第97話 相談に乗りました!!
「ただいまー」
「まー」
「た、ただいま戻りましたっ」
俺とリーシャとヒロムの3人はいつものようにクエストを受けていた。
対象モンスターを討伐し、素材をレイアに渡して確認してもらう。
「うん……! 確認させてもらいました! クエスト完了です! イツキさん、リーシャさん、ヒロムくん、お疲れ様〜」
(ふぅ〜今日も大変なクエストだったぜ)
(マスター何もしてないじゃん)
(そ、それはほら!! 俺まだ両腕が完治してないからさ!! ああ痛い!! 痛いなぁ!!)
俺の両腕はキッシーとの戦いでボロボロだった。
今も包帯巻いていて火傷も完治していない。
というか、全然治らない。なんなら焦げたままだし。
めっちゃヒリヒリするし。
「はい、これが報酬金だよ」
今日もバエルにdissられながらレイアから報酬金をもらう。
「よし。これで昼ご飯でも食べに行くか」
「いいね」
リーシャはぐーサインをしながら頷いた。
さて、あとは
「ヒロムも来るだろ?」
「あ、すいません……僕この後用事があるので、お二人で楽しんできてくださいっ」
ありゃ、断れちまった。
申し訳なさそうに頭を下げるヒロムに気にするなと首を振る。
「じゃあ、二人で行くか」
俺の言葉にリーシャは少し嬉しそうに頷いた。
「あ、そうだ。あそこ行こうよ。前言ってたやつ」
「あ、あそこか……いいね。ぐー」
「ふふ、でしょ」
「でも、サンドイッチとかあるかな?」
「食べたいの? サンドイッチ」
「いや、サンドイッチが食べたいわけじゃないんだけど。まだ両腕がちゃんと動かないからさ。スプーンとか持てるか不安で……」
「大丈夫。あーんするから」
「いやいや、カフェであーんってただのバカップルじゃねぇか。勘弁してくれ」
「えー」
そんな感じで行先も決まり、リーシャが歩き始める。
さて、俺も行こうかと思って歩き出そうとしたら
「あ、そうだ。イツキさん。エレナ様からお手紙がきてたよー」
え、第一王女であるエレナ・フォン・キャメロット様から?
『イツキさんも今度の幹部戦には招集をかけるので、その時はお願いしますね?』
ま、まさかあのことなんじゃないんだろうな。
いや、絶対そうだろ。じゃなきゃあいつが俺に手紙をよこすわけないもん。
うわ〜その手紙読みたくねぇ〜
「ああ、うん。手紙ね。はい。後で読んでおくよ」
……多分。
「これは私が預けておくから、今日仕事が終わったらイツキさんの部屋で一緒に確認しよ?」
「……え? な、なんで」
「だってイツキさん絶対に後で読まないでしょ。今とてもめんどくさそうな顔してたもん」
ジトっとした目で言われてしまった。
げっ……ばれとるやんけ……
「え、あ、あ〜別に……そ、そんなことは思ってないよ?」
「もー見たらわかるって」
呆れた表情でため息をつくレイアに
な、なんでわかるんだ……君はエスパーか何かい? と思ってしまう。
「それじゃあ、夜に行くからね?」
「はい……よろしくお願いします……」
有無を言わさないその笑顔に思わず頭を下げてしまった。
「ねーはやくー」
「ああ、わかった。今行くー」
手を挙げてブンブンと振るリーシャの隣まで早歩きすると
「あ、あの!! すいません!」
不意に後ろから声を掛けられた。
振り返るとそこには杖を持った女の子が緊張した様子で立っていた。
背は低くピンク色の髪でくりくりとした愛らしい目をしており、そのくせ胸は大きい。
俗に言うロリ巨乳と言うやつだ。
この子……どこかで……
あ!!
そうだ!!
ボードウィン王国の転換者がネルトを襲ってきた時にヒロムに助けてもらっていた治癒師の子だ!!
確か名前は……
「カナ……だよな?」
「あ、は、はい。カナ・クローバです。あのっ……お二人に相談したいことがあるんですけど……」
「相談……?」
な、なんだろう……カナが俺とリーシャに相談?
ギルドのことについてか?
もしそうだとすると答えられる自信がないんだけど……レイアに聞いてもらった方が良いのでは?
絶対リーシャとかも
『あーうん。ふふ』
とか笑って言って終わるだけだぞ。
「ちなみに相談っていうのは?」
「それが、その………パーティーについてなんですけど……」
カナの言葉に俺はリーシャの顔を見ると何も言わずにこくりと頷いた。
よし、昼ごはんはカナ悩みを聞いた後だな。
「……ほら、座って」
「あ、ありがとうございます。失礼します」
部屋に着き、カナをソファに座らせるように促す。
対面のソファーに俺とリーシャが座る。
カナはソファーに座りながらキョロキョロと部屋を見渡している。
「わ、私……マスターのお部屋にきたの初めてです……」
「そんなすごいところじゃないぞ? ユウヤ達とかよくきてるし、あとは……リーシャも気がついたら自分の部屋みたいにくつろいでるし」
あとはレイアとか毎日きてるからな……
あれ? 俺の部屋ってみんなの溜まり場みたいになってない?
「ああ、悪い……それで? なんだよ話って。」
そう聞くとカナは背筋をシャキンとさせ、こほんと咳払いした。
「えと、その、ヒロムくんって正式なパーティにはどこにも入っていないんですよね?」
思わず、隣にいるリーシャと顔を合わせる。
まぁ、確かにヒロムは教育係の俺とリーシャ3人で組んでクエストに行くかソロで行くかの2択だからな。
俺とヒロムとリーシャの3人もパーティーいうより付き添いみたいな感じだし最近はソロでクエストに行くことも多くなっているので実質ソロ専か。
「まぁ……そうなるな」
「うちのパーティーに入ってもらえたらなぁって思ってるんですけど……」
ああ、確かカナのパーティってアーチャと格闘家の女の子の二人が抜けたって話を聞いたな。
「その……パーティーのみんなと話し合いをしていたらもし入れるなら近接もできて遠距離もできる人がいいねって話になって」
カナのパーティーは今、男剣士と女魔法使いとヒーラーのカナだったはず。
ん、なるほど。ヒロムのように剣で前衛を張れて、なおかつ後方支援ができる中間職を入れるのはいいかもしれない。
なんたってヒロムは俺がなりたかった魔法剣士だからなっ!!
「ああ、いいんじゃないか? もともと俺たち3人はパーティーってほどでもなかったし。ぜひ誘ってやったてくれ」
「そ、それが……」
少し顔を赤らめながらもじもじと答えた。
え、何? その反応……
「な、何回かは自分で声をかけようとしたんですけどっ……緊張して言い出せなくて」
思った通りに話せなくて……と呟きながら頬を赤くさせ、目線が逸れた。
は……? え? ちょっと……その恋する乙女みたいな反応何?
え? 嘘だよな? カナさん?
ヒロムの事を好きになったなんて……そんな……ら、ラノベやアニメじゃあるまいし……
そう思いたかったが、目の前にいるカナの姿があまりにも乙女すぎて邪推しかできなかった。
しかし、本人から頼まれたのならそれに応えるしかあるまい。
「お、おおう……そうか。それならきっかけは作るからさ。あとは自分でヒロムを誘ってやってくれ」
カナ本人から誘われた方がヒロムもきっと喜ぶだろう。
「な? リーシャ」
「……あ、ごめん。考え事してた」
「……おい」
リーシャに突っ込む。
「そういうことだから、ヒロムに言ってみるか。あいつ用事が終わったらまたギルドに帰ってくるだろうし」
「は、はい!! ありがとうございます!!」
カナは安心したように笑った。
(……っち!!)
(ちょっと……心の声が漏れてるんだけど)
「面白かった!」
「少し笑ってしまった」
「続きが気になる、読みたい!」
「クソニートのイツキは今後どうなるのっ……!」
と思ったら
下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。
面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!
ブックマークもいただけると本当にうれしいです!
何卒よろしくお願いいたします!