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9  ・もしもキユリーがいたら+2人への恋心?

 結局、僕は富裕層の町のベンチで見知らぬオジさんと話した後、キンスリード宿屋に帰ってきた。

金無しの僕はこうして暇をもて余し続けなければいけないのだろうか。

ふと、寂しくなった僕は隣部屋に宿泊している2人に挨拶してから部屋に戻ろうと考え付くが……。


「そうだ。挨拶くらいしても……あっ」


だが、朝に見た忙しそうな様子のバティンの姿を思い出してしまった。

今日は2人に会うのはやめておいた方がいいのかもしれない。

僕はそう判断し、静かに自分の部屋へと入っていった。




 自分の部屋へと帰ってきた僕は真っ先にベッドに飛び込むようにして横になる。

そして天井を見ながらボーッと考え事をしていた。


「このまま、僕は何にもない旅行を過ごすのかな?」


せっかくの旅行なのに2人とも忙しそうだし、このままじゃ土産話も出来やしない。

僕は本当にこの旅行に着いてきてよかったのだろうか。

マルバスから旅行に誘われて、ウキウキしていたあの馬車の中が懐かしい。

楽しい時間を3人で過ごせると本気で思っていた。


「はぁ……。マルバスともあまり会話できていないもんな」


最近、長く会話した人は悪党Hとナベリウスさんと謎のおじさんくらいだろうか。

ナベリウスさんか……。

ナベリウスさんは僕にとって治療してくれた人だけど、この首輪爆弾を付けられたし……。

マルバスは命の恩人だけど、僕を悪人として処罰するかもしれないし……。

僕が想う女性はどうして僕の命を握ろうとするのだろう。


「はぁ……」


頭の中には2人の姿が浮かび上がる。

僕は2人に恋しているのかもしれない。

本命はマルバスだけだったのに、最近ではナベリウスさんと争っている。


「僕は恋してるのか?」


これは本当に恋なのだろうか。

恋というのはその人の事をつい考えてしまうくらい愛していると恋らしい。

もちろん、マルバスに対する想いは本物だ。

今すぐにでも、隣部屋に押し入って告白できるくらい本物だ。まぁ、もしも告白したらバティンに殺されるかもしれないが……。

ではナベリウスさんに対する想いはどうだろう?

ただ助けてもらったし、ただ毎晩彼女の家に行くし、ただ彼女と数十分お話するし、ただナベリウスさんが美人。


「ああ、ダメだ……よくわからない」


この想いが恋なのか、ただの間違いなのか僕にはわからない。

恋愛歴0年の僕だ。分かるわけがない。

こんなの考えてもいっしょだ。

わからない事を考えても面白くない。

だから、僕は楽しい事を考えることにした。


「あーあー、キユリーも連れてこれたら4人旅出来たのになぁ」


キユリーとは性別不明の僕の友人である。

妙に気が合う僕らはこれまでにも色々な事をしてきた。

だから、あいつもいっしょなら僕がこうして暇な時間を過ごすこともなかったのかもしれない。

だが、問題がある。

あいつ……就職してるしバティンと仲が悪いんだ。

バティンの奴、僕の裁判でキユリーに虐められてたし、その事をいまだに根に持ってる。

さらに、4人で旅行をするのなら2部屋に別れるのは必然的。それでもしもキユリーがもしもロリだったら……。

僕は完全にコンプライアンスに引っ掛かってしまうかもしれない。

こういう時キユリーだったら……。


「私がロリですか?

ハッ、笑わせてくれますねエリゴルさん。鼻で笑っちゃいましたよ。

私の身長がけっこう小さいだけで本当は30代かもしれませんよ。

ロリコンのエリゴルさんにはきっと耐えられないでしょうね。いや、ショタの可能性もあるので忘れないでください。

まぁ、私の性別なんてどうでもいいじゃないですか。

私はあなたの友人です。

私に性別はありません。私に年齢もありません。

あるのはこの胸に抱く大志だけですからね!!」


とか


「エリゴルさんと同じ部屋は嫌です。怖いです。すぐにでも警察官を呼びたいくらいです。

えっ? 警察官って何か知っているのか?

そりゃ知ってますよ。私はこれでも人力車屋。色々な方とお話しする機会も多いんです。

警察官ってあれですよね?

エリゴルさんを捕らえる人ですよね。

あっ、すみません。エリゴル=悪人として辞書に登録しているので……。

えっ? 悪人じゃない時もある?

エリゴルさんが?

それっておかしいですよ。エリゴルさんはそんな人じゃありません。

──人違いじゃないですか?

エリゴルさん=悪人(絶対的)でしょ。

私の性別を確かめるために頻繁に銭湯に誘ってきたり……。

私の性別を確かめるためにトイレの近くまで着いてきたり……。

悪人というよりは変態……。犯罪者ですね。

すぐにでも捕まってほしいです。なんなら死刑にしてほしい。

───ところでこのキユリーに何かご用でもあるんですか?(ゴミを見る目)」


……とか言ってくるのだろう。

そんなキユリーの妄想を1人で考えながらベッドに横になっていた僕だが、そこでまた1つの仮説が生まれた。


「あれ? 僕ってキユリーの事が好きなのかな?」


いや、それは絶対にあり得ないかもしれない。僕がキユリーに恋してるなんて……。あいつは僕の友人なんだ。

例え、その人の事をつい考えてしまうとしても……。

うん。僕はキユリーに恋愛感情を抱いていないはずだ。

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今回の話もどうかあなたの暇潰しとして役にたちますように…。 気に入っていただけたら是非評価でもポチッと押していただけませんでしょうか。モチベーションに繋がりますので…。星1でも構いません!! ★これ以外の作品☆付喪神の力で闘う付喪人シリーズ
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