前章までのあらすじ+プロローグ
明けましておめでとうございます。今宵は2021年の0時。皆様よき元日を~
──────────
未来予知のできるエリゴルはモルカナ国の仲間(オレッ娘姫様のマルバス・性別不明のキユリー・マルバスの妹バティンなどなど)と共に、魔王国討伐のための同盟国作りを目指して国々を旅します。
マルバスの母の仇である犯罪組織“闇星”や災厄の獣どもである“十二死”などのいろいろな敵と闘いながら、やって来たのは……。
【前章までのあらすじ】
ルイトボルト教新人宣教師『エリゴル・ヴァスター』。彼は『モルカナ』という国で子供たちに読み聞かせを行う宣教師として活動している。
ある朝、そんな彼のもとに現れたのはオレッ娘姫様。彼女は自身の母の仇である【闇星】についての情報を追っていた。その【闇星】ではないかとエリゴルは疑われたのである。
しかし、全裸になることで疑いを晴らしたエリゴルは代わりに強烈なビンタをくらってしまったのだ。
その直後、「子供が1人森へと入っていった」と助けを求める子供と出会う。
その子供は性別不明の人力車屋さん『セーレ・キユリー』。キユリーとエリゴルは仲良くなりながらも、子供が迷い込んでいった禁忌の森へと向かう。
そして、エリゴル(1人)は禁忌の森へと足を踏み入れるのである。
その後、禁忌の森にて、保護欲を掻き立てられるような『シトリー・バートリー』という少女と出会う。彼女こそが迷いこんだ女の子だったのだ。
その帰り道。
彼女を狙う『猪のような化物』に襲われる。
2人は必死に逃げるのだが、エリゴルが途中で転倒。“左目に木の根が突き刺さる”という重傷を負ってしまう。
しかし、目が覚めると不思議なことに、左目はなぜか怪我もなく通常の状態に戻っていた。
その事に疑問を浮かべるエリゴル……。
だが、そんな時、悲劇が訪れる。
突如飛び出して来た化物によってシトリーは無惨な姿へ。
エリゴルは彼女の手だけを握ったまま絶望する。
その時、何かが彼の心の中でプツンと切れた。
左目が疼く
奇妙なことに……。
目が覚めると、なんとシトリーが生きていた。
理由はよく分からないが彼はどうやら未来を見ていたようだ。
1度しかないチャンス。予知能力。
彼はそれを利用してシトリーのために囮となり、化物との立場バトルに挑む。
その後、運良くオレッ娘姫様『マルバス・ゴエティーア』に助けられ、彼は再会を果たすのであった。
数日後……。
禁忌の森へと許可無く入ったことから、『姉メイドちゃん』に連れられてエリゴルはA級裁判にかけられる。
有罪か死罪か。
最初は、検事役であり姉様依存症であるマルバスの妹『バティン・ゴエティーア』によって死罪が確定しそうになるまで追い込まれてしまう。
しかし、なぜか弁護役であったキユリーと、この国の国主である変人『ヴィネ・ゴエティーア』の証明によってエリゴルの死罪は帳消しとなったのであった。
だが、この裁判を利用したという敵『釘野郎』が見物人達の中から現れてマルバスに襲いかかる。彼はマルバスを人質にとってエリゴルを死罪にしようと企んでいたのだ。
バティンに釘野郎を任せて逃げるエリゴル達。
そのまま休んでいたのだが、キユリーに叱られている所、ヴィネと再会。
そして、ヴィネから受け取った“青い短刀”を持ってエリゴルは釘野郎との再戦へ。
その釘野郎とエリゴルの戦いは激しいものであった。
しかし、釘野郎に『弱点キック☆』や『2分間大作戦』を使用して、最後には釘野郎の首を切り落とすことに成功したのだった。
さらにその次の日。ひょんなことから禁忌の森へと向かったエリゴルはマルバスと再会する。
しかし、その場には『釘野郎の相方』を殺した超スピードで片足の化物が……。
化物は自身を『十二死の亥』と名乗り、シトリーを捜していた。
そこでマルバスは亥と戦うのだが、あと少しの所で深い傷を負わされてしまう。
なので、エリゴルは代わりに亥と戦う。
だが、ボコボコに返り討ちにあって死ぬ寸前……。
もう亥との戦闘は諦めかけたエリゴルが再び立ち上がり、『終気攻舞』【終わる気分で攻める。舞みたいに】と名付けた戦法で大逆転。結果、亥と相討ちになり、エリゴルも倒れてしまったのだ……。
────────────────────
【次章プロローグ】
人は変わる。幼年期・少年期・青年期……。私も変わった。これまでに3度の変化を味わった。
これまでの人生で3つ、私の人生は変わった。
1つ目。
私の愛犬が死んだ日。
私が幼い頃に飼っていた愛犬。
私が幼い子供だった頃に、数日間行方不明となり、数日後私の愛犬は首を斬られて死んでいた。
体が痩せ細り、土に汚れた犬の死体となっていたらしい。
その犯人も犯行現場も時間も分からない。
私が朝起きたときには、既に火葬は終わっていたのだ。
私は朝に目覚めて、目撃し、朝御飯を終えてから愛犬の骨を骨壺へと入れた。
けれど、真実を受け入れることはできなかった。
つい先日までいた家族みたいな存在がいなくなってしまったことがその時の私にはよく分からない。
幼い子供であった私にはよく分からなかった。
2つ目。
私の生活が変わった事。あれは10才の頃である。今までの生活が一変し、想像もしていなかった辛い日々を過ごすことになる。
他の人よりも教養を身に付けていた私は鬱憤払いの対象にされた。色々な酷い扱いを受けた。
そんな私を誰も助けてはくれない。
家族とは別れたきり会えていない。味方はいなかった。
お世話になった人。仲良くなった人。お話をした人。優しくしてくれた人。市場の人。
みんなからの態度が一変した。
だから、1人で生きていくしかなかった。絶望しないように生きていくしかなかった。
3つ目。
それはこれからのお話。
ここから始まる3つ目の変化。
私の人生を大きく変える出来事。
それがこれから始まるお話。
町外れに一人で住んでいて、一人ぼっちで暮らしている私に起きた事件。
────だって、私は最後の遺物。
この国に住む1人の元奴隷。
もちろん、この国も変わってしまった。
多様性を尊重し、旅行客も絶えていなかった国はもう過去のお話。
西と東に分断された強き町と弱き町。
王が納めるこの国はもう滅びの道へと進んでく。
伝統は滅び去り、常に新しい物に塗り替えられる場所。
それが私の国『アナクフス』である。
東西に別れた大国で、革命の狼煙は上げられる。
落ちた王への反撃に、闘う民を嗤いし怨霊。
戦乙女の行く末を魔女の牙が噛み砕く。
新章『革命偽唸国アナクフス』
この世界には付喪神というものがいる。
付喪神……それは物が100年たって魂が宿ること。
近年、人々は邪悪な付喪神によって平穏な人生を送ることができなくなってしまった。
しかし、そんな中、一部の人々のに付喪神の力をその身に宿し付喪神と戦う者が現れる。
その人々を皆は敬意を持ってこう言う。
付喪人と…。