表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

110/176

第110話 表と裏



「よし、それで終わりかなっと。ありがとなイツキ少年、おかげで1時間くらい早く準備できたよ」


「そりゃよかった」



キャメロット王国に着き、昼頃にやるショーの準備を昨日出会った少年双葉イツキと共にやっていた。


不思議なものでこの少年とは息が合う。

一緒にいて楽しい存在になっていた。


まぁ端的に言うと気に入ったのだ。

ツバサ一座のみんなは俺にとっては大切な居場所で、絶対に失いたくないものだ。

そんな一座のみんなの中にこの少年も入れてもいいかなと思うほど昨日の夜は面白かった。



「……なぁ、イツキ少年〜いっそのことツバサ一座になっちゃうか?」



なんて冗談半分本気半分で言ってみる。



「いやいや、俺芸とか出来ないんですけど……」


「それは俺が全部叩き込むから大丈夫しょ。音楽とピエロとマジックと馬車引きと雑用係と料理係に育て上げてやるからさ」


「過労死するわ!!」


「ははっは。」



まぁそうなるよなぁ。

それに結構面白い反応してくれるし、こいつやっぱり楽しいや。



「それじゃ、マリーさんとユッキーと団長と……あとクソガキにもさよならの挨拶済んだから行くよ」


「おお、元気でな〜機会があれば俺たちのショーも見にきてくれよ〜? 俺めちゃくちゃ活躍するしさ〜」


「シュンさんは50%の確率でサボるんじゃなかったけ〜?」



ありゃりゃ、痛いところを突かれた。



「言うじゃんイツキ少年……まぁ、今度彼女でも連れてきな。出来るだけサボらないようにするしさ」


「か、かか彼女か? あっ……そうね……うん……つ、連れてくるよ……うん。彼女……」


「…………ごめん」


「なんで謝るんだよ!! いるし!! 彼女の1人や2人いるしっ!!」


「いや、二人いたらダメだろ」


さて、話もこれくらいにして……



「また会おう。イツキ少年」


「ああ、また」


そう言ってイツキ少年は王城に向かって走って行った。


イツキ少年の背中がだんだんと小さくなる。

そのことに少し寂しさを感じるのは多分気のせいではないだろう。


まぁ……また会えるさ。



「くるっぽー」



みんなのもとに戻ろうとしていたら伝書鳩がこちらに向かって飛んできた。



「ほいほい〜」


手紙を読む。

まぁ、内容は大体予測できるけど……


…………………………げ。


まじか……今かよ。


まぁしょうがない、わざわざ魔王様自ら連絡よこすってことはガチやつだ行かなきゃ何言われるかわからねぇ。


団長に報告しますかぁ。


みんなと談笑しているだんちょーに話しかける。



「だんちょー悪い。急遽仕事入っちゃった」


「えっ!? またぁ!? 最近多くない? 前の職場の手伝い!」


ユッキーが頬を膨らませながら言ってくる。


あちゃ〜怒ってるなこれは。



「まぁ俺超優秀だったからね。しょうがないね」


「まぁシュンがサボるのはいつものことだからな」



わぉ、モナくん厳しいこと言っちゃうねー

まぁ、事実だから何もいえないけどさ。



「まぁ、あまり無理はしないように。また終わったらひょこって帰ってくるんでしょ?」



流石にこのやり取りにもなれたのかマリーさんは心配しつつも見送ってくれる。



「まぁ、シュンには次のショーで倍以上働いてもらうってことで」


そう言いながらだんちょーは笑う。

その笑顔もいつもと同じ笑顔だ。



「悪いな」


「しょうがねぇよ。けど……できるだけ早く帰ってこいよ。血は繋がってねぇけどお前は俺たちの家族なんだから」



だんちょーの言葉にマリーさんもユッキーも笑顔で頷いた。


そう、いつも通り俺のことを送ってくれるんだな。

何万回繰り返したとしても。



「それじゃあ、早速いてくるわー」



自分の荷物だけ持って歩み出す。



「シュン!!」



団長の声に立ち止まり振り返る。



「「「いってらっしゃい」」」


「いってら」



ぶっきらぼうなやつが一人いたが、みんな笑顔で俺のことを見送ってくれた。


俺には家族なんかいたことはないが、家族の暖かさを教えてくれた。


ツバサ団、俺の大切な居場所。

絶対に失いたくない場所。



「ああ、いってきます」



タバコを吸いながらツバサ一座のみんなに見えないところまで歩いて辺りを確認する。

よし、誰もいないな。


俺は転移石を使ってあるところにテレポートした。



魔王城付近



テレポートした先には俺のもう一つの居場所シュレイド城が聳え立っていた。

相変わらずデケェ城だなぁ。



「今日はきたか、サボり魔」



目の前に現れたのは黄金の瞳をした黒豹だった。

この感じはさては〜



「久しぶり、霊王。元気してたか? どったの? こんな所に来て、魔王幹部が来る所じゃないぜ?」


「誰かさんがきちんと来るか確認しに来た。それにお前には言われたくない。また人間と共にいたのか?」


「ああ、俺の大切な居場所の一つなもんで」


「ふん、人間なんぞと一緒に暮らしているのが理解できん」


「ああ、そうだ。偶然なんだけどさ、双葉イツキと接触したぜ」



一応報告しとかないとな。



「何!? ちゃんと始末したんだろうな!?」


「いや〜面白いやつだったからさ、ついつい話が弾んじゃって」



てへと言うと霊王は呆れたようにため息をついた。



「全く、お前は俺たちの上に立つものなのだからしっかりしてくれないと困るぞ。」



あーそういえば今は亡き賢王の爺さんにも同じようなことで何回も説教されたっけ。





「お前は魔王軍最高幹部・覇王プライド・ノアなのだからな」


「へいへい……」



最後の一服を味わってタバコを捨て歩み出した。

覇王としての俺、人間としての俺、表と裏どっちも楽しくてどっちも大切。


それが俺なんだ。


お前は分かってくれるよな? イツキ少年。





「面白かった!」


「少し笑ってしまった」


「続きが気になる、読みたい!」


「クソニートのイツキは今後どうなるのっ……!」


と思ったら


下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。


面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!


ブックマークもいただけると本当にうれしいです!


何卒よろしくお願いいたします!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ