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第138話 国王VSグランドマスター




双葉イツキと騎士王ジークハルト


双王オキニスと勇者パーティ


双王クォーツとエレナ・フォン・キャメロットが激戦を繰り広げている中


国王イリエ・フォン・キャメロットとグランドマスターユウ・ハイゼンベルグは二人対峙していた。




「やぁ……こんばんは。イリエ王」


「……ああ? ユウ・ハイゼンベルグ……? なんでお前がここに居る?」



イリエ王の殺気が膨れ上がる。

なぜ? と問いかけてはいたが、イリエ王は理解していた。


本来、この男は完成した拠点でグランドマスターの一人として娘であるエレナ・フォン。キャメロットと共に双王と戦っていなければいなければならない筈だ。


その男が今目の前にいて、自身の行先を阻もうとしている。

イリエ王の体が揺れる。

彼は音もなく剣を抜き、臨戦体勢に入った。

その剣は彼の所有している神器の一つだった。



神器とはドワーフが製作した魔道具や武器の中で特に強力な力を有するもの。それは名の通り神の力を宿すと言われている。


俗にいうチートアイテムである。


神器も聖剣同様使用者を選定し、神器に認められた者にしかその力を発揮できない。

この神器こそが、基礎的な能力に大きく上回っている魔王軍に対抗できている理由の一つ。


基本的には選ばれるのは1つの神器。


レギス・チェラムの北条ユウヤは例外として2つ所持している。


しかし


国王イリエ・フォン・キャメロットは5つの神器を所持している。

それを見てユウは自身の持っている神器・霊槍ロムルスを召喚する。


2メートル近い武器を持つユウ・ハイゼンベルグはイリエ王に近付こうとしなかった

彼は2メートルという自身の射程範囲に入ってくる敵を迎撃するだけでいいのだから。



「32手……と言ったところか?」


そしてイリエ王はそう言いながら踏み込んだ。


イリエ王を迎え撃つのは黄金色の槍突。

高速で突き出される槍の一撃をイリエ王は悠々と剣で受け流す。



「ーっ!!」



流石と言っておくべきだろうか。

最初の3・4撃目は詰めてきたイリエ王に対して攻めの打突をしていたが今は逆にイリエ王の斬閃を弾くのに精一杯だった。

イリエ王の剣は残像によって剣が数本、数十本見えるほど加速していた。

炸裂する閃光。

一秒毎に強烈になっていく衝撃。

強く弾けば弾いた以上の鋭さで斬り返させる。



「ー!!」



イリエ王の剣を弾いたその槍はユウの手から離れた。



「32……ちょうどだな」



無手となったユウに向かって踏み込むイリエ王。

死ぬとユウは思った。

隼めいた剣閃は左上段から。

死神が人間を刈るような鋭さでイリエ王は無防備となってしまったユウ・ハイゼンベルグの首を薙ぎ払う。



「ーっ!!」



前にユウ・ハイゼンベルグは魔眼を開眼した。

その直後、イリエ王の剣閃は闇の霧を払うように空を斬った。


ユウ・ハイゼンベルグの魔眼には3つの能力がある。


右目は闇のように自身を粒子化させ、あらゆる干渉を受け付けなくする能力。

左目は他人または物質を特殊な空間へと転移させる能力。


複数の力は同時に使うことが出来ない。



「魔眼、やっと使ったか……」



飛ばされた霊槍の近くで魔眼を解除し、実体化したユウに対してイリエ王は言った。



「なぁ、お前のその左目使えば簡単に俺を封じることができるんじゃねーのか?」


「はは、それはまた意地悪なことを言うな〜出来たらやってるよ」



左目の魔眼を使うにはまず、ピントを合わせ、魔力を送り、発動させる必要がある。

銃を打つのと同じように相手へのピントがずれると思ったものを転移することができないのだ。

つまり、左目を使うには時間がかかる上に魔力の消費が激しい。

しかも発動時は瞳が光ってしまうので使うのが相手にバレる。


初見の相手とならともかく、手の内が知れている相手に発動するには使い所が難しい力だ。



「……まぁ、お前にも何か事情があるのは分かった……だが、これ以上邪魔をするならそろそろ俺も力を使わなきゃならねぇ」



イリエ王の周囲が震える。

持っている剣に光が収束する。

その光は必殺の一撃。

すなわち、神器の発動を意味していた。


「愛しい娘が待ってるんでね……普段構ってやれない分、こう言う時にちゃんと父親らしいことしねぇとな……ってことでこれ以上はお前に構ってられねぇんだわ」



それを見て、ユウは目を細め、空へと飛んだ。


イリエ王を見下ろしながら彼も神器を解放した。

ユウの周囲が揺れる。

2メートルほどだった槍が形を変え、真の姿をあらわす。

大地を貫くと言わんばかりの巨大な槍がイリエ王を狙うかの如く矛先を向けられた。


神器同士のぶつかり合いが始まろうとしている。


双方の魔力は妬き切れんばかりに膨張し、昂っている。


どこからか光の巨大な柱が発生し、自身の最強の一撃を放とうとしたその瞬間




バァゴオオオオオオオオオン!!



眩いほどの光がと強烈な爆音とともに大爆発を起こた。



「おっと……!! イリエ王やめやめ!! 降参!!」


「……はぁ!?」



ユウは神器を納め、それを見たイリエ王も戸惑いながらも剣を納める。



「実はー」



ユウはイリエに双葉イツキが騎士王を退かせたら人間側につく約束をしたことをイリエに話した。

自身の役割がイリエ王も足止めだということも含め、全部話した。



「……なるほど、そういうことか」


「そうそう、そう言うことなんだよ。というわけで、こちら側につくことになったから末長くよろしく」


ユウは帽子を脱いでわざとらしくお辞儀をした。



「はいはい……で? これからどうする?」


「俺は今すぐにエレナ姫の応援に行こうかなっと……イリエ王もご一緒する? 一瞬でつけるよ?」



ユウは転移石を取り出しながら言った。



「行きたいのは山々だが……さっきの光はおそらく勇者リリスの聖剣の力だ。おそらくあっちはあっちで片がついたんだろう。間違いなく、全員瀕死だろうから拠点ではなく、八王城に向かう。俺の治癒の力が宿っている神器が役に立つだろうからな」


「りょーかい。それじゃーエレナ姫の応援に行ってくるよ」


「……頼んだぞ」



まるで、念を押すように、釘を刺すようにイリエ王は言った。



「もちろん」



そう言い残し、ユウはこの場から姿を消した。






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