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第33話 力




「キョウヘイ、ラクスの様子は?」


「大丈夫、ラクスはヒーラーに治癒魔法をかけて貰っていたからね。無事だよ」



ユウヤの問いにキョウヘイは答えた。 



「流石キョウヘイ、仕事が早いねー僕の見せ場も取っちゃうしさ」


「ソウスケはさっき十分活躍したと思うけれど?」


「だな」



ユウヤとキョウヘイとソウスケの会話をしているのを見てイツキは懐かしさを感じていた。



「…………」


「ん? どうした?」



ソウスケがそんなイツキに話しかける。


「いや……あーお前ら大事な戦いだったんだろ? 抜け出してよかったのか?」


「いや、多分……いや、絶対良くない。けど事情を説明すればなんとかはなるよ……多分ね」



珍しく自信がなさそうに呟くキョウヘイ。



「もし何か罰が降るなら大人しく受けるさ」



微笑みながら答えるユウヤに2人は同意した。

賢王はその様子を上空から見下ろし、思考している。



(北条ユウヤ、一ノ瀬キョウヘイ、そしてあの金髪……神崎ソウスケは竜王を撃退し、勇者パーティと並び魔王軍の間でも要注意人物として挙げられていた者たちだな。)



厄介なと3人揃った光景を見て賢王は思わず口をこぼし、とんと中指で杖を叩いた。その動作の直後、巨神兵は命令が下されたかのように進軍した。


目標はイツキ達ではなく、破壊された2体の巨神兵に向かって駆け出し、両手で一体ずつ同時に胸を真ん中に手を入れ青いコアのようなものを引きずり出した。



「あれは……まずい!」


「ウォォォォォォッ!!」



キョウヘイが巨神兵の行為を止めようと駆け出した瞬間、巨神兵がの大咆哮が炸裂する。



「っぐ!!」



大咆哮によって生じた風圧がキョウヘイらの動きを止め、そして2つのコアを一気に飲み込んだ。



「ウボアァァァァァァァァァァ!!」



目を大きく見開き獣のような雄叫びを上げながら宙に浮き、褐色だった肌の色は純白に染まり、その赤した変色瞳は6つに増加し、脇腹からボコボコっと生々しい音を上げながら左右に2本ずつ腕が生え、めりめりと筋肉の繊維が引き裂かれるような音と共に光の翼を広げた。


天に舞い6本の腕を広げているその姿は神々しく、忌々しく、見るものに恐怖を与える。



「さて、これならどうする?」



賢王はまるで試すかのようにイツキ達に言い放った。

本来であれば対勇者パーティに用意していた巨神兵の隠し球である覚醒形態を賢王は今ここで発動させた。

そうでなければこの4人は倒せないと考えたからだ。



(もしこれでも奴らを止めることができないのであれば、このワシが動かなくてはなるまい……しかし、その前にレギス・チェラムよ、お主たちの力を見せてもらうぞ)



巨神兵の覚醒状態によって恐怖を払拭した魔物の大群は再び4人に向け進軍した。


対する4人は転輪する巨神兵を見つめ、構えた。



「イツキとユウヤは周りの魔物の大群を、俺とソウスケであの巨神兵を倒す」



キョウヘイは拳をポキポキを鳴らしながら前へ出た。



「二人で大丈夫か?」


「大丈夫、大丈夫。よゆーだよ」



イツキはそう答えるソウスケの目をじっと見た。

無理をしているわけでも見栄を張っているわけでもない、その瞳にはいいから自分たちに任せておけという意志が込められていた。



「……わかった。それじゃ任せるよ」



そもそも一ノ瀬キョウヘイという男は無謀なことは絶対しない男だ。彼には彼なりの勝ち筋が見えているのだろう。


イツキは無用な心配だったかなとボソッと呟いた。



「よし、それじゃあ俺は500体狩るからユウヤは残り4500体ほどやっちゃってくれ」


「承知した」


「……ごめん。冗談、俺も頑張ってできるだけ倒しますから本気にしないで」


「俺は別にそれでも構わないが」


「マジかよ……」



イツキとユウヤは左右に分かれ、魔物の群へと駆けて行った。



「さて、どうするんだよ?」



ソウスケはちらっとキョウヘイの見る。



「単純さ。俺があれを空に打ち上げるから、最大火力で頼むよ」



キョウヘイは指をそれに向けながらいつもの張り付いたような笑顔でソウスケに言った。



「了解」


ソウスケはキョウヘイにどうやって打ち上げる? 

それだけ? 

そんなことは一切考えなかった。一ノ瀬キョウヘイはやると言ったら必ずやる男だと理解しているから。



「行くよ」



キョウヘイは足に地面が亀裂が走るむほどに力を溜め、一気に爆発させた。疾風の如く巨神兵へと突進して行った。


巨神兵は6つの腕から光の槍を生み出した。それには雷槍の倍の魔力が感じ取れる。

時間差を作りながら6本の光の槍を放つ。


それでもなお、キョウヘイは一瞬の躊躇も減速もすることはなかった。

先に飛んできた1本目をなんなく掴み取り続く第二撃の槍を打ち払う。続く第三撃の槍を掴み、両槍を持って第四撃も打ち払い、第五撃、第六撃は持っている2本の槍を投げて相殺した。


そして、音もなく、さらに加速し、一瞬で巨神兵の懐に入った。硬く握りしめ、突き上げた拳が壮絶な速度で突撃する。鈍い音を置き去りにして風圧を纏いながら巨神兵は空に打ち上げられた。



「ソウスケ!!」


「急かすんじゃあ……ねぇよ」



キョウヘイの叫びにソウスケは不敵に微笑みながら魔法を発動させていた。

ソウスケは杖を手から消して、代わりに掌に眩しく、煌々と煌めく極小粒の緋色した球体を生み出していた。



「なんだ、それは………」



極小粒の緋色の球体に膨大な魔力を感じとった賢王が驚愕しながらソウスケに問いかけた。



「ファイヤーボール」



ソウスケはそう言いながらファイヤーボールを打ち上げられた巨神兵に向けて天空へ放った。

打ち上げられた巨神兵はそのまま大きく口を開け一際輝くエネルギー波を射出した。


しかし、放たれたエネルギー波はソウスケのファイヤーボールによって掻き消されてしまう。

ファイヤーボールは巨神兵の顔付近で動きを停止し、限界まで濃縮された魔力が炸裂し、あらゆる音が今この瞬間、消え去った。


強烈な緋色の閃光とともに超絶大規模の爆発を起こし、周囲の領域全てを覆い尽くすほどの熱風と緋焔が包んだ。


巨神兵が消滅したと同時にユウヤたちは魔物の大群を絶滅させていた。と言ってもほぼユウヤが倒していたと言った方がいいだろう。


ユウヤは大剣で一気に半数のモンスター達を薙ぎ払い、一斉に敵に攻撃されてもものともせずに剣を振り続け魔王軍を殲滅して行った


そんなユウヤの後に続いてイツキはユウヤをフォローをする形で戦っていった。




(本当に4500体くらい倒しちゃったよ)


(マスター大丈夫? カッコつけて登場しただけで何もしてないじゃん)


(しっ! 静かにっ)



パチパチと空から手を叩く音がする。


ふと空を見上げると賢王が賞賛とばかりにイツキ達に向け拍手を送っていた。



「見事見事、よもや覚醒させた巨神兵をこうも容易く葬るとは……ワシの仕立てが甘かったわい」



賢王はそう言い放ちながら魔力を解放した。その圧倒的とも言える膨大な魔力は大気を震わせるほどのものだった。



魔王軍幹部との戦いが始まろうとしていた。






「面白かった!」


「少し笑ってしまった」


「続きが気になる、読みたい!」


「クソニートのイツキは今後どうなるのっ……!」


と思ったら


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