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第100話 自己紹介しました!




エレナの開けた扉の先には円卓と6つの豪華な装飾をされた椅子があった。


円卓会議

円卓には上座・下座がないことから敵味方の立場や身分とは関係ない集まりの場として用いられている。

これはエレナがこの場に入り5人を同等に扱っているという事を表していた。


すでに3人のグランドマスターは席についており、残るのは俺とエレナとリンカ?という女の子のみだった。


俺はエレナとリンカの間の椅子に座る。


全員が揃い、空気がピリついた。

圧倒的な緊張感、そして人としての圧を感じる。


耳が痛いほどの沈黙。


改めて思い知った。


ここはこの世界の命運を決める重要な場所なんだと。


思わず、背筋が伸びる。

心臓が鼓動する。

手に汗握る。


そんな中、慣れた様子でエレナが声をかけた。



「さて、グランドマスターが全員が揃いましたので今から5大ギルド会議を初めたいと思います」



その声は今まで聞いたことのないほど凛としていて、その姿は彼女が王族である事を思い出させた。



「……とその前に。今回初めてこの会議に出られる方がいますので各々、双葉イツキさんに簡単に自己紹介を」


おお、これは俺に配慮してくれているのだろうか?

正直、エレナ以外知らない人だからとてもありがたい。

名前も知らないからね。



「じゃあ……順番に俺からかな〜名前はユウ・ハイゼンベルグ。人間と魔族のハーフ……いわゆる半魔だ。以後よろしく。双葉イツキくん」


ウェーブがかかった灰色の髪と無精ひげと帽子が特徴のおっさんが帽子を脱ぎ、俺に挨拶をする。


丸いグラザンをかけていてどこかうさんくささを感じる。



「あ、グラサンつけたままでごめんね〜俺、魔眼持ちでさー誤発動を防いでんの」


魔眼……


「彼は魔王軍とも交流を持ってあり、さまざまな情報をこちらに提供してくれます。その代わりに私たちの動きとかも魔王軍幹部に提供されています」



なるほど、完全な敵でもないし味方でもないというわけか。



「まぁ……中立の立場って思ってくれていいよ。俺は常に勝つ方の味方だからさ」



あははーと掴みどころのないような笑顔で手を振った。



「チユ・セルシアです。よろしくお願いします」



涼しげな目元の紫色のセミショートの女の子がぺこりと頭を下げた。

おお、めっちゃ事務的な挨拶だな。



「チユさんはとても強大な力を持つ魔剣の持ち主です。魔王軍との戦いでの殲滅力は随一なんです」



へぇ……魔剣かぁ……かっこいいじゃん……

いいなぁ。こう中二心をくすぶらせるな!!



「黒田コウヤだ」



腕を組み、ふんぞり返った様子で黒髪の男は言った。



「キャメロット王国の転換者です。とてもお強いですが。……その、少々過激なところもある方です」



困ったようにエレナは言った。


……なんだ? 違和感というか、なんというか……この人には何かを感じる。


言葉では表現できないような違和感が胸に突っかかる。

エレナは転換者と言っているけれどなんというか……中身は違う気がする。


その雰囲気は苛烈でめちゃくちゃ怖い。その冷徹な目は全てを拒絶しているかのような怒りを感じさせる。

同じ人間とは思えない。


同じ…………………………………?



「……あ? なんだよ」


「ああ、いや、あんた……本当に人間なのか?」



空気が一瞬凍ってしまった。


あ、やってしまった。思わず……本音が。



「な、なんちゃって!! あ、じょ、ジョークです! す、すいませ」


「へぇ……お前、面白れぇな。わかるのか?」


「……え?」


まさか、本当にー



「ジョークだよ。ジョーク。間に受けるなよ。ボケナス」



興味深そうにそう言ったまま何も言ってこなかった。

ま、まさか。向こうもジョークで返してきたとは。

よ、よかった……殺すぞとか言われるんじゃないかとビクビクしてたんだけど、大丈夫そうだな。



(………………るんだ)


(バエル? なんか言ったか?)


(別にー)


? なんかボソッと言ったような気がするけどまぁいいか。



「え……と、小宮リンカ……でしゅ! うぅ……噛んじゃった」



最後に俺の隣で座っているリンカが緊張した様子で手をモジモジさせながら言った。

噛んでしまったことが恥ずかしかったのか顔を赤くして俯いている。


……え? レイアじゃないのか? ほ、本当に?


見た目は茶色のセミロングで顔立ちも同じ……いや、レイアよりちょっと眠たそうな顔をしてる?

あと雰囲気も天真爛漫さはなく内向的な印象がある。



「リンカさんは転換者です。すごい召喚師なんですよ?」



転換者ってことは……日本に居たのか。

俺のことを知っていたってことはー



「では最後にイツキさん。お願いします」


「俺もするのかよっ!?」


「当たり前じゃないですか。私とリンカさん以外はあなたのこと知らないんですから」



ぐっ……確かにその通りだ。

自分の番になると緊張して吐き気が……くそ……ここは覚悟を決めるしかない。


さっさと終わらせよう。この時間が何より苦痛だ。


おはんと咳払いをして



「えー……えと……今回から初めてのこの会議に参加させていただきます双葉イツキでしゅ。あ、あ、あ……得意なことはありませんが頑張りますので……よ、よろしくお願いします……へへ……へ」



……ああ、失敗した。俺も噛んでしまった。

思わず頭を抱える。


おいやめろ、リンカ……そんな嬉しそうな顔をするんじゃない。

まるで仲間を見つけたようなキラキラ瞳で見つめないでくれ。



「では……自己紹介も済んだことなので。始めましょうか」



今度こそ世界の命運を握る5大ギルド会議が行われようとしていた。









「面白かった!」


「少し笑ってしまった」


「続きが気になる、読みたい!」


「クソニートのイツキは今後どうなるのっ……!」


と思ったら


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