表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

95/176

第95話 後日談




「さて、ここに来たってことは……いつものか?」


「まぁ多分ね」



バエルと一緒に長ソファーでくつろいでいると



「っ!! イツキさん!!」



感極まった様子で現れたのは尖った耳、高い鼻異常にしゃくれた顎、大きな口をしたまるで悪魔のようなメタボ体型の原初の悪魔アガレス。


その勢いは俺に抱きついてくるほどだった。


今はキッシーに勝てて気分がいいからな。

たとえメタボのおっさんだったとしてもその思い受け止めてみせるよ。


はははと笑いながら立ち上がり、両手を広げる。


さぁ、遠慮せずこの胸に飛び込んでー



「むぐっ!?」


アガレスは遠慮なく俺に抱きついてきた。

まぁ、それ自体は問題ない。

問題はアガレスとの体格差のせいで俺は奴の腹にうずくめる形になったことだ。


「ンンンンんん!!」


あ、圧倒的な脂肪によって息ができない……!!


し、死ぬ!! このままじゃ、窒息死してしまう!!


「ンンンンンンン!!」


ポカポカとアガレスの体を叩くけど


「よかった……本当によかった!!」


アガレスが気が付いていない。

まさに、無我夢中だ。


あ、待って。なんか力も強くなってない?


ボキボキボキ!!


あ、あ、あ……か、体中の骨がひ、悲鳴をあげている。


これ折れてないか?


あ、あ、あああ……死ぬ……意識が薄れてきた……どうせ窒息死するならおっぱいが大きい美少女の胸の中で死にたかった……



「アガレス……マスター死んじゃうよ」


「……あ」



バエルの一声で解放された……


い、息をしなくちゃ……!!



「す、すいません……つい……」



はぁはぁと膝をついている俺に申し訳なさそうにアガレスがあやまってきた。



「いや……まぁ……いいけど……それより、今回はどういった用件なんだ?」


「あ、そ、そうですネ……折角なのでお、お茶をしながらにしましょうか」



アガレスお手製のケーキと紅茶を飲みながら話を聞いた。



まずは俺の体の状態のこと。


アガレスが少し焦ったほど魔力も体も弱っていたらしい。

無茶をしすぎだと怒られてしまった。


レギス・チェラムでは意識は不明だが、命に別状はないということになっているらしく特に大騒ぎにはなっていないらしい。



「……少しは騒いでくれても良くない?」


「マスターって良く死にかけるからみんなもう慣れたんじゃない?」


「……何も言えねぇ」


「………………なんだか……お二人は仲が良くなっていませんか?」



俺とバエル会話の様子を見てアガレスは言った。

その声色はどこか羨望が含まれているような気がした。



「……あーまぁ……ちょっと俺の過去話ツアーみたいなものをしたんだよ。それで絆が深まったんじゃないのかな?」



バエルにしては珍しく俺の言葉を否定しなかった。


それを見てアガレスは驚く。



「……ほー」



なんだろう、アガレスの様子が少し怖い……まるで嫉妬しているかのようなその態度、色々な意味で怖いからやめてくれないだろうか?


そこからは簡単な後日談を聞いた。


キッシーを殴り飛ばした後途切れてしまいそうな意識をなんとか保って隕石を破壊して、強化魔剤の鎮静剤を見つけてそれをバエルの能力で複製させて全員に一斉に投薬した。


キッシーも俺に勝った後に自身に対して鎮静を使う予定だったのだろう。


そこから意識が途絶えてしまっていたのだが、みんな無事元に姿に戻れたらしい。

その後、ボードィン王国のみんなが死にかけだった俺の体をなんとかしてくれて、レギス・チェラムと連絡を取り合ってくれたそうだ。


ひとまず、みんなを救えたことに安堵の息を吐いた。


よかった。


レギス・チェラムを侵攻した転換者やキッシーの息子……そしてキッシー王は危険分として処刑されたらしい。


処刑の際息子のギールが惨めに抵抗し喚いていたらしいが、キッシーはすんなり受け入れたらしい。

奴も覚悟を持ってこの戦いに挑んでいたということなのだろう。

その後、キッシーの子供たちがボードウィン王国を建て直しているとのこと。


様子を見に行きたいが、今は何かと忙しいと思うので落ち着いたらまたボードウィン王国に行きたいものだ。



アガレスから話を聞いてケーキも紅茶も完食し、俺とバエルは目を醒めた。



「……あ、イツキさん。おはよう」



目を開けるとそこにはレイアが椅子に座って俺を看病してくれていた。


とても落ち着いていて、まるでもうすぐ俺が目を覚ますことを知っていたかのように。



「……ああ、レイア。おはよう」


「体の調子はどう?」



そう言いながらレイアは俺の顔を優しく撫でる。


……ひんやりしていて少し気持ちいい。



「ああ、うん……まだ、ちょっとぼーとするな」


「お水のむ?」


「のむ」


水を飲んで意識を覚醒させる……


「俺……どのくらい寝てた?」


「えーと、2週間くらい……かな?」


2週間……意外と長かったな。


「みんな心配してたよ? マスターはまだ目を覚さないのかって」


「はは……そっか。それはみんなに悪いことしたかな?」


「………………」



レイアはとても苦しそうに胸を押さえていた。


「……レイア? どうかしたー」


「私もイツキさんと一緒になれば……こんな思いしなくて済むのかな?」



……え?



「羨ましい……はイツキさんとこんなにも深く繋がって……わたしの知らないイツキさんを……」



レ、レイア……? 何を言っているんだ?



「私だって……!! 私にとって、イツキさんは……だもん」



そう言いながらレイアはベッドに乗り込み、顔を近づけてくる。

体が金縛りにあったかのように動けない……



「ねぇ、イツキさん……わたしとも……しようよ」



それはまるで魂を掴まれているような……そんなゾッとした感覚が体中を走った。


前髪に隠れて目が見えない。

レイアの表情がわからない。

でも何かを感じる……今までは感じることができなかった何かを……


その纏っている空気はまるで悪ー



「マスターそろそろ起きたー?」


リーシャがいつものように軽い感じで部屋に入ってきた。



「……あ、リーシャさん! 今さっき起きたところだよー熱も今測ってるけどないみたいだし、体調も大丈夫だって」



先ほどまでとは打って変わりそこにはいつものレイアがいた。



「お、いいね。それじゃあクエスト行こうよ。なんか遠いやつ」



飄々とした様子でこちらに向かって歩きてきた。

そのいつもの姿に安心したのか、全身が脱力した。



「……病み上がりになんてこと言ってんだ。鬼か?」


「えー大丈夫だって。多分」



いや、鬼畜で草。



「あ、わたし、イツキさんが目覚めたことみんなに伝えてくるね!」



レイアはまるでこの場を逃げ出すかのように去っていった。

その後ろ姿をじっと見る。


……ある可能性が俺の頭に生まれた。

いや……でも……


………………



「……あ、そうだ。はいこれ……お見舞い」


考え込んでいたらリーシャがお見舞いにりんごをくれた。


「お、おう……さんきゅ。りんごか……」



りんごはいいんだけど、切れてないそのまん魔のりんごをぼん!!と渡されても困るんだが……



「あ、ごめんこれじゃ食べれないか」



よかった……ちゃんと気がついてくれたようだ



「食べさせてあげるよ……あーん」



リーシャはりんごを掴み、そのまま俺の口に押し付けてきた。



「え、ちょっと……そのまんま? かじれってか? ちょっ……わかったわかったから強引に押し付けないでくれ!!」










「面白かった!」


「少し笑ってしまった」


「続きが気になる、読みたい!」


「クソニートのイツキは今後どうなるのっ……!」


と思ったら


下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。


面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!


ブックマークもいただけると本当にうれしいです!


何卒よろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ