前章までのあらすじ+プロローグ【シーズン1】
未来予知のできるエリゴルはモルカナ国の仲間(オレッ娘姫様のマルバス・性別不明のキユリー・マルバスの妹バティンなどなど)と共に、魔王国討伐のための同盟国作りを目指して国々を旅します。
マルバスの母の仇である犯罪組織“闇星”や災厄の獣どもである“十二死”などのいろいろな敵と闘いながら、やって来たのは……。
これさえ読めば 大商廻鳴国ネゴーティウム【シーズン1】 が分かります
【シーズン1】
未来予知の能力があることをバレてはいけない主人公『エリゴル』が奇妙な夢を見た。
そして、とある事情でネゴーティウムという国に行くことになったエリゴルと武器合成の能力者『マルバス』とエリゴルの親友『キユリー』、エリゴルの罪人後輩『赤羅城』。
彼らの今回の目的は【同盟作り】【武器の調達】。
ネゴーティウムは大商業国であり、ありとあらゆる出店や観光客で入り乱れているほどの大国だった。
その国の管理者に会うためにルーラーハウスへと招かれたエリゴルらを待っていたのは……。
白銀の長髪に、キリッとした黄緑色の瞳を持った女性で、黒い軍服風ワンピースを着こなしたこの国の管理者である『ハルファス・アフトマット』。
彼女は魔王国討伐のために同盟作りにあっさりと協力してくれた。
あくまでも【物品支援】の面ではあったが、これで同盟作りも終了。
ハルファスの頼みでマルバスがお泊まりを決定し、エリゴルらもその護衛として付き添うことになった。
そして、夜。
性別不明であるキユリーの生まれたて時の性別がどうしても気になっていたエリゴルは大浴場で見張りを行う。
その時に、赤羅城を仲間に率いれて見張りを再開したのだが、キユリーにバレてしまう。
エリゴルはキユリーによって部屋への出入り禁止を命令されてしまい、渋々廊下で一夜を過ごすことになってしまった。
だが、目覚めると……。同盟作りの朝。つまり時間が昨日に戻っていた。
キユリーの反応から見てもどうやら理解できているのはエリゴルだけだったようだ。
昨日の時が繰り返されている。そう理解した彼がふと窓の外を見る。
すると、彼の目に映ったのは1人の少女の姿。
それは彼が前に夢の中で会話を行った少女と瓜二つだったのである。
キユリーを置いて、彼は外にいた少女の後を追いかけた。
こうして裏通りを訪れる。
これが肌白い和服の少女『フレンドちゃん』と名乗る少女との出会い。自称マルバスの実妹であり、ゴエティーア家末っ子という初耳のポジション。
それがエリゴルとフレンドちゃんが後悔することになる出会いの始まりであった。
フレンドちゃんはどうやらエリゴルの事を知っていたらしく、更にこの現象についても理解していた。これはループ現象である。
どうやら彼はこの日を20回以上繰り返しているらしい。
更に彼の秘密についても知っている。
その事でますます怪しさを増していくのだが、エリゴルは頼る相手が彼女しかいないのでとりあえずまた会う約束を行った。
そして彼は同盟作りを行うためにマルバスたちと合流しに向かうのである。
再びルーラーハウスでの同盟作りが終了。
廊下でボーッとしていたエリゴルを赤羅城が散歩に誘ってくれた。
その道中、赤羅城がなぜモルカナ国に来たのかを話してくれた。
もともと王都の騎士団長出身の彼はクビになったが強者である“邪気の匂い”を嗅ぎ付けてアナクフス、モルカナ、ネゴーテェウムにやって来たそうだ。
そしてその匂いの正体と殺し合うのが目的らしい。
とりあえず、赤羅城が味方だということにホッと安心したエリゴルの耳に入ってきたのは美しい音色であった。
ヴァイオリンの音色。
赤羅城は何かを察知したように、裏道へと足を踏み入れていく。
そして裏道から広場にたどり着いた。
そこにいたのはヴァイオリンを弾く美青年。白い髪に赤い目をしたバラのような美しさの青年だった。いや美少年という年齢かもしれない。
だが、美青年と目があった瞬間。
何を思ったのか、赤羅城は大太刀を美青年に向かって振り下ろしたのである。
赤羅城からの脅し。美青年は生きていた。
けれど、赤羅城は「てめぇからは微かに“邪気の匂い”がする」と言って美青年を睨み付ける。
だが、美青年はその理由を知らないらしい。
そこで赤羅城が暴力を振るってでも美青年から自白させようとしたのでエリゴルは慌てて止める。
けれど、説得も無駄に終わった。
赤羅城はエリゴルの説得には耳を貸してはくれなかった。
なので、エリゴルは赤羅城の事を力付くでも止めることに決めたのだ。
赤羅城vsエリゴル。完全に赤羅城の大太刀で遊ばれながら攻撃されているエリゴル。
青い短刀vs大太刀。
エリゴルと赤羅城とでは天と地ほどの力の差があった。戦歴の差があった。エリゴルの方が圧倒的に弱い。
なので、彼は1つの賭けに出たのだ。
──飛び蹴り!!
赤羅城の顔面におもいっきりの飛び蹴り。
だが、その途中でガッチリと足首を捕まれてしまう。
そして赤羅城はその足首ごとエリゴルを地面に投げつけた。
そして、エリゴルは地面に横たわってしまう。
だが、不思議なことに赤羅城がエリゴルにトドメを刺そうとしてこない。なにもしてこない。
トドメを刺そうとしてこないのには原因があった。
それはエリゴルが“赤羅城の記憶にいた知人と重なる”という現象が起きたためである。
赤羅城はエリゴルの事を『マルコシアスの弟』と呼び、エリゴルそれは違うと訂正する。
ただし、赤羅城も戦意喪失しているわけではなかった。再戦を行おうと迫り来る赤羅城。
エリゴルはもう戦意喪失してしまい闘えない。
その時である。
赤羅城を誰かが背後からレンガブロックで殴ったのだ。
結果、死んだように血を流して地面に倒れる赤羅城。
その犯人はキユリーだったのだ。
だが、理由はどうであれ殺人行為に責任を感じたキユリーはマルバスに事情を説明するために、赤羅城の体を担いで立ち去っていく。
こうしてエリゴルと美少年は2人きりに。
これがヴァイオリニストの『アドニス・アムドゥスキアス』との出会いであり、僕がネゴーティウムで友達になった者との出会いであった。
情報収集のためにアドニス家を訪れた僕とアドニス。
そこで出会ったアドニスの母親からさまざまな話を聞かされた。
僕はアドニスが公演後不治の病に犯されたことも知る。
禁忌とされていた森の近くを通った際に呪われたそうだ。
だが、アドニスは再び栄光の舞台にもう一度返り咲くことを夢見ていた。
けれど、それはアドニスが彼の母親を元気付けるための嘘だと言うことを僕は後に彼の口から知る。
それはアドニスの母親から“馬車の墓場道”の話を聞かされた後、寝室にいるときの出来事だった。
アドニスから自身の寿命が少ないのを自覚している事、あれは母親のためについた嘘だと言うことを聞かされた。
その発言にショックを受けるエリゴルだったがその時である。
“左目が疼いた”のだ。
エリゴルの左目が疼いたということは未来を予知する合図。
そしてその未来を予知した事でエリゴルの中で1つの仮説が生まれる。
エリゴルはその仮説を確かめるために、急いで馬車の墓場道へと向かっていく。
馬車の墓場道についたエリゴルを出迎えてくれたのはアドニスの母親。
このループ現象を引き起こしている犯人はアドニスの母親だったのだ。
息子を死なせないためにアドニスの母親がこの日を繰り返させていたのである。
そして、その協力者として参上したのが、【十二死の酉】だった。
酉を倒せばアドニスが死ぬことになる。
その真実に決断を悩まされていたエリゴルだったが。
そこに乱入してきたのが赤羅城。
赤羅城は自身の大太刀を酉の体に突き刺さるように投げ飛ばす。
しかし、投げ飛ばしたはずの大太刀はいつの間にか赤羅城の手に握られていた。
その事に驚きつつも、赤羅城は十二死の酉との一騎討ちを希望する。
赤羅城が酉を殺すのが先か。
エリゴルがアドニスを救う手立てを誰かと考えるのが先か。
赤羅城は酉と殺し合い。エリゴルはフレンドちゃんのもとに急いだ。
だが、その道中である。
化物2匹に襲われた僕の目の前には『青い目の男』。
彼が釘野郎たちを仕向けてきた張本人である。
青い目の男はエリゴルの殺害を計画していた。
そして、今回は自らがエリゴルを殺しに来たというわけだ。
ただし、数でも負けているエリゴルに勝機はない。
エリゴルはすべてを諦めたように瞳を閉じた。
────そして一番鶏が高らかに朝の訪れを告げるために鳴いたのである。
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