第92話 魔人
「あ、ああああ。あああああああああああああ!!!djdshfjdshf;日おひお;えrjご;遺jろいえrhg;お入れhg;:御家rshg;えるjご;いjろいえr!!!!」
目の前でキッシーが自身の首筋に何かを注入したあと痙攣を起こしているように激しく震え出した。
「んああ、力が、力が溢れてくるぅぅ。はは、やはり…。俺様は……選ばれシモノダ……なぁ?強くなるって気持ちイイなぁ♡」
よだれを垂らしながら不気味な笑顔を見せるキッシーに鳥肌が立つ。
これは嫌な鳥肌だ。
奴の目が充血して真っ赤で……そして何より圧倒的な魔力が溢れかえっている。
まるで魔人と対峙しているかのように不気味だ。
「ふしゅっ!ふしゅ!ふしゅぅぅぅぅぅ!!さいっこうぉぉぉぉぉぉ!!」
大地が抉れる音と共にキッシーの右拳は俺の顔面を捉えそのまま吹き飛ばされた。
!? 痛っ!? 何が? 何が起きたんだ?
後からきた痛みのおかげで俺はキッシーに殴られたのだと分かった。
正直、早過ぎて見えなかった。
「マスター!!左!!」
バエルの声ではっと前を向くと目の前にはキッシーが蹴りの体勢に入っていた。
まずい!! 左肋は何本か折れてるんだ。攻撃を受けると終わる!
キッシーの風を切り裂くように鋭い回転蹴りを、なんとか左腕で防御するもみしみしと骨が砕ける音と共に吹き飛ばされる。
「っぐ!!」
キッシーの攻撃全てが何もかもを破壊する防御不能の一撃に昇華していた。
「さいっこー!! ダゼこの力!! 痛みも感じない!! お前を殴るタビ快感が全身にあああ溢れてきやガルぅ!!」
今度はキッシーの必殺連撃が俺を襲う。
止まらない暴力が絶え間なく降り注ぐ。
「今はあえて熱量を抑えている。なぜだかわかるかぁ?」
答える暇もないキッシーの魔人の拳撃の連打が俺の体を着実に死へと向かわせている。
さっきと比べものにならないパワーとスピードの前にもはや為す術がなかった。
「お前をじっくりと痛ぶる為だよ!!」
ガッと顔を掴み、持ち上げながらとても、とても楽しそうに笑った。
キッシーはあえて拳の熱量を低く調整していた。
俺の体が焼き尽くされないように、たっぷりと痛めつけなれるように。
ジュウウウウと灼けるような痛みが顔面に広がった。
「んんんんんん!!!」
あまりの痛みに苦しむように体を激しく動かした。
叫んでも、ジタバタと動いても無意味だって分かってるだけどそうしないと心が持たない。
「あっ!!しまった。熱量の調整間違えちゃった♡」
(マスター!!)
(力……を解く……な。今解いてしまうと……みんな一瞬で灰にされる……それで俺の心を……折るつもりだ)
(だけどっ……私にとっては……!!)
(だ、だいじょうぶだからさ……頼むよ……)
(っ!!……ほんとにっ……!!)
キッシーが笑った直後、轟音と共に地面に叩きつけられる。
何とか立ち上がろうとするイツキに容赦なくキッシーは追撃を行う。
イツキの顔に向かってサッカーボールを蹴るが如く足の甲でキックを放った。
何回も何回も何回も何回もそのたび意識を失いそうになった。
「さっきは随分と楽しそうだったなぁ!! おい!! 俺様も楽しませてくれよ!!」
そう叫びながら蹴っている間、キッシーはうっとりしていた。
「これだよ!! これ! これ! ボロボロの相手を一方的に痛めつけるこの快感!! この支配感!! 絶対者はお前じゃない!! 俺様なんだよ!!」
もはやキッシーが何を言ってるのか聞き取れない。
痛みさえ無くなってきた。
……眠い。瞼が……重い。
あれほど燃え上がっていた炎が小さく、消えてしまいそうな弱々しい火になる。
蹴るのに飽きたキッシーは蹴りをピタッと辞めてじっと俺の顔を見つめた。
「おぇ、がはっ。」
だめだ。とりあえず体を動かせ、このまま瞼を閉じると殺される。
意識を少しでも覚ませるように……何かしなければ……抗わなくては……
顔面が血だらけになりながら必死に体を動かし、再び立ち上がろうとする俺をニヤニヤしながら見つめていた。
倦怠感、体のだるさが襲ってくる。重力が普段の10倍くらいに感じる。
やっとの重いで立ち上がった瞬間、再び顔面目掛けて拳を振るった。
「どーせお前は!! 死ぬ気で頑張るとか! 絶対勝つぅとかその程度の認識でここに来たんだろ!? 甘ぇんだよ!!クソガキが!!」
「これはなぁ!! 戦争なんだよ!! 欲望の押し付け合いだ!! どろっどろで!! 醜い欲望同士のなぁ!!」
「どちらの欲望が勝つか!! 負けるか!! 勝った方が正しくて!! 負けた方が間違いだ!! それを今決めてるんだろうが!!」
「欲望に価値の差なんてねぇのさ!! どっちが尊厳を得て100年後歴史に残るか!! これはそういう戦いだ!!」
魔人は獣のように獰猛に笑い、雄叫びのように叫びながら連打を続ける。
「テメェらの死ぬ気で頑張るってのは所詮一生懸命頑張りますくらいで勝つために手段も選べねぇ……そんなお前らがどうして俺様に勝てるよ?」
「俺様の欲望はなぁ……全てを支配し、痛めつけ犯すことだ……お前の欲望ってなんだ? まぁ……どうでもいいか」
魔人キッシー・ボード・ナックルは自身の王城のてっぺんへと跳び、右手を掲げた。
「天級魔法エクリプス・メテオ」
天級魔法を発動させた瞬間、空から赤き雷が降り、赤く輝いた巨大な隕石が現れた。
それはキッシーが勝負を決めに来たということを表していた。
「面白かった!」
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「続きが気になる、読みたい!」
「クソニートのイツキは今後どうなるのっ……!」
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