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第22話 幹部戦が近づいて来ました!




「………マスター」


「何も言うな、きっとこのまま使われず埃まみれでいるより、今のままの方がずっと良い。」


「………これドワーフのおじいちゃんが見たらどう思うんだろうね」


「バエルさん、それ一番言って欲しくなかった言葉ですよ………」



俺とバエルはルーフバルコニーで物干し竿として使われているおじいちゃんから貰った剣を虚無感を抱きながら眺めていた。



「バエルさん。違うんですよ」


「何がですか? イツキさん」


「ギルドマスターの仕事が多すぎてね。クエストとか受けてる暇なんてないの……」



自室の机にどっさりと持っている書類を指差してぴえんと泣いた。

ドワーフの村の件から1週間が経ち俺はギルドマスターとしての書類処理などの業務に追われていたのだ。


すまん、ぶっちゃけギルドマスターって仕事を舐めてました。

てっきり専用の事務机と椅子に偉そうにふんぞりかえってたらいいだけだと思ってたよ。

なのにっ!! いくら書類処理しても無くならない! 


むしろ増えていっている気がする。

そんな有様だったので部屋の隅に横たわっていたままになっており、埃が被っていたのだ。

そんな剣を見た私、双葉イツキの苦渋の決断によりおじいちゃんから貰った剣は物干し竿となったのだ。


今も物干し竿として洗ったベッドのシーツを乾かすのに大活躍してるじゃないか……これでいいんだ。これで。


こんこんとドアの叩く音がした。



「イツキさーん? レイアだけど。起きてるー?」


バエルはこちらを見てコクリと頷き、俺の体の中へと戻っていった。


「寝てますー」



そう言った瞬間ドアが開いた音がした。

振り返るとそこには肩を出し胸元を強調したミニスカートの事務服を着たレイアがいた。

その両手には書類を抱えている。



「もー起きてるなら下に来てよね。これ今日までに提出しないといけないから一緒に頑張ろ?」



そう言いながらレイアは書類を机の上に書類を置いてソファーに座り左手でソファーをトントンと叩く。

隣に座れって事か………



「へーい」



面倒臭いと思いながら渋々レイアの隣に座って書類に手を取り処理を始める。



「それにしても、いきなりだな。今日中になんてさ」


「あーそれはきっと明日、勇者様が魔王の幹部の拠点に攻め込むからだよ。それで王都が忙しくなるから王都関係の書類の期限が早まったんだと思う」



八王とは過酷な生存競争の頂点に立つ魔物達でそれぞれ王の称号を冠しており自身も領土を所有している魔王軍の幹部の事である。


その強さはこの世界のチートどもである勇者パーティでも倒せるかどうか分からない程だと聞いた。

ちなみに俺が来る前に一体は勇者たちによって討伐されているらしい。よって現在八王は7体しかいないと言うわけだ。



「なんで勇者が幹部の拠点に攻め込むと王都が忙しくなるんだ? 関係ないだろ?」



俺の言葉にレイアは驚いた様子で質問してきた。

え? なんでそんな顔するの?



「えと、王都がどういう所かわかってる?」


「うーん。わからん」



開き直った態度の俺にレイアはジトーとした目で見てくる。

多少は教えてもらったと言ってもこの世界の知識は幼稚園児レベルだからね、仕方ないね。



「………王都は魔王軍との国境が重なる唯一の都市だよ」


「は? じゃあ魔王軍との戦いの最前線にあるって事か?」


「そうだよ。といっても砦などの要塞があるから最前線という訳ではないんだけど、それでも最も前線に近い国になるかな?」


「いや、普通逆じゃないか? 王都は最前線とは程遠い平和な所にあるもんだと思ってた」


「王族が歴代武闘派の人達ばっかりでめっちゃ強いらしいよ? だから魔王軍とも戦ってるだって」


「王族みずから魔王軍にカチコミかよ………」


「だから、防衛ラインを維持するべく、王都には各地の強者達が集結して沢山の国から様々な支援を受けてるの」



それにねとレイアは言葉を続ける。



「ユウヤさんやソウスケさん、キョウヘイさんもよく王国に召集をかけられてるんだよ?」


「ええ!? アイツらってそんなに強かったの?」


「うん、勇者パーティに匹敵する力を持つと言われていて、王国でもめっちゃ高待遇されてるってソウスケさんが言ってた。」



「マジかよ………」


あいつらってそんなに凄かったんだな……これからは敬ってやったほうがいいのだろうか?

話がひと段落したと同時に書類の方も片付いた。



「ほい、あとは任せるな」


「はい、確かに受け取りました。あ、イツキさんちゃんとあとで降りてきてよね」


「へーい」



レイアは書類を受け取り、部屋を出て、受付カウンターへと戻っていった。



「ふぅ……」



ソファに座り込み、リラックスモードに入る。



「ク、クエー!! テガミ!! テガミィィ!!」



ガンガンとガラスを叩く音がする。

テラスの方を見ると帽子を被り、ショルダーバックをつけたペリカンが一心不乱にガラス製のテラスの扉を立派な嘴で叩いていた。


あれは伝書鳩のようなもので手紙を運んでくれる伝書ペリカンだ。


おい!! やめろ!! ガラスが割れちゃうだろうが!! レイアに怒られるのは俺なんだぞ!!


急いでテラスのドアを開けて手紙を受け取る。


お、これはドワーフのおじいちゃんからだな。


内容を見るとどうやら半分くらいの鬼神族とドワーフが動けるくらいには回復し、村の修復も順調のようだ。

何かあれば同封している碧色の石を持って岩のゲートに来れば村へと行けるらしい。

ふむ、ありがたく使わせていただこう。



「魔王幹部戦……か。」



 俺はテラスからの景色を流れながらざわめく心を押さえ、呟いた。









「面白かった!」


「少し笑ってしまった」


「続きが気になる、読みたい!」


「クソニートのイツキは今後どうなるのっ……!」


と思ったら


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