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第74話 覚悟



「……双葉、イツキだと」



シュウイチは眉を双葉イツキを見て眉をしかめる。

もう一人の転換者である星川キララによって襲撃されていたはず。

シュウイチはすぐにある可能性へとたどり着いた



(キララの奴まさかしくじったか……)



ちっと舌打ちをしながら双葉イツキを見るとその所々血を流しておりダメージを負っているのが分かる。



「へーお前がギルドマスターの双葉イツキか?」



コキコキと拳を鳴らしながらナオトは双葉イツキを見下ろす。


ナオトは心の中で勝利を確信していた。



(……なんだ? こいつの魔力、クソ雑魚じゃねぇか……これじゃさっき戦ってたメガネの方がまだマシだ)



五大ギルドのマスターだから期待したが、無駄だったかとナオトは落胆する。

その瞬間ナオトはレギス・チェラムは3人の男によって5大ギルドまで成り上がったと聞いたことを思い出した。



(こいつはただのデクの棒だったか)



シュウイチとナオトは双葉イツキが結界を破ったのではないと確信した。



「…………」



双葉イツキはコツコツと服部シュウイチと近藤ナオトに近づいて来る。

念のため、二人は警戒し、臨戦状態に入った。

どちらかというと双葉イツキに対してではなく、姿を現さない結界を破った人物に対してだった。


双葉イツキはただ無言で二人の間を駆け抜け、ヒロムの元に寄り添った。

安堵によって倒れかけるヒロムをイツキは正面から受け止め支える。



「マスター……僕……ちゃんと、信じて……戦いました」



掠れた声でヒロム入った。もはやその声に力はなく、意識すら朦朧としていた。



「ああ。お前はよく戦ったよ。見ちゃいないけど、大体分かる」



「すいません……本当は……勝ちたかった。だけど、時間稼ぎしか出来なくて……僕が弱いから……」



「いいや、ヒロム。お前は強いよ」



イツキはヒロムの言葉を否定した。

ヒロムはイツキの言葉を聞いて嬉しくて、涙が出そうになった。

体が小刻みに震える。

だめだ。泣いちゃ駄目だ。

だって自分は何も成し遂げていないのだから。

だから泣く資格なんてないのだと。


堪えているヒロムはボロボロで限界なんてとうの昔に超えていて、それでもなお大切なもののために戦い続けた男の姿だった。


そんなヒロムを見てイツキは強く思う。



「お前が弱いなんて俺が言わせねぇから」



「っ!! はいっ」



イツキはヒロムを優しく壁に寝かせた。そして振り返り近藤ナオトの顔を見上げた。



「……よぉ、ギルドマスターさん。俺たちの決闘に水入れやがってよぉ……ただで済むと思ってんのか?」



ナオトは次のサンドバックとして双葉イツキに狙いを定めていた。

イツキはナオトの言葉を無視し、ヒロムを労う。



「まぁ結果は見えていたも同然だったがな!!」


そう高らかに笑う。

ナオトの顔は自分が負けるなどと一ミリも思っていない。


そんなナオトを見上げ、イツキは断言する。



「お前じゃヒロムには勝てねぇよ」


「……あ?」



ナオトの表情が豹変し憤怒に殺意がこもるような視線をイツキに向けた。



「目ぇ見れば分かる……お前には死んでも負けらんねぇていう覚悟がねぇ」



その言葉がナオトのプライドに傷をつけた。



(何を言っているんだこいつは? 覚悟? はぁ? そんなんなくても俺はあのメガネを圧倒していただろうが!)



「逆だろうが!! あのメガネじゃあ俺には勝てねぇだろうが!!」



炎のような激しい怒りがナオトを支配した。



「テメェだってあのメガネと同じで雑魚のくせによぉ!! 今俺がわからせてやるよぉ!!」



ナオトは怒号のような気合いと共に金剛闘氣によって赤く染まった右手をイツキに向かって振り下ろした。



ゴン!! という轟音が炸裂した。同時に地響きが発生する。

ナオトの視界が一瞬真っ暗になり、顔の左部分に強烈な痛みを感じた。

気がつけばナオトは地面についていた。



「!?」



ナオトはひどく困惑した。



(? 何が起こっている? わからない? いてぇ? なんでだ? なんで空が見えるんだ?)



「お……なにーーーだよ!! ナオト!! はや……上がれ!! ーー立ち上がーー……!!」



シュイチは必死そうに叫んでいるがナオトには聞こえなかった。頭にノイズが走る。

視界が揺れる。



(たちあがる? おれは……たおれているのか!?)



シュウイチの言葉を聞いてナオトはやっと自分が倒れていることに気がついた。



(な、なんだ? これは!?)



立ちあがろうにも力が入らない、視界が揺れる。いや、脳、脳が揺れているようだとナオトは感じた。



「あ……う」



(こえが……だせない……あーいしきが……)



ナオトは再び顔に強烈な痛みを感じた。ここにきてようやく双葉イツキに殴られて倒れたのだと認識することができた。



そこでナオトの意識を途切れた。



「っ!!」



あまりにも一瞬、あまりにも呆気なく目の前でナオトを一発で沈めらたシュウイチは即座に結界を展開した。



「無駄だ」



しかし展開した瞬間に手を差し出し、魔力を解放したイツキに破壊される。

ガラスが割れる音とともに結界の破片が光の塵となって消えていく。



「……はぁ? また?」



パリンとガラスのように容易く破られてしまった結界を見てシュウイチは頭を抱える。

そして目の前にいるイツキの先ほどまでとは嘘のような圧倒的な魔力の前に困惑し震え上がった。

まるで何もなかった平地に突如巨大ビルがたったような感覚に陥る。



「……な、なんだよ…なんなんだよ!! その馬鹿げた魔力は!! さっきまで雑魚だったくせに!」



シュウイチは思わず動揺して声を荒げてしまった。

彼にとってこの事実は受け入れ難いことだった。



「……これで終わりか?」



「っ!! ならっ!?」



魔法で攻撃しようとした瞬間、まるで金縛りにあったかのように体が動かなくなった。



「ああ……ああ!!」



シュウイチは訳がわからず、恐怖を感じた。

イツキの瞳は赫く染まっておりまるでその姿は



「あ、悪魔……」



そうシュウイチは呟いた。



「……黒幕はキッシー・ナックル・ボードウィンだな?」



「うーん、よくない予感があたちゃったかー」


誰かがそう言った瞬間弓矢がイツキの顔面めがけて放たれた。

しかし、その弓矢はイツキの目の前で静止した。



「悪いけど。この若人達はおっさんが回収させてもらうよー」


その弓矢はイツキの意識を向けさせるための囮だったのだ。

ローブを纏った中年はすぐさまシュウイチとナオトを担ぎ、ネルトから姿を消した



「……転移魔法か」


(おそらくボードウィン王国付近まで飛んだな……今のところは……なんとかなったか)


イツキは今回の襲撃はただの前哨戦に過ぎないと確信した。











「面白かった!」


「少し笑ってしまった」


「続きが気になる、読みたい!」


「クソニートのイツキは今後どうなるのっ……!」


と思ったら


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面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!


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