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第3話 街に着きました!






大門を潜るとそこにはレンガの家々が立ち並ぶ中世ヨーロッパのような街並みが広がっていた。

とんがり帽子と杖を持った女の人や鎧を着た男など冒険者たちがぞろぞろと外へ向かって歩いている。

なんかファンタジーって感じがする!

ひとまずはギルドを目指すとするか……


丁度目の前におばちゃんがいるので聞いてみるかと歩みを進めようとするが、何故か話しかけるのに躊躇している自分がいる。

気がつけば、少しだけど手も震えていた。


まさか、ここで引きこもりによるコミュ症が発動してしまったのか? いまさらどうして? リリスの時はなんとも無かったじゃないか。

いや、リリスが特別だったのだ。

彼女の笑顔には相手の心を惹きつけるような、心の壁を無くすような、そんな不思議な力があったから。


街の人が急に怖くなる。

仕方ないので聞き込みは諦めて自力でギルドの居場所を探すことにした。

ふらふらと歩いているとなんだか嫌な視線を感じる。


これは街の人たちの視線か? なんで見ている。見るなよ。なんなんだよ。

思わず下を向いてしまう。


そしたらふと前にいた世界の頃を思い出す。


駄目だ駄目だ考えるな。



「久しぶりだね。イツキ」



そんな悪循環に陥っていた俺を懐かしい声が救ってくれた。

その声に聞いて顔を上げる。



目の前には白のポンチョを見に纏い、栗色の髪、中性的な顔立ち、そして張り付いたようなおだやかな笑顔をした糸目の少年がそこに立っていた。


そう、その少年こそこの世界に来る前にバエルに転生させて貰った友人一人である一ノ瀬キョウヘイだ。

こいつはいつも後ろで俺たちを見て、冷静に物事を考えてくれる親友であり、ブレーキ役だった男だ。

テストや夏休み、冬休みの宿題など生前はこいつに何度助けられたことか……


(え!? 本当に友達居たんだ!?)


(君失礼すぎんか?)




「キョウヘイ!!」



久しぶりの再会に思わず、様々な思いが込み上げ、キョウヘイに向かって走り出した。

 そしてそのままキョウヘイに抱きつこうとしたら避けられ、勢いのまま地面にダイブしてしまう。



「なんで避けるの!?」



 あまりの仕打ちに思わず声を荒げて抗議する。


避けることないじゃん!! 久しぶりの再会というのに塩対応すぎんかこいつ。



「ごめん、君があまりにも臭くて避けてしまった」


キョウヘイの一言が心の一番奥深くに刺さってしまった。

しかも冗談ではなく、本気に気持ち悪そうに手で口元を押さえている。



(川に落ちたせいじゃないの?)



バエルに指摘されてハッとする。


そういうことか! 街の人たちが俺のこと嫌な視線で見ていたのは俺の悪臭のせいだった?



「なんというか、排水溝のドブ水の匂いがするんだ。これは……ごめん、なんかは、吐きそうおえええええええええ!」



「あああ!! キョウヘイさん!!」


(マスターは吐き気を催す邪悪だったかー)


(今はそんなこと言ってる場合じゃないんだよ!)


 まじで吐きだすキョウヘイさんに俺はただオロオロするしかなかったのだった。



「ふぅーきもちい」

 俺はキョウヘイの金でネルト内にある銭湯に来ていた。

 まさか、風呂という文化があったとは驚きだった。



「お、なんだ? 銭湯の癖にサウナと露天風呂があるじゃないか。」



露天も堪能しようかと思ったが、キョウヘイを待たせている為泣く泣く断念し、上がった。

今度一人で来ようと心の中で思った。

浴場から出るとキョウヘイが俺のジャージを持って待ってくれていた。



「これ、洗濯しといたから」


「おお、ありがてぇありがてぇ」


一丁らである赤のジャージを受け取るとなんだかお日様の香りがした。

ジャージを着て銭湯を出てキョウヘイの後をついて行く。


「ていうかさ、どこ向かってんの ?」


ふと思った事を聞いてみる。

ギルドだろうか?


「俺らの家、かな 」


「え、お前ら家建てたの ? まだ転生して1日も経ってないだろ!?」


「俺らが転生してからもう1年程経ってるけど」


「え?」


えええええええええええええええ!?


(どういうことっすか!? バエルさん!)


(あー私達のいた場所って生と死の間の空間なんだよね。この世界と時間の流れとかが違ったんだとおもうよ)


私もあそこで引きこもってたから知らなかったよとバエルは言った。


「事情は俺達を転生させた悪魔から聞いたよ。イツキのお陰でまたこうして生きる事が出来ている。ありがとう」


「……おう。俺の為に死ぬ気で働けよ」



なんて冗談を交わしながら強く握手した。

再び歩き出し、雑談しながら10分程歩くとキョウヘイの足が止まった。


「おっと着いたね、ここだよ。」


「おう、サンキュー……なぁ一つ聞いて良いか ?」


「なにかな?」



俺は目の前にあるものを指さし、キョウヘイに問うた。



「目の前のバカでかい屋敷は何?」


「俺らの家だよ」



はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?



「いやいやいやいやいやいや!?」


「いやいやいやいやいやいや」


目の前にはこれはこれは豪華な屋敷が圧倒的な存在感を放ちながら建っていた。

これはもうあれだ。豪邸だな。



「でかくない!? 何あれ!? お前ら一体何があったん!?」


「3人でギルドを立ち上げたんだ。それで竜王を撃退したり、1万の魔物の大群を食い止めたり、色々したら1年でこの世界の5大ギルドの一つになってしまってたよ」


「ごめん、思考が追いつけないや……」



なんか、異世界転生の醍醐味の一つ成り上がりをこいつらは達成してしまったらしい。

これは俺が望んだスローライフが実現可能なのでは!?



「さぁ中へ入ろうか、ギルドマスター」



今なんて……



俺が質問をする前にキョウヘイが扉を開ける。その先には大勢の人が賑わう酒場があった。








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