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第67話 不安



夜になり、ヨームゲンはレギス・チェラムと勇者パーティを歓迎する宴が始まっていた。

村の真ん中にある広場でキャンプファイヤーのような大きな焚き火があり、愉快な音楽が流れ、酒を飲む者や料理を食う者、踊る者様々だった。


勇者リリスはそんな中、改めて挨拶に来た村長と雑談をしていた。



「勇者殿、楽しんで頂けてますかな?」


「はい、みんな楽しんでますよ」


「ちょっと、ルイ、ちゃんと野菜も食べなさい」


「えーいいじゃん。今日くらいはお肉ばっかり食べても!」


勇者パーティであるオルテシア姉妹はいつもと同じやりとりをしている。

ただ今日は少し違っていた。



「リンの言う通りだ。きちんと野菜も取らないとな」



北条ユウヤが追撃のようにルイが持っているお肉が山盛りの皿に野菜を乗せた。



「ぎゃー!! 野菜を食べないとお肉が食べられない! もー何するんですかっユウヤさん!」



涙目で訴えるルイにユウヤは諭すように言う。


「栄養のバランスは大切だからな……体調も崩しにくくなるから」


「……う。わかりました。食べますとも」


ユウヤの心配そうな表情と声を聞いてルイは乗せられた野菜を食べる。



「ルイはユウヤの言う事なら聞くのよね……」



リンは苦いーと言いながらもそもそと食べる姿を見て複雑そうに呟いた



「あー!! 助手君!! 私のシュワサワー取らないでよー」



ユメはぷんぷんと自身のシュワサワーを取ったキョウヘイに文句を垂れる。



「いや、ユメは酔ったら大変なことになるから……」


「大丈夫、今日は一杯だけにするから!」



ノープログレムと言いたげなドヤ顔をしながらシュワサワーに向かってバタバタと手を伸ばす。



「その一杯でベロンベロンに酔うんだろ……」



キョウヘイは何もわかってないと額に手を当てながらジョッキを届かない高さまであげる。

酔ったユメを介抱するキョウヘイの姿はある意味での定番になっていた。


「ちょっと、動かないでよ。食べづらいじゃない」


「人に大量に盛りつけた皿を持たせて言うセリフじゃねぇよ!」



ソウスケは料理が山盛りに乗っている皿を腕をぷるぷるしながら言う。

リンはひょいパクと料理をひたすらに食べていた。


そんなリンをみながらこれ僕がよそったんだけど自分の分なんてないんだろうなとソウスケはほろりと涙を流す。


「ほら、あーんしなさい」


「えっ……んく!?」


ソウスケは予想外と言わんばかりに開いた口が塞がらなかった。

リンはフォークで肉料理を刺し、そのままソウスケの口元まで運んだ。


「……あ、これうまいね」


「私がえらんだんだもの」



当然ねとドヤ顔するリンに対しそうっすねと雑な返事をしたソウスケは彼女に足を踏まれてしまった。

そんな光景を勇者リリスは微笑みながら見ていた。


みんな笑顔で楽しそうで、幸せそうでこんな時間を守っていきたいとリリスは強く思う。


「そのようですな。では私はこれで」



互いに一礼し、村長は去って行った。



「あれ?」


そんな中、リリスは双葉イツキがこの場に居ない事を気づいた。

先程までお肉料理を食べながら踊りを楽しそうに見ていたのに。

周りを見渡しても姿は見えない。



「あれ? イツキさんは」


「肉料理食べ過ぎたかなんか言って村の人に支えられて休みに行った」


「やっぱり馬鹿ね」


ソウスケの答えにリンはもぐもぐと料理を食べながら言った。


「私、ちょっと見てくるね」


「リリスちゃんはイツキの事が大好きだねー」


ソウスケは軽いジョークの様にニヤニヤしながら言った…



「へっ!? や、別にそんなのじゃあ……」



ソウスケの言葉にリリスは顔を赤くする。


「リリスをからかうのはやめなさいよ」


「あいて」



リリスの反応を見て楽しむソウスケにリンが鉄拳制裁を加える。

それを困り笑顔で見ながらリリスはイツキの元へ歩いていった。


おそらく、宿屋にいるのだろうと予測し、リリスは宿屋に向かう。

その最中、先ほどソウスケに言われた言葉が耳に残っていた。



(イツキさんのことは好きだけど……そういうのじゃないと思う。そもそもこれまで恋なんてしたことないし、わからないよ……)



リリスの好きと言うのは仲間であるリン、ルイ、ユメやユウヤ、ソウスケ、キョウヘイに対する気持ちと同じでライクという意味あいが強かった。



(それに、イツキさんは私を命懸けで助けてくれたし、彼がいなければ聖剣も力も解放できなかった。そしてママを……村を救ってくれた。そんな人を気にかけるのは変なことじゃないよね)



リリスはうんうんと頷きながら納得する。



(うんうん。イツキさんがいてくれたから今の私が居るんだ。イツキ……さんの……おかげ……で……私……イツキさんが居なかったら……どうなってたんだろう……)



リリスは足を止めてしまった。



(なんだろう……一瞬すごい鳥肌が立った。寒くないのに……とても)



少し駆け足で向かい宿屋に着き、イツキを探したが、姿が見えない。



「あれ? 居ない……なら」



首を振り払いリリスは宿屋を出て宿屋の周辺を探した。探しても探しても双葉イツキの姿が見つからない。

何故か、だんだんと不安に駆られていくリリスの足取りは早くなっていく。なぜか呼吸も荒くなっていき、とうとう走り出してしまった。



(どこに……どこにいるの?)



とうとう村の出入り口まで来てしまい、リリスは流石にここには居ないかと思いながら辺りを探すと赤のジャージをたなびかせ、柵に寄りかかっている双葉イツキがいた。








「面白かった!」


「少し笑ってしまった」


「続きが気になる、読みたい!」


「クソニートのイツキは今後どうなるのっ……!」


と思ったら


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