第23話 臨時マスターを決めることになりました!
重たい腰をあげて酒場に向かうとあいもわからず、たくさんの人が賑わっていた。
「あ、イツキやっと起きたんだね」
誰かに声をかけられ振り返るとそこにはキョウヘイが立っていた。ミートボールを乗ったスパゲッティーをおぼんに乗せている。そういえば何だかんだでもうお昼か。
グゥとお腹が鳴った。
「おはようキョウヘイ。今からご飯か?」
「ああ、今日は珍しくユウヤとソウスケいてね。少し話したいことがあるから一緒にきてくれないかな?」
「話? いいけど。腹減ったし俺もなんか買ってくるわ」
「了解」
すぐさま昼ごはんであるカツカレーを注文し、キョウヘイについていった。
そこにはユウヤとソウスケが先にテーブルにつき食事をとっていた。
「あ、イツキじゃん。今起きたの?」
「いや、今まで自室でレイアと一緒に書類処理してた……もうやだ…ギルドマスターって仕事多すぎ、そうちゃん変わってよー」
「いやだよ面倒臭い」
ソウスケと下らない雑談をしつつ席に座る。
「話というのは、俺たちは今回の八王戦に招集されていてね。今夜ネルトを経って王都に向かうんだ。その間ネルトを頼みたいのと、もしもの場合の臨時のマスターを決めておいてほしんだ」
「臨時マスター?」
キョウヘイの言葉に首を捻る。
なんでそんなことを決める必要が?
「ここは王都から離れた場所にあるが、もしかしたらここも襲われる可能性だってある。そんな時イツキが何らかの理由で不在だった場合、強襲されてもギルドを纏まられる人物が必要になる。俺達とは常に訪れるかもしれない最悪の事態にできるだけ備えなければならないんだ」
(まぁ、マスターがいてもここが襲われたらあわあわしてるだけだしね)
(それな!!)
「そういうことなら……ラクスで」
4人が少し驚いた顔で俺の方をじっと見つめる。
「な、何だよ」
思わず突っ込む。
俺の案はそんな変だったかな?
「理由を聞いてもいいか?」
「理由か? そうだな。強さとかもあるんだけど一番は影響力の強さだな。俺がマスターであることを発表した瞬間みんな黙っていたけれど、ラクスが一言言った瞬間俺に対する野次がたくさんやってきた。ラクスが火を入れたんだ。もし、ここが襲われピンチになったらみんなの心を奮い立たせることができるやつがマスターになるべきだから」
「……ごめん。イツキめっちゃくちゃまともなこと言ってびっくりしてるわ」
「ソウスケくん、喧嘩を売っているのかな?」
「イツキって、意外と人のこと見てるよね。意外と」
「お? キョウヘイ君も喧嘩を売っていらっしゃる?」
「実は俺たちも臨時マスターはラクスにしようと考えていたところだ」
ユウヤの言葉にそうなの? と返す。
なら俺が考える必要なかったじゃん。
「そんな顔をするな。マスターであるお前の意見も聞いておきたかったんだ」
「むぅ。それならいいけどさ……あ」
ユウヤが話しているとちょうどラクス本人が通りかかろうしていた。
「ラクスー! ちょっと!」
立ち上がり声を上げ、こちらに気づいたラクスに手招きする。
頭上に? を浮かべながらラクスがこちらにきた。
「何だよマスター?」
「幹部戦の時にこの三人がギルドを離れるだろ? その時にここがここが襲われた時のために臨時マスターを決めようって話になってな。ラクスお前に任せたいんだよ」
「臨時マスター?俺が?」
驚いたように口をパクパクさせるラクスはまるで餌付けされている金魚のようだった。
その瞳は自信がないのか背負うには重いのか揺らいでいる。
やはり、俺だけではこいつの意志を固められないか。
「俺だけじゃないぞ? ここにいるキョウヘイ、ユウヤ、ソウスケ3人お前がいいといってる。」
「えっ?」
ちらっと3人の顔を見ると瞬時に俺の意図が理解できたのか首をコクリと頷いた。
「ああ、ラクスはどんな時でも自分を持ってるからね。」
ソウスケはラクスに軽く言い放ちポンポンと肩を叩く。
「ラクス……俺たちがいない間、もしもの時が起こったらこのギルドを頼んだぞ」
ユウヤは力強い言葉でラクスに託した。
「君が、ギルドマスターとしてのみんなの心を奮い立たせるんだ。」
キョウヘイがとんとラクスの胸に握り拳を当てる。
「……ああ、任せてくれ!!」
先ほどまで揺らいでいたラクスの瞳は力強く、揺るがないものとなった。そこには確固たる覚悟と意志を持ったラクス・クルスニクが居た。
(そうだ! ラクスに俺がギルド! マスター! として一つアドバイスしてやるかぁ)
(何を偉そうに言ってるんだろうこのクソニートは)
「ラクス、アドバイスなんだけどさ。もし意識が朦朧とした時は自分が今、何者なのか問いかけるといいぞ。」
「……わりぃマスターそれは少し意味がわからねぇ」
「えっ」
「面白かった!」
「少し笑ってしまった」
「続きが気になる、読みたい!」
「クソニートのイツキは今後どうなるのっ……!」
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