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第15話 勇者



イツキさん達に見送られ、結界の中に入るとそこは地獄が広がっていた。

大地が、空気が、全てが腐蝕されていた空間だった。正直、生身の人間がいていい空間ではない。

しかし、聖剣の加護によって私の体は腐ることなく淡い光に包まれ、私の生命を守られている。

ふと耳を研ぎ澄ますと金属同士がぶつかりあうが聞こえてくる。剣戟の音だろうか?


みんなの命のリミットが迫っている急がないと!!


私は族長さん達が居る村の頂上へと駆け上っていった。

早鐘の様な鼓動を抑えつけ、大丈夫だと自分に言い聞かせる。

頂上へ近づく度に剣戟の轟音が大きくなっていく。


山頂に着くとそこには白の羽織と鎧を纏った角が生えた白髪の鬼神族と黒の羽織と鎧を纏った黒髪の鬼神族が刀と刀を激しくぶつかり合わせていた。


おそらく白い方が若頭さん、黒い方が黒鬼だろう。

世界樹前の祭壇には傷を負ったドワーフの族長が倒れている。

その剣戟は黒鬼に分配が上がり、若頭は斬れてしまった。



「がっは!?」



斬られた若頭はその場で倒れてしまう。



「お前は鬼神族の3本の指に入るほどの実力ではあったが、まともに覚醒すらできないお前に俺を倒すことはできねぇよ」



黒鬼はそう吐き捨て、若頭の背中を踏みつけた。途端に若頭さんの腐蝕が始まる。


そして、私の存在に気付いて殺気をこちらを向いてきた。

殺気だけで肌がピリつき、息を呑む。



「……増援か、ドワーフめ無駄な足掻きを」



殺意がこちらの方に向けられ、刀を構えてきた。

抜刀の構え、50メートルほど離れたところから一気に斬り込んでくるつもりだ。


呼吸をし、剣を強く握る。

その瞬間一気に加速し、切り込んできた黒鬼の斬撃を受け止める。


耳が痛くなるほどの甲高い金属音が鳴り響き、空気を揺るがすほどの衝撃が突風となって走る。

踏ん張っている両足が斬撃の重さによって沈む。


よし、黒鬼から若頭さんを離すことができた。



「ほう、これを受け切るか……」



意外そうに黒鬼は私に言った。


そこから始まるのは激しい剣と刀のぶつかりあい。

少しでも気が向けば押し切られてしまおうほど激しく、速く、そして強烈な斬撃が絶え間なく放たれる。

反撃を差し込む隙などない。


しかし、目では追えて、きちんと対処はできている。


大丈夫……だけどこの剣戟が続くほどこちらの集中力が消耗し、不利になっていく。

相手も同じとこを考えているはず。


だから、ここは強引にでも距離を取らなくちゃ!!

剣を強く握りしめて全身を限界まで反らせて聖剣を振りかぶった。



「っ!」



大きく振りかぶられた聖剣は軌跡を描き、轟音と共に黒鬼を弾き飛ばした。


今だ!!



「セイグリッド・ライトニング!」



距離を取りつつ光魔法を発動させた。

旋風を纏った白い稲妻が黒鬼に向かって放たれる。



「ほう」



吹き飛ばしながら体勢を整えて、刀にドス黒い血のようなオーラを纏わせ、セイグリッド・ライトニングを叩き斬った。



「ホーリーレイ」



すぐさま、次の手である無数の光の帯を生み出し、黒鬼に解き放った。

光速で放たれる光の帯を楽しそうにしながらオーラを纏わせた刀で斬り伏せてくる。



「今度はこっちからいくぞ」



全ての光の帯を斬り伏せた直後、黒鬼はそう言いながら掌を前にだし、そこから巨大な波動を放ってきた。

どうする? と考えるより先に体が動き、黒鬼の放った波動を聖剣で叩き斬る。


本能がそうするしか道はないと警告音を鳴らしていた。



「いい判断だ。そうしなければ今頃お前の体は腐蝕し死んでいただろうな」



満足気に頷く黒鬼はなんだか楽しそうだ。

黒鬼の刀に纏っているあのオーラはおそらく触れたものを瞬時に腐蝕するもの。



「俺の呪いの空間で腐蝕することなく、すざまじい剣の技量、光魔法、そしてその黄金色に輝く剣、間違いない。お前は聖剣の使い手、勇者リリス・アリスタだな」



「………そうです。私は勇者としてあなたを倒し、みんなを救いにきました」



心を振るい立たせるため、私は勇者リリスとして黒鬼に宣言した。

……力、スピード、技量、全てにおいて蒼鬼の方が上回っている。

先程までは互角に立ち回れていたけど、私は本気を出していた。

おそらく、蒼鬼はまだ6割ほどの力しか出していない。


この人は勇者パーティ全員で挑んで倒せるかどうかと思わせるほどの強さを持っている。

正直、たった8体しかしない魔王軍の幹部である八王を同等の強さ。



……勝てるだろうかとそんな不安が一瞬よぎった。だめ、違うでしょ。勝なきゃならないんだ。



「そうか、そうか……ならこっちも本気を出してみるか」


「ま、まずい!! 勇者止めろ!」


若頭さんがそう叫んだ瞬間、黒鬼は微笑んだ。



「……開放」



黒鬼がそう言い放った瞬間、魔力が爆発的に上がった。



「!?」



あまりの魔力に周囲に烈風による衝撃波が発生する。


あまりに風力に前が見えず、倒れずに踏ん張ることが精一杯だった。



目を開けて写った黒鬼の姿は髪は白髪になり、肌は黒く、額には鋭く力強い双角が生え、瞳は蒼く眼光を放っていた。








「面白かった!」


「少し笑ってしまった」


「続きが気になる、読みたい!」


「クソニートのイツキは今後どうなるのっ……!」


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