃんとわかっとるわ)
『詳細は2枚目に書いてあるのでちゃんと! 読んでくださいね。絶対ですよ』
めちゃくちゃ念押してくるじゃねぇーかよ
『魔王幹部の一人である双王との決戦が近づいています。その双王との戦いについてもお話したいので絶対に来て下さいね』
め、めんどくせぇー!!
なんでいちいち王国まで行って見ず知らずの奴らと話し合いなぞしなきゃならんのだ。
絶対行かねぇ。
『イツキさんのことですからめんどくさいとか、絶対行かないとかそんなことを考えていそうなので、会議の1時間前になっても王城に姿を見せなかった場合は私が直接迎えに行ってあげますね』
な、なんでわかるんだよ……そういえば前も迎えに行くみたいなこと言ってた気がする……
『PS シロツメクサの指輪作れるようになりました!! 今度作ってあげますね!』
いや、可愛いやつだな。今度は王冠の作り方を教えてやるか。
「こっちは5大ギルド会議の詳細だね」
レイアはふむふむと頷きながらもう一枚の手紙を読んでいた。
手紙に書いてあった詳細が書いてある2枚目だ。
「イツキさん。大切な会議なんだから絶対に行かなくちゃだめだよ?」
「へーい……でも王城までどうやって行くのかあんまり覚えてないんだよなぁ」
なんせ初めて行った時は寝てたからな。
目が覚めたら応接間にいたし。
帰りもユウヤ達と一緒だったから……ぶっちゃけ覚えとらん。
「? そうなの?」
「ああ、だから一人だけで王城まで辿り着ける自信がない!」
……こうなったらマジでエレナにここまで迎えに来て貰うか。
「そっかぁ……」
「……レイア?」
「………………」
ふと、レイアは俺から目を合わせず、何か考えているようだった。
「えと……イツキさんさえ良かったらなんだけど……一緒に行って案内しよっか?」
「えっ……そんな、良いのか?」
「うん…お仕事は今から休み取ればいいし」
「いや、そういう意味じゃなくて……」
俺のためにそこまでしてくれなくても……って意味なんだけど。
「あ……迷惑だったかな?」
俺の反応をみてレイアの表情が少し曇った。
「いやいや!! そんなことないぞ!! むしろレイアに負担をかけるんじゃないかって思っただけで」
「負担なんて思ってないよ。これは私がしたいことなんだから」
(まぁいいんじゃない? せっかくこう言ってくれてるんだからさ)
珍しく、バエルからの背中を押すような言葉に驚きつつ。
(まぁ……そうだな。ここはレイアのご好意に甘えるか)
「それじゃ、二人で行くか。よろしく頼むな」
「オッケー! えへへっめっちゃ楽しみー!」
翌朝
「イツキ、そろそろ5大ギルド会議が行われると思うんだけど、キャメロット王国からの手紙とかは来ていないかい?」
ギルドの酒場で昼ごはんを食べながら駄弁っていたらキョウヘイがそんなことを言い出した。
「ああ、手紙なら来てたぞ。エレナからの手紙とギルドの詳細の手紙と」
「良かった。今回はちゃんと読んでいるんだね」
安心したように胸を撫で下ろした。
前のイリエ王約束ブッチ事件を根に持っているのだろうか?
「会議はいつごろ?」
「えーと……手紙持ってくるわ」
「大丈夫か? こいつ……」
いつの間にか話を聞いていたパンツ一枚だけのソウスケに疑いの目で見られながら自室へと向かった。
ち、違うし! レイアと一緒に行くから油断してただけだし!!
キョウヘイに手紙を渡すとふむと言いながら詳細を読んでいる。
その隣でソウスケはエレナからの手紙を興味津々と言った感じで読んでいた。
「ぷぷっ!! エレナ様、イツキの思考完全に読んでるじゃん」
「う、うるさいですね」
「ま、仲が良い証拠だよ。そもそも普通は詳細の手紙だけだしな……よ!! ロリコン王!!」
「おい、やめろ……それは風評被害ってやつだぞ」
なんでみんな俺をロリコン扱いしたがるんだ……
「イツキ、ちょうどこの日俺も王都あたりでクエストがあるから、会議後合流しないかい?」
「ああ、別にいいけど……なんで?」
「イツキの両手の治りが遅いからね。治療してもらおうと思って」
俺の手を見てキョウヘイは言った。
俺も両手はいまだにキッシーとの戦いのあと治っていなかった。
今も火傷がひどくて包帯は取れないし、細かい動きとかも全然できない。
「ああ……ユメちゃんに見て貰えば治るかもね」
ソウスケがなるほどと言った感じで頷く。
ユメちゃん
? ああ、ヨームゲンの村で出会った女の子か。
確か、キョウヘイと仲が良くて助手くんって呼んでたような。
「ユメは優秀な治癒師だからね。きっとその両手も治ると思うよ。あ、そうだ。レイアにも言っておいてくれないか?」
「え、なんで俺がレイアと一緒に王城に行くこと知ってるんだよ」
昨日の夜決まったから誰にも話していないはずだ。
そういうとキョウヘイはああと言いながら
「朝、嬉しそうに話していたからね」
へーレイアもキャメロット王国に行きたかったのかな?
「まぁ……そういうことだから、よろしく頼むよ」
「りょーかい」
そう言って俺はクエストに行くキョウヘイを見送った。
「面白かった!」
「少し笑ってしまった」
「続きが気になる、読みたい!」
「クソニートのイツキは今後どうなるのっ……!」
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