第58話 王様に呼ばれました!!
ペシペシと頬を叩かれている。
誰だよ。地味にいてぇよ。やめてくれ。昨夜リーシャと遅くまで飲んでたせいでまだ眠いんだ。
「ヤバくない? こいつ、これだけしても全然起きないんだけど」
この声、ソウスケか……という事はさっきから頬叩いてるのはこいつだな?
「仕方ないね。これだけは使いたくなかったけど……この白ネギを尻の穴に突っ込んで」
「やめろ」
目を開けて、恐ろしいことを口走ったキョウヘイに突っ込みを入れる。
「なんてね。冗談だよ」
栗色の髪、中性的な顔立ち、糸目で張り付いたようなおだやかな笑顔をしたキョウヘイが白ネギを持ちながらソファーに寝転んでいる俺を覗き込んでいた。
「嘘だ!! ネギ持ってるじゃん!! やる気満々だったじゃん! というかその白ネギどこから持ってきたんだ!?」
あははとキョウヘイは俺の叫びを受け流す。
身体を起こして周りを見渡す。
ここ俺の部屋じゃないな。どこだ? なんか待合室ぽいけど。
昨日の記憶を脳みそをフル回転させて呼び起こす。
えっと、リーシャと飲んだ後、あいつ俺のベッドで爆睡しやがったからソファーで寝てたんだ。
「あー頭痛い……」
昨日の宴でシュワサワーを飲み過ぎたせいか、二日酔いに陥っていた。
頭痛で思考が停止する。
「大丈夫か?」
黒髪に鋭い目つき、幽鬼のような白い肌をしたユウヤが水が入ったコップを渡してくれた。
サンキュと言いながら水を一気飲みする。
「ふぅ。ユウヤ。ここは?」
「ここは王城の待合室だ」
王……城?
「たく……イツキが全然起きる気配がなかったから僕がここまでおぶってきたんだからな!」
今度シュワサワー奢れよ!!と金髪で童顔のソウスケがプリプリと怒っている。
「わかった。わかった。今度奢るって」
俺が爆睡してる間に3人がここに連れてきたのか。……なんで? そもそもこいつらが揃っている事自体が珍しい。
「お待たせしました。ご案内いたします」
黒髪ロングの凛としたメイドさんが部屋に入って来た。
「分かりました。じゃあ行こうか」
キョウヘイの一言でソウスケとユウヤは席を立ち、部屋を出た。
ちょっ色々聞きたいことがあったのにっ!
仕方なく置いていかれないよう慌てて3人の後を追う様に俺も歩き始める。
メイドさんを先頭にしてだだっ広い廊下を歩いている。
「え、マジで城じゃん。なんでこんな所にきたんだよ」
こそっとメイドさんには聞かれないようにキョウヘイの耳元で聞く。
「国王の召集だよ」
同じく、小声でキョウヘイからの回答が来た。
召集?
なんだ?
うちのギルドが何かやらかしたんだろうか?
「おい、ソウスケお前何やったんだよ?」
「僕じゃねぇよ! 今回国王に呼ばれたのはお前だよ!」
「おれぇ?」
ソウスケの言葉に首を傾げる。
理由を聞こうとした瞬間、メイドさんが立ち止まる。
目の前には玉座の間の扉がある。自然と背筋がピンと伸び、気持ちがシャキッとする。
ドキドキする心臓を深呼吸して落ち着かせる。
メイドさんが扉を開け、玉座の間に入った。
玉座の間には騎士や大臣が縦に並んでおり、その最奥部には玉座がある。
一つは国王っぽい豪華な服と王冠に豪華な服と赤のマントをつけた金髪のおっさんが座っている。あーなるほ
どこれが国王か。いかに国王!って感じだな。
3人は玉座の目の前で国王に向かって跪いた。
はっとワンテンポ遅れて俺も跪く。
「イリエ王、本日はお招きしていただきありがとうございます」
隣で跪いているユウヤが国王に言った。
「いや、忙しい中今日はよく来てくれた。レギス・チェラムのグランドマスターである双葉イツキはお前か?」
うわぁ名指しじゃん。しかもめっちゃこっち見てるし。
マジで俺に用があるのかよ。面倒ごとは勘弁してくれ〜
「あ、はい。そうです。お会いできて光栄であります。今回は私に用とのことですが……」
帰りたいという気持ちを抑え込み、なんとか顔には出さないように国王に聞いた。
頼む。さっさと終わらせてくれおっさん。
「ああ、その前に私はこの国の国王イリエ・フォンキャメロットだ。今後魔王幹部の城に攻め入る際には力を貸してもらう事になるがよろしく頼む」
ん? フォン・キャメロット? 聞いたことがある名前だな。
なんかつい最近聞いたような……
「先日、ネルトを訪ねた時には不在とのことだったからな。こうして直接会って話がしたかったのだ」
(ほーん。なるほどね。何かやらかしたわけじゃないんだな。ビビらせやがって)
(めっちゃ上から目線でワロタ。なんでそんなえらそうなの?)
「さて、こうして顔合わせをするのも目的でではあったが、もう一つの目的を果たしたい。魔王軍幹部である竜王ジーヴァについてだ」
「あ、竜王でしたら昨日戦いましたよ」
用っていうのは竜王についてだったか。そういえば昨日ソウスケが国王がうんぬんかんぬん小声で言ってたな。
「……なるほど。周りを下がらせようか。この話はあまり聞かれたくない」
イリエ王の一声で周りにいる騎士たちは一礼し部屋を出て行った。
広い玉座の間で俺達4人とイリエ王だけになる。
コンコンと扉を叩く音がした。
「入れ」
イリエ王の許可を得て、叩いた主は扉を開ける。
「失礼します」
扉を開けて入ってきたのはエレナだった。
長い金髪と碧眼、純白のドレスを着こんで頭にはティアラを付けている。その姿はまるでお姫様の様だ。
「あれ? エレナじゃんか! どうしたんだよ。こんな所に来てーあ、そうか。お前も竜王に襲われたんだったな! 俺と同じで国王に呼び出されたか!」
「全く……あなたは相変わらずですね」
困ったような呆れた様子でエレナは言った。
「あの時、置いて行ってしまってごめんなさい。ご無事で本当によかったです」
なんだ。心配してくれていたのか……んだよ。可愛いとこあんじゃん。
「当たり前よ! なんたって俺は」
「レギス・チェラムのギルドマスターですもんね?」
「……わ、わかってるじゃないかっ。こいつぅ」
素直になったエレナの頭をなでなでしてやる。
べ、別に照れ隠しでやっているわけじゃないよっ!!
わ、やめて下さいっというエレナの声を無視してくしゃくしゃと頭を撫で続ける。
「……随分と仲が良さそうだが」
「そうですね。まぁ、仲はいいですね。なっ?」
国王の言葉に笑いながら返す。
別に良くないですっとエレナに言われたが照れ隠しだろうか?
撫でる力を強めてやろうっ!
ふと見るとキョウヘイは引きつった笑みを浮かべ、ソウスケは呆然とし、ユウヤは感心そうに俺とエレナを見ている。
「まぁいい。一応紹介しておこう。彼女はエレナ・フォン・キャメロットこの国の第一王女であり、私の娘だ」
…………………………?
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撫でていたての動きがぴたりと止まった。
「え? すいません。もう一度言っていただけないでしょうか?」
「第一王女であるエレナ・フォン・キャメロット。私の娘だ」
???
「第一王女?」
「第一王女」
エレナに聞くと頷きながらオウム返しのように同じ言葉を返された。
……マジ? おいおいおいおい死んだわ。俺。
「面白かった!」
「少し笑ってしまった」
「続きが気になる、読みたい!」
「クソニートのイツキは今後どうなるのっ……!」
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