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第11話 おままごとをすることになりました!





家を出て、リリスについていくと大きな広場にでた。そこにはたくさんの子供達が遊んでいる。



「あ! リリスお姉ちゃん! 来てくれたんだ!」



さっき出会った元気な短髪の女の子がまんべんの笑顔で俺たちの元へ来た。

そういえば、遊ぶ約束をしてたんだっけ?



「そこのお兄ちゃんは?」


「えっと、私のお友達です」


「そうなんだ! お兄ちゃんも一緒に遊ぼう! こっちだよー!」



おっと、こちらにもお誘いが来てしまった。


「あっ! もう、ふふ、行きましょう! イツキさん」


「やれやれ」



(そんなにやけ面して言ってもカッコよくないよ? マスターってロリコンなの?)



バエルの言葉を無視してイツキはリリス達の後を追った。

違う。俺はロリコンという訳ではない。

大人と違って子供は純粋無垢な心で綺麗な瞳をしているから怖くないだけさ。

だから俺はロリコンではない!


子供は男の子と女の子2人ずつの4人居た。


(ちっ、男もいるのかよ。)


(おい、ロリコン。)



4人の真ん中には土台とその上にに水晶玉が置かれている。

何を始める気なんだろう? この水晶も魔道具か何かだろうか?



「あ、リリスおねぇちゃんも一緒にするの?」



長髪の女の子が聞いて来た。

ほう、この子もなかなか。



( ……… )



何でだろう、バエルにクッソ冷たい目で見られてる気がする……



「あ、今日はおままごとだよ」



長髪の子が答えた。



(おままごとかぁ、まぁ女の子だしなぁ)


(マスターあまり乗り気じゃないね?)


(いや、この歳になっておままごとに乗り気って、ただのヤバイ奴だろ)


(まぁ確かに)



「リリスおねぇちゃんとお兄ちゃんがお母さんとお父さんね!私はおねぇちゃんでみみちゃんは妹、リョウタくんはナレーション、ケンくんは変更なしで!」



まさかのリリスと夫婦役に任命された!


(ウホホーイ!おままごと最高やでぃ!)


(おい)


「チンタラホイ !」



短髪の少女が呪文を唱えると水晶が光りだし、目の前に小さな家が現れた。

おおお! スゲーこれも魔法か! おそらくこれは水晶の力だろう。



「中に入りましょうか」



リリス達と一緒に愛の巣である小さな家の中に入った。

家の中もとてもリアルで机や椅子も触れる事ができる。

こんなんリアルおままごとですやん。ヤッベ、テンション上がってきたんですけど。



「えっと、よろしくお願いしますね? あなた?」


リリス照れながら言った。



「ああ、どんな遊びでも全力で楽しむ。これが俺のポリシーだから、全力で君の夫を演じさせてもらうよ。リリス」


(うわぁ。)



たとえ遊びでも手は決して抜かない男……それが双葉イツキっすから。

それはそうと早くリリスとのイチャラブおままごとを始めようじゃありませんか!!



「それじゃあ始めるね !」



そう言った瞬間短髪の少女の表情が変わった。


「ごめんなさい! ごめんなさい! パパもう殴らないでーっ!」


「うるせぇ! びゃあびゃあ泣きやがってもう一発殴られてぇのか!?」


「あなたもうやめてくださいっ!」


「リリス! おまえも俺に逆らうのか! てめぇは早く酒を持ってこい!」


「うぅ もうお酒を買えるお金はないんですっ」


「ならおまえが稼ぎに行けばいいじゃねぇか!? ああ!?」


「お、お母さんは毎日倒れるまでは、働いてるんだよ……だからお姉ちゃんとお母さんをいじめないでっ」


「黙れ !!おらっ!!」(*蹴るふりです)


「うっ!!」


「ミミ!ひどいっ痣が出来てるっ……」


「もういや!優しかった頃のあなたに戻って!」


「ガラガラ、失礼するぜー」


「だ、誰ですか? 貴方達は?」


「ほほぉこれはなかなかの上玉じゃねぇか」


「これは借金取りの旦那! ようこそお越し下さいました」


「よう主人、これが前に言っていたおまえの妻と娘か?」


「あ、あなた?どういうことですか ?」


「おまえ達はあの男に売られたんだよ」


「え?」


「パパ?」


「おまえらを売れば大金が手に入れることが出来るんだ。ひひ、悪く思うなよ」


「う、嘘ですよね?」


「嘘じゃないんだよ。おら! ささっとこっちに来な!」


「いやっ! あなた!助けて!」


「か、金はどこにあるんですか!?」


「……これだ」


「おお!これでしばらくは食っていける……」


「お父さん! 嫌だ! こわいよ!」


「パパっ!! パパ !」


「あなた!いやぁぁぁぁぁぁぁぁ !」


『こうして娘と妻を売った男は大金をてにした』


「へへへ、大金だぁ、酒飲み放題だぁ。ん? なんだこれ?」



『男はある紙を見つけた。そこには娘と妻の励ましの言葉と似顔絵が書かれていた。

パパお仕事探し頑張って! ミミは何があってもお父さんの味方だよ! あなた、お酒ばかり飲んで体を壊さないで下さいね。私、あなたの事を信じてます。』


「ううっ俺は何てことをっ」


『憎まれていると思っていたのに、彼女らはずっと男の身を案じ、信じていた。その事を知った男は自分のしてしまった事を後悔するのであった……終わり』





「って重すぎるわ!」


何だこれ!!

俺とリリスのイチャイチャおままごとは!? 

鬱展開まっしぐらじゃねぇか!? 

ていうか俺の役、糞クズじゃねぇかよ!?


(っっっ!!!!!)


(おい、そこのロリ悪魔! 笑ってんじゃねぇ!)


(これは遊びでも手を抜かない男だね! 流石ですわ!)


(馬鹿にしやがってよぉ! キレそう!!)


「すごい!お兄ちゃん演技上手いんだねっ!」



 短髪の女の子が目を輝かせながら言ってきた。


「え? そうかな? へへっ」



ぶっちゃけ、悪い気はしない。それどころか最高に気分が良くなった。

まぁ、こう見えても自分、中学生の頃は演技派のイツキ・フターバと言われてましたから。

その後、俺とリリスは子供達と1時間ほど公園で遊び、子供達は昼ご飯を食べる為に家へと帰って行った。



「ひぃひぃ…れた…」


「あはは、お疲れ様です。」



疲れ果てた俺の姿を隣で見てリリスは困った様に笑った。

時間もいい感じだったので、俺達もお母様の昼飯を頂く為にリリスの家に向かっていた。


子供達に振り回され疲労はピークに達していた。鬼ごっこにボール遊びに大縄跳びと子供達、元気過ぎ。たった1時間でこんなに疲れるなんて……



「最後の勇者と魔王ごっこが一番しんどかった……」


(子供達のテンション凄かったもんねー)


(そう、明らかに他の遊びとのテンションの差があったな)



勇者と魔王ごっこは子供達全員が勇者で俺が魔王という形で遊んでいた。

遊んでいる最中、段々と参加したがる子供が増えていき、最終的には10人の子供勇者VS魔王双葉イツキという名の熱いリンチが繰り広げられた。


子供達みんな、勇者をやりたがっていたのを見るとこの村では勇者が人気ものという事がよく分かった。

その人気振りはヒーロー戦隊のレッドを彷彿とさせる。


「……ここは勇者が生誕した村ですから、みんな勇者に対して強い憧れがあるんです」


リリスはそう言いながら、歩く速度を速め、自分の顔を見られたくないように俺の数歩前を行く。


「え、そうだったのか? 勇者って確か魔王を倒す事ができる選ばれし者の事だよな?」


勇者、聖剣に選ばれし存在で魔王に唯一対抗出来ると言われている存在。


「はい、神の代行者。なんて呼ばれています。どんな事が起きても駆けつけてみんなを守るヒーロー。だからみんな憧れたり頼りにする。勇者は人々のヒーローであり希望なんです。私もそう思っている内の一人です。」



そう言ったリリス顔は前を向いていて見えなかった。

彼女がどんな表情をしているのかは分からない、だけれどもほんの少しだけ声が震えている様な気がした。



「リリス? 大丈夫か?」


ピタッと足を止めて振り向いたリリスは一瞬不安とそれでいてなにかを恐れているような顔をしてたが


「大丈夫です」



先程の表情が見間違えかと思うほどの笑顔で言った。

同時にそれは無意識内に心にシャッターをかけられたみたいで、そんな顔を見ると胸を締め付けられるように痛くなった。



「ほら、もうすぐ着きますよ。」


「……うん」



 彼女も自分の中に何かを押し留めてしまっているのだろう。言葉では言ってくれないけど。

 シャッターの向こうの本当のリリスはまだつかまえられそうになかった。













「面白かった!」


「少し笑ってしまった」


「続きが気になる、読みたい!」


「クソニートのイツキは今後どうなるのっ……!」


と思ったら


下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。


面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!


ブックマークもいただけると本当にうれしいです!


何卒よろしくお願いいたします!

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