第47話 案内する事になりました!
「なっ!?」
第一王女!? ってことは王族?
まさか、魔王軍幹部戦にカチコミを決め込むヤベェ奴らの一人なのか?
いや、待て。今の言葉は真実か? ブラフの可能性もあるぞ。ここは簡単に信じず、探りを入れてみるか。
「なんでそんなお偉いさんがこんな所に?」
「それはネルトで起きた賢王戦についてとネルトの修繕作業の援助のお話をするために来ました」
ふふんとない胸を張る自称第一王女。その姿はなんだか子供っぽかった。
「なんで一人なんだよ」
俺の質問になんちゃって第一王女はうっと突っ込まれたくなかったところを突っ込まれてしまったかのように狼狽える。
「そ、それは……本来、ここにくるのはお父様だけの予定なんです。……私も行きたいとお願いしたら却下されてしまうまして」
「お前……まさか」
「はい……その、勝手に出て後をついて来ちゃいました……それで、何人かに私がここに来たことがバレてしまいまして」
ワロタ。行動力の化身だな。
「なんでそんなことを」
「だって、普段城に篭りぱなしで……街とか来たことなかったんですもん」
俯きながらつぶやく彼女は心なしか寂しそうに見えた。
なんか、雰囲気が捨てられた子犬みたいだ。
「このままだと、騎士団に捕まって王都に連れて帰られてしまうんです! レギス・チェラムに着きさえすれば連れて帰られないと思うのです!」
訴えてくる自称第一王女(笑)に適当に相槌を打ってあげる。
「……なるほど。事情は分かった」
「!! それでは!」
「じゃあ、そう言うことで。あとは自分で頑張ってね。応援してまちゅ〜」
俺の生前外れたことがなかった勘が言っている。この自称第一王女に関わると面倒臭いことになると。
ここは関わらないほうが無難だ。
方向転換し、自称第一王女様に笑顔で手を振って大通りに出ようとすると
「ええ!? どうしてですか!? お、置いて行かないでください!」
逃がさないと言わんばかりにガバッと背中から抱きつかれた。
ち、力が強い!? 振り解けないぞこれ! あ、ちょっと力が強くなってきてる。痛い痛い!!
「わかった! わかったから!! 離れてくれ!」
「……本当ですか?」
「本当!! 本当!! 嘘じゃないです!! だから早くやめて! なんか体からポキポキって音が鳴ってるから!」
パッと体を離して頂き、振り向くと第一王女(嘘)にむすっとした表情でジト目でこちらを見つめられていた。
「すまん。はっきり言わせてもらうが、お前が第一王女ってこれぽぉ〜ちも信じてない! アニメやラノベじゃあるないし、こんなベタな展開あるか! ローブの被って怪しいし!! そんなに信じて欲しかったら証拠を見せてみろ! 王族なら勲章とか色々身につけてるだろ!」
そんな第一王女さんにかまう事なく心の言葉をぶっちゃけた。
「しょ、証拠ですか? う、その……飛び出して来たのでそんなものは持ってないのです」
「はい詐欺師!! そうやって嘘を付いて人を騙す。そういうの詐欺師って言うんですぅ!!」
「さ、詐欺師!? 私嘘ついてないです! 本当に第一王女なんです!! エレナ・フォン・キャメロットなんです!」
自称第一王女ちゃんはもーと言いながらぷくと頬を膨らます。
うわーめんどくせ。これはあれだこのままでは話が進まない奴だ。
この場から逃げ出すのが最善ではあるが、それはこの自称(笑)第一王女が許してくれないだろう。
「あーもう。わかったわかった。君の話を信じるよ。うんうん。君は第一王女、エレナ・フォン! キャメロッツなんだね。えらいねぇ」
「本当に信じてますか? なんだか小馬鹿にされているような気がするのですが……」
「いいから行くぞ。キャメロッツ!」
「あ! ちょっと!」
怪しそうにジトとした目で見てくるキャメロッツの手を取って歩きだした。