表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

44/280

7 ・予知+ピピピ

 ナベリウスさんの計画を聞いた後、もう夜も遅いという事で、僕はナベリウスさんと別れた。

そして、キンスリード宿屋に誰にも見つからないように戻ってくると、ベッドの上にそのまま横になり、着替えることもなく眠ってしまったのだ。


───────────

 “左目が疼く”

僕は再び東の町にいる。

真っ暗闇の星空の下、僕はきっとナベリウスさんの家を目指していたのだろう。


「…………」


ふと、足を止めて再び目線を前に向けると、街角の方に白い毛のような物がフサフサと揺れて、消えた。

その、まるで尻尾のような毛の正体が僕は少し気になってはいたのだが、ナベリウスさんとの約束もある。

僕の命を選ぶか。あの白い尻尾を追いかけるか。

普通だったら、選ぶべき選択は決まっている。

僕の命を選ぶためにナベリウスさんの家に向かうべきだ。

今夜もこの首輪に仕込まれた時限爆弾を解除してもらわないといけない。

しかし、僕は選んでしまった。


「おい、待てよ」


僕は白い尻尾の後を追うように街角を曲がっていく。


「あっ」


だが、白い尻尾に追い付くことはできない。

僕が白い尻尾の後を追って角を曲がっても、そのさらに先の角を曲がっている。


「ええ、なんでだよ……」


やはり、追い付くことができない。

僕はそれでも白い尻尾の正体が知りたいとそいつの後を追っていく。

まるで白い尻尾とのおいかけっこだ。


「どこに行くんだあの尻尾」


どんどん町の奥深くへと入っていく白い尻尾。

もう何度街角を曲がっただろうか。

土地勘があれば先回りして白い尻尾の正体を見ることができるのだろうが……。

僕にはその土地勘がないので追いかけるしかない。


「どこに……ってもうあんな遠くに!?」


たまに、少しでも余所見をしていたら見失いそうになるほど遠くの街角を曲がる時もあるので本当に大変だ。

走って曲がって探してまた走る。

ひたすらその繰り返し。

さっきも通ったような気がする道を何度も曲がりながら、白い尻尾を追いかける。


「あれ? ここはさっきも通ったかな?」


体感時間2時間。現実には30分。

そろそろ土地勘が慣れてきた頃である。

白い尻尾を追いかけて何度目かも分からない街角を曲がると……。


「はぁーはぁー…………あれ?」


もう白い尻尾は目の前から消えていた。

曲がった先で突如姿を消したのだ。


「……??? いったいどうなって」


「ワン!!」


「きゃああああああああああああ!!

ってあれ……!?」


突然の不意打ちに思わず、ビクッと驚いてしまう。

いきなり近くから何かの鳴き声が聞こえたのだ。

先程まで無音の世界だったのに鳴き声が響いたのだ。

さて、謎の鳴き声が響き渡り、その声のする方向に首を向けたのだが……。

やはり何もいない。


「はぁー、驚かせるなよ」


ホッと一安心。

結局、白い尻尾の正体をつかむことができなかったのは残念だったが、僕はナベリウスさんの家に行かなければいけない事を思い出す。

ヤバイ。このままでは約束の2時に遅れてしまう。


「しかし、困ったな。ん? ここは教会か?」


しかも僕がいる場所は見慣れない教会の近く。

東の町にしてはきれいな建物だとは思ったが、この謎の教会に見とれている暇はない。

一刻も早くナベリウスさんの家に行かないと、首輪の爆弾が……。


「…………!?」


白い犬がいる。

僕の目の前には白いフサフサとした尻尾をもった犬がいた。

理由は分からないけれど、僕は犬に導かれたのだ。


「おい、ワンちゃん。こっち来ーい」


とりあえず、僕はかわいいワンちゃんを撫でてみたくなってしまった。

癒されたかった。モフモフしたかった。

しかし、ワンちゃんはこちらにやって来てくれない。

むしろ、その場から動かないまま、ジーっとこちらを眺めている。

夜の闇の側から白い犬が僕を見つめている。


「ワン!!」




ピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピ

「なんだこの音?」

ピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピ

「まさか首輪の爆弾が!?」

ピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピ

「もう1分をきったのか?」

ピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピ

「やばいやばいやばいやばいやばいやばい」

ピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピ「ああ……」ピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピ「警告音がどんどん大きく」ピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピ「外せねぇ」ピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピ「くそッ……」ピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー・・・・・・・・・・・・・・・・・…………………………………………………………………………………………………………







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今回の話もどうかあなたの暇潰しとして役にたちますように…。 気に入っていただけたら是非評価でもポチッと押していただけませんでしょうか。モチベーションに繋がりますので…。星1でも構いません!! ★これ以外の作品☆付喪神の力で闘う付喪人シリーズ
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ