第61話 花の指輪
「エレナはこれから何か予定があるのか?」
部屋を出て白の外へと向かうため、廊下を歩いている中聞いた。
「はい。前線を押し上げる為に砦に行ってきます。数日後、勇者様とその一行が来られますし。その時までに少しでも戦況を良くしておこうかと」
「そっか……頑張ってるんだな」
「イツキさんも今度の幹部戦には召集をかけるので、その時はお願いしますね?」
頼りにしてるんですから……とエレナ小悪魔的な笑みを浮かべた。
え、マジで? 俺も招集対象になってるの? あれって勇者パーティとかも参加するヤベェやつじゃなかったけ?
「ちなみに幹部戦ってどんな感じなんすかね?」
「そうですね……部隊に分かれて攻め入る感じですかね? 基本的に勇者様方や私達王族が幹部の相手をしてグランドマスターの方々は軍勢の一掃でしょうか?」
そこは状況によって色々です。とエレナは言った。
もし、戦うとなると他のグランドマスターと協力していかないといけなくなるのか……コミュ障で人見知りの俺に出来るのだろうか? う、なんだか胃がっ
「お腹を抑えてますが大丈夫ですか?」
心配そうに覗き込むエレナに心配ないと返す。
まぁ、全然大丈夫じゃないんですけどね。
「さっき調子こいて食べ過ぎたかもしれない」
本当に? と言いたげな顔をするエレナにそう言ってやるとそういうこといですかと呆れていた。
長い廊下と玄関を抜けると門を抜けると広く整地されている園庭が広がっていた。
派手で大きな噴水や様々な花々が咲き乱れておりとても綺麗な園庭だ。
「おお、これはすごいな!!」
あまりの美しさに心を打たれ、テンションが上がった。
「そこの白い花は夜になったら光を放つんです。とても綺麗ですよ」
「へぇー」
園庭を見渡すと端には芝生も生えており、そこにも花が咲いている。
「なぁなぁ、エレナ。ちょっとこっち来いよ!!」
まだ時間はちょっとはあるだろと芝生に向けて全力前進した。
「あ、待ってください!! もう!」
言葉こそは怒っているように見えるが声色はとても穏やかで優しかった。
「ちょっと待ってろよー頑張っているエレナちゃんにご褒美をあげよう」
芝生に座り込み、生えているシロツメクサを摘み取る。
ふむふむ、おお、いい感じに仕上がってきたぞ。
「何にをやっているんですか?」
ふふ、よくぞ聞いてくれた!!
じゃん! と言いながら俺の自信作をエレナに見せた。
「これは……シロツメクサの指輪ですか?」
手のひらにちょこんと指輪をのせて驚きの声を挙げた。
「そうそう。どうだ? 結構いい感じにできたと思わないか?」
今更になって若干の恥ずかしさが出てしまい紛らわすためにあははとガキみたいなことを笑いながら言った。
(へー意外だね。マスターこんなのできたんだ)
(こういうの付けれたらモテるかなって思って必死に練習した)
(それってエレナちゃんみたいな歳の小さい子にだよね?)
(…………)
(おい、ロリコン。なんとか言え)
エレナは俺の言葉を聞いて微笑みながらシロツメクサの指輪を嵌める。
「器用なものですね……あ、サイズもぴったしです」
「いやいや、こんなん簡単に作れるぞ。やり方はー」
エレナにシロツメクサの指輪の作り方をレクチャーする。彼女も興味があったのかふむふむと座り込んで食いるように真剣な眼差しで聞いていた。
「えっと、ここをこうして……あ、あれ?」
レクチャー通りにエレナも指輪を作ってみるが、うまくいかず、ぐちゃっとなってしまう。
そ、そんなはずはと狼狽えながらも懸命に作り作り続けるその姿は年相応の女の子だった。
そんな姿を見て改めて思う。うん、やっぱり第一王女って感じじゃないな。周りが第一う王女扱いするのなら、せめて俺だけはこいつのことクソガキとして見てあげないといけないよな。
「あーここはこうしてこうって……お前さん以外に不器用だな」
「う、うるさいですね……」
エレナは恥ずかしさで頬を赤くし不貞腐れながら呟いた。
「こ、今度会う時までには作れるようにしますからっ! 行きますよ!」
ばっと立ち上がって城門へと向かうエレナの後を追いかけながら
「本当かぁ? ほんとかなぁ?」
追撃をかけてやる。
「し、しつこいですね……ほら、門が見えてきましたよ」
エレナをいじっていたら、城門に着いていた。
「では、また。今度は5大ギルド会議の時ですね。サボっちゃダメですよ。もし来なかったら会議時間を延期して迎えに行きますから」
「いや、それは勘弁してください……」
五大ギルド会議といういかにも面倒くさそうな単語が出てきてげんなりしたのをエレナは気付いたのか釘を刺して来やがった。
「…………」
エレナは黙ってじっと俺の顔を見つめている。
「ん? なんだよ?」
「あ、いえ。なんだか胸騒ぎがして。あの、本当に気をつけてくださいね?」
俺の着ているジャージの袖をぐっと掴みながらいうエレナの顔は本当に心配しているような表情だった。
「でぇじょうぶだ。何かあったらすぐ助けてぇ〜エレナ〜!! って叫ぶから」
心配をさせないようにおちゃらけながらいうと
「そうしてください」
とマジトーンで答えられてしまった。
エレナに手を振りながら、俺を置き去りにした3人の元へ向かった。
「面白かった!」
「少し笑ってしまった」
「続きが気になる、読みたい!」
「クソニートのイツキは今後どうなるのっ……!」
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