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第159話 恋愛相談を受けました!




王城で体を癒やし、リリスの夜のデート、エレナの夜這いという名の添い寝。


レギス・チェラムに帰ってきて数日が経ちました。



「イツキさん。この間の書類は?」


「ああ、えーと……これだ」



久しぶりの我が故郷に帰ってきた俺を待っていたのは大量の事務作業だった。


というわけで、ここ数日レイアと二人っきりで部屋にこもって事務処理に追われている。


帰って早々こりゃないよ……



「あ、あの……失礼します」



レイアと書類を確認していたらカナが来た。


カナはレギス・チェラムの数少ない治癒師の一人でヒロムが入っているパーティのメンバーの一人である。



「おーどうした?」


「マスターに相談したい事があって……今、大丈夫ですか?」



レイアと顔を合わせる。


まぁ、ちょっと集中力切れてきた頃だし、休憩がててら相談に乗るか。



「それじゃあ、私紅茶いれるね」


俺と同じことを思ったのかレイアも頷いて立ち上がる。


テーブルに乱雑していた書類を片付け、カナに向かいにある長ソファーに座るように促す。



「はい、どうぞ」


「ありがとうございます」



カナはレイアに入れて貰った紅茶を飲んでふぅと息をつく。

さっきまで、緊張した様子だったけと、それも解れたようだ。



「それじゃあ、話が終わったら教えてね」


「あの……出来たらレイアさんにも聞いてほしくて」


「え?」



部屋を出ようとするレイアをカナが引き止める。レイアはこちらに戻り、自分の分の紅茶を入れて俺の隣に座った。


「あ、イツキさん。お砂糖とって」


「ああ」


レイアに角砂糖が入っているカップを渡す。



「ん、ありがと」



そう言いながら自身の紅茶に入れ始める。



ちゃぽん、ちゃぽん、ちゃぽん、ちゃぽん、ちゃぽん。



いや、どれだけ角砂糖いれるんだよ。


あれ?この光景どこかで……?

なんかデジャヴ感が……


俺とカナの視線は紅茶を飲むレイアに釘付けになっていた。



「……ふぅ。美味しい」



マジかよ。

カナも困惑したような顔でみてるぞ。

え? そんなに砂糖いれて? みたいな。



「ん? 二人ともどうかした?」


「いや……なんか、角砂糖入れすぎて甘ったるそうだなって」



俺の発言にカナもこくこくと勢いよくうなづく。



「え!? そんなことないよ! すっごく美味しいよ!? ほ、ほら! イツキさんも飲んでみて!」


「えっ!? いや! 俺はいいって」



無理矢理にレイアが飲んでいたカップを渡されてしまった。

レイアが飲んでいた…………



「……あとでカップ交換してはなしだからな」


「そんな事言わないよっ。飲んでみてよ」



どうやら俺の言葉の意図には気づかないらしい。

まぁいいか……


くいっと紅茶を飲んだ。


こ、これは!!



「めっちゃ甘い!! なんだこれ!!もう紅茶の味なんて分からねーよ!」


「えぇー」



不服そうなレイアに見られながら自分の紅茶で口直しする。



「あ、悪い。相談って?」


「えっと……その……最近、私のパーティにヒロム君が来てくれたじゃないですか」


「ああ、そうだったな……」



まさか、何かあったのだろうか? 

ヒロムが馴染めていないのだろうか? 

それかクエストで何か大きな失敗をしたとか? 

人間関係の方が面倒だし解決には時間がかかるからそっち方面は勘弁してほしいな……


様々な要素を思考しながらカナの言葉を待つ。



「そ、その……ヒロム君といるとき、緊張して……話せなくて……普段通りできなくて」



顔を赤くさせ、体をモジモジさせているカナはまるで恋する乙女のようだった。


……ついに、来てしまったか。この話が。


正直、ちょっと思ってましたよ? だって明らかにヒロムと他の人との態度が違うもん。



「……好きなのか? ヒロムのこと」



確認を取るようにカナに聞いた。



「え!? いや……そ、それは……」



うーといいながら俯き、手をもじもじさせてしばらく沈黙したのにカナは言った。



「た、多分……」



は、はあああ!?



「なんというか、パーティに入ってくれてからヒロムくんを余計に目で追ってしまうというか、ドキドキしてなんか……へんな感じになっちゃって」



おいおいおいおいおい

それって……完ッ全に!! 好きっ!vてことじゃねぇか!?



「わ、私も人を好きになったの初めてだから自信は持てないんですけど……これって……好きってことなんでしょうか?」


「それはまぁ……恋というやつじゃないでしょうか? ね? レイアさん?」


「う、うん! 私もそれって恋だと思うよ〜」


「や、やっぱり……そうですよね……私……ヒロム君のこと……好きなんだ」


「お、おう……」



何だ? 俺は一体何を聞かされているんだ?



「それでなんですけど……わ、私これから……どうすればいいんでしょうか?」



………まさか、これはっ!!

ひょっとして!!

恋・愛・相・談!!というやつなのでは!?


まじか!!

え? なんで俺に?


(これは人選ミスなのでは?)


(それについては悔しいが完全に同意だ)



あかん、こんなん無理だ。俺が他人の恋愛のアドバイス?

出来るわけねぇだろ!!



「えっと……なんでその相談をイツキさんに?」



俺と同じことを思ったのかレイアは突っ込んだ。



「イツキは恋愛マスターだからそういう話はマスターに聞けばいいとソウスケさんが言っていましたので」



…………………………



「………まぁ、その通りだが?」



(こいつ!! 見栄を張ったー!!!)



あの金髪今度あったら金玉ぶっ潰してやる。

恋愛マスターって何?

そんなん言われたら『わからないから無理です』なんて言えるわけがない……

だ、大丈夫だ……今回は男目線で話せばいいだけだからな……な、なんとかなるだろう。



「男の恋愛っていうのは『あれ? もしかしたらこの子俺のことが少なんじゃね?』から始まるものなんだよ。だから少しずつ……ヒロムにアピールしていけばいい」



「あ、アピールって、そのどうすれば?」



「それは……出来るだけそばにいること……とか? 座る時も絶対に隣をキープしたり、体をくっつけたり……後は好きな人がいるのか聞いてみたり、カナから積極的に話かけたらいいんじゃないか? まぁそんな特別なことをしなくても男は都合のいいように解釈してくれるから大丈夫だ」



「なるほど……」



(確かにマスターも少し優しくされたらその女の子のこと好きになっちゃうからね。説得力あるなぁ)



なんだかとても失礼なことを言われているが放っておく。



「その……告白とかは……」



告白!? はぁ!? 告白する気なのか!?



「いや!!告白する前にヒロムのことを知っていくことが大切だな」


「……知っていく……ですか?」


「ああ、これからヒロムと一緒に過ごすうちにあいつの色々なところが見えてくるはずだ……それこそ短所とか」


「「……………………………」」



なぜか隣にいるレイアも真面目に聞いている。



「もしかしたらヒロムのことを知っていく過程で好きじゃなくなるかもしれない……でもそれはそれでいいと思うんだ」


「長所より短所の方がよく思い浮かぶけど、それでも一緒にいたいと思えるのは恋ではなくもはや無償の愛なんだ……告白はその時からでも遅くない」


「な、なるほど……」


「それに、男は狼だからさ、ヒロムにその……おっぱいを揉まれるとかそういうエッチなこともされちゃうかもしれないしな」


(うわ……マスター……)


(いや、これはヒロムの好感度を落とそうとしているわけではないよ? ただ、可能性があるって言っているだけだし? 忠告的な?)



正直、こんなおっぱいを持った子から密着とかされたら男は我慢できんでしょ。



「それはっ……まぁ……私、ヒロム君になら……別に……」



(なぁバエル……あいつギルド追放しようぜ。あいつは反骨の相がある)


(ただの嫉妬なんだよなぁ)





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