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第37話 魂は燃えているか




双葉イツキの姿は大量に血が流れ、左目は潰れ、左腕も消失している。誰が見ても死に体。

持って数分の命であろうことは誰が見ても明らかだった。



「馬鹿な……無駄な足掻きだというのに」



賢王はまるで理解ができないと言った様子でイツキの姿を見ていた。

もうその命は消え去るというのに、無駄な足掻きだというのに。



「わかってねぇな。賢王、俺の魂はまだ燃えてんだよ」



俯いていた顔をあげたイツキの目は獰猛になりその瞳は朱く眼光は尾を引いていた。

まるで悪魔のように。


その姿を見てる賢王の直感が告げていた。自分は今目覚めさましてはいけないものを起こしてしまったと。

先ほどとは違い、何やら得体の知れない力に溢れている。これはもはや人間ではない。


今、ここで始末しなければ、魔王軍は終わる。


イツキの変化に伴い天変地異が起きたかのように豪雨に加え、雷も降り注ぎ、天候が荒れた。



「アモン」



イツキが右手を差し出し、そう唱えた瞬間、ユウヤの黒炎が消えた。



「馬鹿な!? わしの黒炎がいとも容易く!?」


賢王は目の前に起こった事実に驚愕した。

第7の悪魔アモンの力によって全ての炎はイツキの支配下にある。ゆえに賢王の黒炎を消し去るなど雑作もないことなのだ。



「フェネクス」



イツキは第37の悪魔フェネクスの力でユウヤ達の体を全快させ続いてイツキは第9の悪魔であるパイモンの力で4人をネルトに転移させた。



「なるほど、やりたい放題しおるわっ!?」


賢王はイツキに天級魔法を使用しようと手を掲げた瞬間その手を正体不明によって捻じ曲げられた。



「がァァァァァ!」



(な、なんなんだ? この力は……!? 分からん! 説明不可能な力!?)



賢王には理解ができない力は第5の悪魔であるマルバスの万物を捻じ曲げる力だった。

もはや防御不能、認識不可能のその力に賢王の防衛本能が危険信号を鳴らしていた。



「クロノス!!」



賢王はすぐさま奥の手である界級魔法オーバークロックを使い、領域内の自身以外の時間流をほぼ停止状態にした。


大量の雨粒が空中で静止する。無音の世界。

ここは自分が絶対者になる世界。無敵の世界。賢王が自身に絶対的な自信を持てる理由でありオリジンなのだ。



「神崩し・流星」



空に大きな穴が空いた。その穴は満天の星で覆われている。

時がほぼ静止したこの世界で満天の大穴から幾つも、幾つも、無数の隕石がまるで流星のように降り注ぐ。空から放たれた無数の流星群は轟音と共に空を切り裂き圧倒的な速さと質量でイツキを蹂躙しようとしていた。



「これで終わりだ」



限りなく静止した世界で天級魔法神崩し・流星を放つことによって確実にイツキを殺す。

それは賢王が使える最強の組み合わせだった。


賢王が勝利を確信したその直後、一瞬で全ての流星が打ち砕かれ、木っ端微塵になった。



「なっ!?」



賢王はその光景を見て絶望にも近い感情に支配されながら放心した。神崩し・流星が破られたことに対してではない。

時間の流れを操作している世界の中で双葉イツキはごく普通に雨粒を弾き飛ばしながらこちらに向かってを歩いていた。


賢王の全身から大量の汗が吹き出した。それは双葉イツキに対する恐怖心からでる汗だった。

あまりの衝撃に賢王は体が動かなかった。



「それは違うぞ。動かないんじゃない。動けないんだ」



イツキはそう言い放ちながら右拳を賢王の顔面目掛けて放った。



「動いていいぞ」



そう言った瞬間、まるで賢王の時が動き出したかのように静止した雨粒を弾きながら倒れ込んだ。



「なっ!?」



理解できないと言わんばかりに倒込んだまま賢王はイツキを見つめる。



「お前が自身が作り出した領域内の時の流れを操ってるんじゃない。俺がこの世界の時を止めた。それだけだ」



イツキは第68の悪魔ベリアルの時間操作の力を使い、この世界の時を完全に停止させていた。

この力を使っている時はイツキを含め、彼の許可を得た者のみが認知及び行動が可能になる。

賢王はその言葉を聞いて絶句した。


時を止める力は何万年魔法を探究してきた賢王でさえ、辿り着けなかった境地だったから。



(世界の法則を変える力、全知全能のみが許された権限それを……こいつが?)



その考えに至った瞬間、恐怖が賢王を支配していた。体は子鹿のように震えが止まらない。

まるで、稀で蟻が像に挑むような、そんな絶望的な力の差を感じてしまったのだ。


そして時は再び動き出した。



「アイム」



イツキは万力で賢王の体を浮かせそのまま遥か上空に一瞬で賢王を打ち上げる。

打ち上げられた賢王の体は雲を切り裂き、青空が一気に広がった。



(な、なんて力だっ!! 抵抗できんっ!! このまま上へ押し出されるっ!!)



わずかな抵抗も許されず、その圧倒的な力になす術がないまま賢王は宇宙空間に到達してしまっていた。



「遅かったな」



そこには待ち受けていたかのように双葉イツキがいた。

フェネクスの力によって宇宙空間でも難なく行動可能になっている。今の彼は宇宙だろうが、深海だろうが、猛毒ガスが吹き荒れる地帯であろうが、生命体が活動不可能な場所でも問題なく活動できる。



「ここはお前の墓場だ」



イツキが右手を前に差し出した瞬間、夜空に瞬く蒼い星のごとく煌めいている光の粒子が集まってくる。原子にて万物たる燐光はある事を引き起こそうとしていた。



「まさかっやめろっ!!」



その答えに辿り着いた賢王は必死にイツキに呼びかけた。



「失せろよ。お前がいるとリリスは2度と笑えない」



イツキが右手を握りしめた瞬間、創生の輝きでもあり終焉の輝きでもある蒼い光の粒子が臨界点に達し、爆裂するようにその膨大なエネルギーが解き放たれた。


双葉イツキは超新星爆発、つまりビックバンを発動佐世保、賢王を跡形もなく消し去ったのだ。

その瞬間、勇者リリスの黒く塗り潰された運命は空白で未知のものとなった。










「面白かった!」


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「続きが気になる、読みたい!」


「クソニートのイツキは今後どうなるのっ……!」


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