2②・目的地+禁忌の森
さて、着いた。
僕とキユリーがくだらない会話を続けてようやくたどり着いた。
あれから20分ほど、2人で談笑しながら(少し早歩き)、ようやく目の前に禁忌の森が現れた。
(久々に同年代ではない子供と話をした気がする。これはこれで楽しかった。そして、この数十分の間に僕はこいつと親友になった。)
この国の外れの奥が禁忌の森へ通じているらしい。
本当に国外れ。
一歩でも足を踏み入れればその先は森だった。
草がボーボーと茂り、木々が整備されることなく自由に生えている。
まるで本当にこの先の森が異界であるかのように薄暗く。不吉である。
正直、昼でもなんだか怖い。僕という大人?でも1人で入っていくのには躊躇してしまうだろう。
それを子供が興味本位で入っていくものなのだろうか。
「…………本当に入っていったんだな?」
一応の確認。
「はい。この森の奥へと1人の大人が一緒に入っていきました。間違いありません。誘拐です」
その問いにキユリーは2度コックリコックリとうなずきながら言った。
しかし、誘拐か。だとすると犯人の目的はなんなのだろう。
この森の奥をアジトとして使いながら、親に身代金を要求するつもりなのだろうか。
そうなると、僕が誘拐犯と鉢合わせする場合もある。
けれども助け出すしかない。
「よし、でも1つお願いしたいことがあるんだけどいいかな?」
「はい。私は頼んでいる身分なので何なりとお申しつけて構いませんよ。どんな願いもドンッと来い。
①『私の性別を確認したい』ですか?
②『私に全裸を見てほしい』ですか?」
こいつが今までにされてきたお願いのレパートリーは異常だった。それともそういう系の本を読んでいるのだろうか。
年齢として速すぎる本なら止めてあげるのも大事だから。
そういうのはそういう年齢で見ていただきたい。
僕のようにはなってほしくないな。
いずれにしても、僕としては初対面の相手にそんなお願いをするつもりなど微塵もない。
まぁ、②はすでに行ってるからお願いに入るほどの問題でもないしな。
「それは全部あり得ない。
まぁ、お前の歩んできた人生に文句を言うつもりはないが。だから、お前にとっての知人が大人しかいないんじゃないのか?」
「むむ!!
私には知人だけでなく友人もいます。
そのうちの1人からそういう系の知識が友人内に広まりました」
きっと、これはキユリーの周辺だけの話だ。
もし、この異世界の子供たちが純粋無垢ではないとしても僕は元の世界は健全だと信じているぞ!!
しかし、1人の子供から周囲に広がるってまるでゾンビ映画みたいだ。
「ハァ……」と僕は静かにため息をつく。
広まったなら広まったで、僕にはどうすることもできない。
ただ、知っているという事実が残るだけ。
「その友人はたぶんマッドサイエンティストだろう。それよりも僕が言いたいのはそうじゃないんだ。
日暮れまでに帰って来なかったら、助けを訴えろ」
「なるほど、あなたを助けるために誰かを呼んでくればいいんですね?」
「いや違う。子供を助けたい。僕は宣教師だからこの国には関係ないし、読み聞かせくらいの男だ。それよりも家で帰りを待っているであろう親を助けたい。親も捜索届けを出しているだろうし、国総出の捜索隊が動いてくれるはずだ」
そして、「それじゃあ頼んだ」と付け加えて僕は禁忌の森へと足を踏み入れていった。
【今回の成果】
・禁忌の森へ向かったよ