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第68話 星の綺麗な夜




イツキの姿を見て、よかった見つかったとリリスはひどくホッとした。

若干目をうるわせながら彼女は双葉イツキに近づく。


イツキはリリスの気づいていないのか自身の掌を黙って見つめ、ため息をついた。



「元に戻すってそういうことかよ……あの……め」



リリスはイツキの呟きを全ては聞き取る事が出来なかったが、ひとまずリリスは声をかけることにした。



「イツキさん?」


「っ!!」



リリスに声をかけらえイツキは飛び上がる様にびっくりした。すぐさま、手のひらを隠す。

リリスはその行動に少し不思議に思い問いただそうとした瞬間



「リリス? いつからそこに? というかどうしたんだ?」


イツキが先に言葉を出した。



「え、ああ。イツキさん調子が悪くなって宿で休んだって聞いたので心配で見に来たんです。けど宿屋にいなかったのでこうして探していたんです」


「ああ、そうだったのか。いやぁ、ついお肉を食べすぎてしまって……吐くまで数秒前だったわ」



あははまいったと頭をかきながらおちゃらける。



「もう、気持ちはわかりますけど……食べ過ぎはだめですよ? 今はどうですか? 吐き気とかはないですか?」


「おう……宿屋で横になったらだいぶ楽になったよ。心配してくれてありがとな」



いつもの様に微笑んだイツキを見て、リリスは心の帯を緩めたように安心した。



「なら皆さんのところに戻りましょう」



リリスはイツキの手を取り、みんながいるところまで連れて行こうとした。手を取ったのは完全に無意識だった。

手を繋いでいないとイツキがどこか知らないところに行ってしまうのではないかと心のどこかで思っていたからかもしれない。



「俺はもう少しここで夜風に当たりながら星を見ているからさ、リリスはみんなのところに行っておいで」



優しい声、優しい眼差しでイツキは言った。その言葉は自分のことを気を遣ってくれているのだとリリス自身理解はできた。だけど、少し距離を置かれてしまったみたいで悲しかった。

ついつい、リリスの手を握る力が強くなる。放さないように、離れないように。



「……いや、です」



俯き、弱々しい声で言った。



「……え?」


「イツキさんがもう少しここに居るのなら、私もここにいます。だめ……ですか?」



今にも泣きそうな顔をして、声も若干だが震えている。

これは懇願だった。貴方の側を離れたくない。そう思わせてしまうようなリリスの様子に 



「お、おう。リリスがそう言うのなら別にいいけど」


戸惑いながらも首を縦に振った。


「……はい」



二人は手を繋いだまま横並びになり、柵にもたれ、時より吹く夜風を心地いいと思いながら星空を眺めてた。



「……あの、リリスさん。手は離してもいいのではないでしょうか? 嫌と言うわけではないのですが、もし他人に見られたら誤解されてしまうというか……」


「誤解ですか?」


「ほら、こ、こ恋人とか思われたり、思われなかったり?」



イツキは緊張のせいか挙動不審になりながらも言い切った。確かに、二人抜け出して手を繋ぎながら星空を見上げるという行為は何も知らない人からするとそういった誤解をされかねない。


双葉イツキのいうことはもっともである。



「……………手を」


「ん?」


「手を離してしまうとイツキさんがどこかへ行ってしまいそうで、怖いんです」



リリスは俯いていてその表情は分からない。しかし見えなくても怯えていることはわかった。



(大丈夫、俺はどこにもいかないよそう言ってもリリスは安心しないだろう。今のリリスには言葉じゃ伝わらない。それに……そんな無責任な言葉をいうわけにはいかない)



そう思ったイツキは言葉ではなく、行動で示すことにした。

先ほどリリスがしたのと同じように握っている力を強めた。

するとリリスはひどく安心した様にはにかんだ。

イツキはリリスの表情を見て一安心し、空を見上げた。本当に綺麗な星空だった。

こんな空は生前見たことがない。


イツキは星空を見ながらそういえば、地上の光がたくさんあと大気のゴミに反映してうんちゃらかんちゃらで星の光が見えなくなるんだっけ? とテレビで見た知識を朧げながら思い出していた。


そんなイツキの横顔をリリスはずっと見ている。


ぼーと吸い込まれそうに見上げるイツキは特別かっこいいとかそんなことはないのだが、リリスは何故かイツキから目を離さなかった。



(どこか行ってしまいそうなんて。なんであんなこといちゃったんだろう)



リリスが先ほど言った言葉は自然と出てしまった言葉だった。

今になってどうしてと冷静になった自分がいる。どうして、こんなにも近くにいるのにどこかへ行ってしまうと思ったのだろう。現にそう思ってもイツキの手を離そうとは思わない。


心の奥にある小さな不安がそうさせてしまう。



「イツキさんは……どこにも行ったりしませんよね? 私達を置いて行ったりしませんよね?」



隣にいるイツキにすら聞こえないほど小さく呟いた。



「……ん? どうした? そろそろみんなのところに戻るか?」



「えっ、あ、は、はい。戻りましょうかっ」



一瞬、聞こえてしまったのかと焦りながらリリスは手を握ったまま仲間達の元へ歩き出す。



「あ、ちょっとっ流石に手を離さないと色々面倒なことにっ!」



言っても一向に手を離そうとしないリリスにイツキは引っ張られて行った。









「面白かった!」


「少し笑ってしまった」


「続きが気になる、読みたい!」


「クソニートのイツキは今後どうなるのっ……!」


と思ったら


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