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第103話 治癒魔法をかけてもらいました!


キョウヘイと無事合流し俺とキョウヘイとレイアの3人で大通り、広間、裏道、王城付近、王国のありとあらゆる所をキョウヘイと歩き回っていた。


そして今はどこに続いているのかわからない坂を黙々と歩き続けている。



「……ねぇ。キョウヘイ君、俺たちは何をしているんだ?」



確か、俺の腕を直してくれるユメちゃんに会いに行ってるんだよな?



「……ユメはね……そのふらふらとどこかへ行ってしまう癖があって……まぁ、つまり失踪癖があるんだ」



キョウヘイはこちらを向いていつものいけ好かない笑顔をしながら言った。



「……お前、まさか……約束すっぽかされてしまったから今頑張って探してます〜とかいないよな?」


「…………」


こ、こいつ露骨に顔を背けやがった……

こいつしばいたろかと思った瞬間、坂を登り終えて、王国全体を見渡せる展望台に辿り着き



「あ、見つけた」



キョウヘイはそう言った。



「……ユメ」


「!! おお!! 助手くーん!!」


展望台で景色を眺めていた美少女がこちらを振り向いた。


眠たげな顔とオレンジブラウンの長髪とふわっとした毛先のおかげで全体的に柔らかな雰囲気を放つ女の子はヨームゲンでユメちゃんだ。


「恒例の〜ドーン!!」


「わっ!!」


ユメちゃんはいきなりキョウヘイに抱きつき顔を擦ってハスハスし始めた。



「……やれやれ、今日も無事見つかってよかったよ」



驚きながらもユメちゃんを抱きつき返す。


その様子に俺とレイアは驚愕していた。


え? なんなの君? その手慣れたような感じ。

恒例のってナニ? いつも出会いたびにそんなことしてるのか? 

は? ということは出会うたびにその過激なスキンシップでユメちゃんのいやらしボディーを堪能してるんか?



「さて……今日はイツキくんの両手を治すんだったよねーそれじゃ、とりあえず私の部屋に行こっか」


というわけでユメちゃん達が共同で住んでいるハウスにお邪魔させてもらった。



ユメちゃんの部屋は本や服、道具が当たりに散らばっており、机には本が山のように積み上げられていたり、実験道具もたくさんある。フラスコの中には緑色の液体がブクブクと泡が吹いていて部屋というより、研究所のようだった。



「またこんなに散らかして……」



全くと言った感じでキョウヘイがため息をついた。



「だってー助手君がいつも掃除してくれるだもんーだから片付ける気が起きないの。助手君責任とってね?」



「責任転嫁はよくないと思うよ?」


キョウヘイはやれやれと言いながらせこせこと本を拾い、掃除をし始めた。

いや、掃除するんかい!!



「そうやって、なんだかんだ言ってやってくれるところ大好き〜」


「もうちょっと心を込めて言って欲しいな」



本当に大好きなんだけどな……とボソッと本気の声で言った言葉は俺にしか聞こえてないだろう……

……これガチのやつじゃん。


ユメちゃんはキョウヘイに聞こえるようにはーいと答えながら椅子に座った。



「それじゃあ〜ここに座ってね〜」


「は、はい。」


フカフカのソファーに座るように指示をされる。



「じゃあ始めるよ」



俺の腕を触れ、そこからミント色の薄く、暖かな光が生まれた。

あ、何だか。気持ち良いような。不思議な感覚がする。

本当に治っていると言う実感することができる。

この感覚……嫌いじゃない。


これまでレギス・チェラムで治癒魔法をかけて貰ったことはあるけど、この感覚は初めてだ。

この両手も治癒魔法をかけて貰ったが損傷が酷すぎて治るのに時間がかかると言われてしまった。

治癒魔法のせいか、ソファーのせいか、なんだか……眠たくなってた



「ん? 眠たいの? 寝ててもいいよー」



そんなユメの言葉に甘えて瞼を閉じた。



「……はーい、おしまい」


「んあ? ああ……」



ユメの言葉で目を覚まし、朧げながらも意識が覚醒する。



「あ、ごめん……いつの間にか寝てたな……」



時間は……どれくらい経ったんだ?

部屋の中を見渡すと色んなものが整理整頓され、綺麗になっていた。



「いいよーほい、包帯とってあげるよ。」



ユメが丁寧に手に巻かれていた包帯を外してくれる。

包帯を取ると確かに、さっきまでやけどでただれていた両手が嘘のように元通りになっていた。



「さすがユメだね」



キョウヘイは俺の両手を確認しながら感心したように言った。


手をグーパーグーパーと動かす。

おお、ちゃんと思い通りに動くぞ!! 全然治らなかったのに!!

ユメちゃんスゲー!!



「まぁ……神器による損傷って普通の治癒魔法じゃあ治らないからね〜」



興奮しながら手をグーパーグーパーしているとユメちゃんが言った。



「あ、そうなのか?」



召喚獣の負傷が治癒魔法やポーションでも治らなかったように神器によるダメージも同じなのか……



「現状、神器や召喚獣からの受けた傷を完全に治せるのはユメだけなんだ」


「まぁ、死にはしない限りは治せると思うよ?」



はえー俺が思っていた以上にユメちゃんってすごい子なんだなぁ。

このチート能力的に完全に勇者パーティにいてもおかしくないんじゃないだろうか?



「そもそも、治癒魔法はごく限られた職業しか使えないのは知っていたかな?」



キョウヘイの口から衝撃的な発言が飛んできた。



「え……マジ?」


「ユメやカナのような他人の傷を癒せる者は治癒師だけだからね……ソウスケみたいな魔法使いは治癒魔法を使えないんだ」



ああ、そういえばレギス・チェラムにも治癒師って指で数えられるほどしかいなかったような……?

それにソウスケも魔法が使えるのに治癒魔法を使っているところみたことがない。



「俺のような魔拳闘士は自身の傷は癒せるけど、他人までは癒すことはできないからね」



だから基本的に治癒師ってパーティーを組む時にみんなから人気があるのかぁ。

でもその分責任重大なんだよな。

一瞬の判断ミスと遅れが他人の生死を分けてしまうこともある。


そう考えると、俺には到底出来ないことだ。


「後は治癒魔法のさらにランクが上の蘇生魔法っていうものもあるんだよーまぁ王族の中でごく限られた人にしか使えないらしいけど」


「へー」



蘇生魔法か……エレナはできるのかな?



「こんな体の使い方してるとすぐ死んじゃうよ? 反省するように」


「……はい」



ユメちゃんに怒られてしまった。

人の傷を治す人の言葉はとてつもなく意味があり、重たかった。

そこは真摯に受け止めなくては。



「それじゃあ帰ろうか。ユメ彼の両手を治してくれてありがとう」


「待った。助手くん、今度は君の番だよ?」


「え?」



予想外と言わんばかりの表情をするキョウヘイに



「なんのために助手くんも呼んだと思ってるの? 助手くんも体ボロボロだよ? 神器使ったでしょ最近」


「………いやー、はは。」



キョウヘイは図星を突かれたように顔を逸らした。


ど、どうして分かったんだろう?



「私のシックスセンスがそう言ってるんだよ〜」



俺の方を見ながら説明するように言ってくれた。

まるで俺の心がわかっていたかのように。



「なんで分かったんだろうって思ってるんだろうなって感じただけ〜」



キョウヘイも椅子に座り、ユメちゃんの治癒魔法を受ける。



「あの力は負担が大きいから、あまり頼りにしたらダメだよ? 助手君の体もボロボロなんだから君もちゃんと自分の体を労るように」



ユメの表情と声からキョウヘイの身を案じているのが伝わってくる。

そんなユメちゃんを見てキョウヘイは申し訳なさそうに頭を下げる。



「肝に命じておくよ……」


「むー、それ前に注意した時にも聞いたけど?」



そう言ってキョウヘイをジトっとした目で見つめていた。



「……そ、そうだったかな?」



予想外の返答にキョウヘイは少し慌てたよう言葉を放つ。

へー誰かにタジタジなキョウヘイって初めて見たな。



「君はいつも『イツキは無茶ばかりするからね。放っては置けないのさ』とか言ってるけど。私から見たら助手くんとイツキ君も同じようなものだよ」


「「はい……」」



なぜか俺も怒られてしまったので俺とキョウヘイは二人して同い年の女の子にぺこぺこと謝っていた。





「面白かった!」


「少し笑ってしまった」


「続きが気になる、読みたい!」


「クソニートのイツキは今後どうなるのっ……!」


と思ったら


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