前章までのあらすじ+【シーズン2】
未来予知のできるエリゴルはモルカナ国の仲間(オレッ娘姫様のマルバス・性別不明のキユリー・マルバスの妹バティンなどなど)と共に、魔王国討伐のための同盟国作りを目指して国々を旅します。
マルバスの母の仇である犯罪組織“闇星”や災厄の獣どもである“十二死”などのいろいろな敵と闘いながら、やって来たのは……。
【シーズン2】
帝王によって攫われてしまった『アンドロ・マリウス』。
彼女は今、囚われの身となっていた。
その最中、虹武将となった『日雇い侍』との出会い。
そして、虹武将である『虹武将“紫”、不動の『アガレス・ヘルメトヨフツ』』との再会などを経て……。
彼女は帝王と話す機会を得る。
しかし、アンドロ・マリウスとしては、“兄殺しの濡れ衣を着せて、彼女の友達のメイドを無実の罪で殺し、彼女を追放したこと”への恨みは強く残っていた。
その結果、帝王とアンドロ・マリウスはお互いに歩み寄ることができず、お互いがお互いを嫌っていることを改めて理解する。
────載冠の儀。当日。
虹武将『ベリアル』と虹武将『マルコシアス』の策によって、城内へと無事に侵入した『エリゴル』『赤羅城』『マルバス』『スターちゃん』。
侵入した目的はアンドロ・マリウスを救い出すことである。
だが、場内へとも侵入できたのもつかの間、マルコシアスの裏切りによって、侵入者だとバレてしまう。
その結果、仲間たちはそれぞれ散り散りになり、個人でアンドロ・マリウスを探すことになってしまった。
一方、その頃。ベリアルは1人の男を見張るような形で一緒にお茶会を行っていた。
相手の男は、眉間にシワを寄せているような無表情で怖い顔だった。ストレスを溜め込んでいるかのように、生気が少ないようにも見える。
髪は白髪に覆われているが、まだその艶は若い人のように保たれているようだ。
服装は紫色がふんだんに使われた羽織袴を着ている。だが、その姿は決して死を待つばかりの老いではない。老いてもまだ現役以上の実力を持っていそうな、歴戦の強者のような隙のない翁である。
その相手の名前は『『虹武将の紫、不動の『アガレス・ヘルメトヨフツ』』。
彼は【双眼鏡の付喪人】であり、その能力は未来視の能力である。
散り散りになり、エリゴルが訪れたのは礼拝室。
そこにいたのは包帯だらけの男。
その名は『虹武将“緑”。追跡の『アルテリオン・バルバトス』』。
彼は過去、アンドロ・マリウスに殴られて馬車から転落した時の傷がまだ癒えてないのだ。
こうして始まったエリゴルVSバルバトス。
荒れ狂う矢の嵐。避けても向かってくる矢。
だが、地獄の修行を終えたエリゴルにとっては、その攻撃は対処できる物と化していた。
自身の実力と並ぶほどの成長を手に入れたエリゴルを恐れてしまったバルバトス。
さらに、自身の命を見逃したエリゴルに対してバルバトスは自分から禁忌に足を踏み入れてしまった。
「───『“起動”』」
その一言によって見た目が異形の怪人と化してしまうバルバトス。
怪人と化したバルバトスは、矢の一本一本に自分の神経を張り巡らせたような自由自在の軌道で矢を飛び動かす。
まるで魚の群れのように矢は集合しながら、エリゴルに襲いかかってくる。
最終的に、前からはバルバトス、後ろからは矢の群れという挟み撃ちの状況にまでエリゴルは追い込まれてしまった。
絶体絶命の状況。
しかし、エリゴルは矢の中に隠しながら青き短刀の刃をバルバトスの胸に突き刺すことに成功。
復讐を果たそうとしたバルバトスは倒れ、エリゴルは勝利したのであった。
その頃、マルコシアスは『十二死の子』と名乗る謎の怪物と対決。自身の【天秤の付喪人】の能力、相手に“これまでの罪の重さを物理的にのしかける”という必殺技を敵にぶつけるが……。『十二死の子』と名乗る怪物にはその必殺技は効果がなく。結局、マルコシアスは謎の怪物を取り逃がしてしまっていた。
散り散りになり、赤羅城が訪れたのは第3中庭。
そこで赤羅城が出会ったのは1人の女騎士。
その人物は美しくまだ若々しい女騎士のようであった。露草色の青き長髪、その髪の一部が顔の中央付近を隠している。鉄紺色の暗い緑っぽい青色の瞳があり、その目は死んだような目になっていて、目もとにはホクロが1つ。
その防具としては武将という名ではないような西洋風の銀色と青色を混ぜた鎧を着ていた。
その名は『虹武将“青”。天気の『クロケル・ヤゴコァネモイ』』。
クロケルは赤羅城に対して過去の恨みを今も抱いており、クロケルはかつての仲間でもあった赤羅城の不死身を止める方法を知っているという。
すると、クロケルの体は霧の中へと消えていく。
霧が晴れた先はジャングルのように草木が生い茂り、霧が視界を遮るようになってしまった第3中庭。
赤羅城は霧のジャングルをさ迷いながらも、クロケル探しを始める。
だが、ジャングルへと変貌した第3庭園ではなかなか見つからない。
その理由はクロケルの能力にあった。
彼女は箱庭の付喪神をその超能力として身に宿した。【箱庭の付喪人】である。
その能力は、対象と対象とを置き換わらせ、その内部を自由に操ること。
その能力で赤羅城を迷わせていたのである。
過去、赤羅城がマルコシアスの弟を殺した?ことをクロケルはずっと恨んでいた。そのための復讐が今始まろうとしている。
気がつくと赤羅城は湖の側にいた。クロケルの姿は向こう岸にあり、湖は泳げる程の深さのようだ。
赤羅城が堂々と湖を泳いでいると、彼の体に地獄のような激痛が走る。温度と塩分の濃度が異常に高い湖だったのだ。
しかもそこは、石化する湖。
体がボロボロになりながら赤羅城はもがく、だが彼は力尽きて湖の底へと沈んでしまった。
石化した赤羅城はクロケルの手によって引き上げられ、クロケルは石を破壊することを決意する。
そして、石はひび割れ、石化した赤羅城は粉々に砕けた。
だが、赤羅城は人の形を捨ててでも生きており、クロケルはその姿に恐怖を覚えて油断してしまう。
すると、人の形へと戻った赤羅城が隠しておいた爆弾を引火。こうして赤羅城とクロケルは共に爆発に巻き込まれてしまったのである。
散り散りになり、マルバスが訪れたのは大浴場。
そこで再会した日雇い侍。お互いに湯船に浸かろうと体洗っている最中の再会だった。
だが、彼女は現在虹武将として活動しており、マルバスの敵になっていた。
そして始まったのは殺試合。
だが、戦闘は長引き、なかなか決着がつかない。
そんな時、ついに日雇い侍の必殺技である『ゴリン一天異界録』がマルバスの肉体に炸裂。マルバスは重傷を負い、大浴場から吹き飛ばされてしまった。
その頃、アンドロ・マリウスと帝王は会談中。
だが、2人の会談中に現れた1人の女性。彼女は重傷を負っていたが、それでも力を振り絞ってアンドロ・マリウスを探しに来ていたのだ。
こうして、訪れた帝王とマルバスとの対面。
帝王はマルバスに情報を与えて、載冠の儀に関わらないようにと取引を投げかける。
しかし、マルバスはそれを拒否。
マルバスとしては、“【魔王国】を倒すための同盟の拒否”、“「泰平の世を作る」という野望”という2つの理由から帝王と対立することを決める。
だが、マルバスにとっての帝王戦は一方的に敵うものでもなかった。
必死の攻防の最中、爆弾の爆発を帝王に浴びせ、アンドロ・マリウスと共に脱出しようとしたマルバス。
しかし、マルバスの死闘も虚しく帝王は無傷。帝王は一撃でマルバスを気絶させてしまう。
こうして、マルバスはこれまでの傷も相まって戦闘不能。
それを察したアンドロ・マリウスがこの部屋からマルバスを抱えて飛び降りることで、帝王から逃げることが成功したのである。
さらに、2人の身柄はスターちゃんによって救出された。
一方、エリゴルとフレンドちゃん。
2人がいたのは“お祝いの場”。ここは載冠の儀を祝うために大陸中のありとあらゆる権力者が集まったパーティー会場である。
王族や有名芸能人などが集う会場で、2人は隠れながらアンドロ・マリウスを探していたのだが……。
【青年英雄】『プルトン・マーベラ』という男の話が耳に入る。
その男、見た目も声も犯罪組織【闇星】幹部水行の使者『フォカロル・ハーデス』にソックリであった。
さらに、彼は物語を語るようにキユリーの最後を語り始めた。そしてキユリーがエリゴルに遺していった最期の遺言についても……。
だが、エリゴルは耐えた。耐えて、そして誓った。
「お前の繋いでくれた……運命のおかげで生きている。だったら、この命。誰かの運命を繋ぐために使うと約束しよう」
彼は今はなきキユリーに語りかけるかのように、キユリーへと約束を誓ったのだ。
こうして、エリゴルは泣きそうになりながらもキユリーの死を受け入れて、前へと進んでいく。
一方、アンドロ・マリウスはどんな怪我でも治してしまうという“奇跡の薬”を探していた。その薬を求めて“専用医務室”へとたどり着いたアンドロ・マリウスとスターちゃんはとある女性と出会う。
その女性。青色のゆるふわショートの髪型で、右目は黒き漆黒、左目を眼帯で隠していた。
その服装は浴衣。セイヨウキヅタの柄がよく似合う。また、その身長から魅せる美脚。
その名は『虹武将“藍”。友情の『ウヴァル・エリスサノ』。
ウヴァルの能力は【糸の付喪人・“赤い糸”】。それは“初対面の相手と自分を仲良くさせてしまう”洗脳系の能力であった。
その結果、スターちゃんがウヴァルの愛人レベルの親密度と化してしまう。
こうして、仲間割れが発生し、アンドロ・マリウスとスターちゃんは殴り合う。だが、スターちゃんによって押さえつけられたアンドロ・マリウスにはまだ葛藤の心が残っていた。
そして、スターちゃんによって殴られ続ける時間が過ぎ……。
その期間でアンドロ・マリウスはついに自身の帝王になってからの目標を口にした。
こうして、アンドロ・マリウスの葛藤の心は消えて、再びスターちゃんとの戦いが始まろうとした。
だが、その時、深淵から現れたのはスターちゃんソックリの4人。
その名は『みずの』『きの』『かの』『ひの』、通称:スターちゃん5人衆。
彼女たちはスターちゃんこと『つちの』を処分するために姿を見せたのだ。
こうして、スターちゃん対スターちゃん達の戦い。そして、アンドロ・マリウス対ウヴァルの戦いが始まった。
ウヴァルはアンドロ・マリウスを殺そうとはせず、妨害や捕縛することでアンドロ・マリウスを戦闘不能にしてしまう。
だが、戦闘の途中、ウヴァルやアンドロ・マリウスは見た。
───スターちゃん達がスターちゃんを生きたまま捕食していたのである。
スターちゃん達は愛を知りたかった。しかし、愛の生み出し方を知らない彼女らは愛を直接食らうことで知ろうという考え方を持っていたのである。
そんな光景を見たアンドロ・マリウスは激怒。
スターちゃんを救おうと、彼女に声をかけ続ける。
その声がスターちゃんに届き、彼女は生きていたいと願った。
────生きたい。
それはスターちゃん5人衆の中の1つの人格が本来持っているものではない感情であった。
スターちゃん達はその感情を食べることができるという真実に心から感謝。
そのお礼をするために、スターちゃん達はアンドロ・マリウスを救い、ウヴァルを追い払い、奇跡の薬を彼女に与えた。
だが、アンドロ・マリウスとしてはスターちゃんを見捨てるわけにはいかない。
友達であるスターちゃんを傷つけているスターちゃん達を許すことができない。
しかし、結局対話では解決せず。アンドロ・マリウスは追い払われてしまった。
一方、同時刻。
未来を予知したアガレス、それを見張っていたベリアルがついに動き出し。
さらに『フォカロル・ハーデス』も“帝国を獲る”ために動き出そうとしていた……。
そして、いよいよ。─────載冠の儀、開幕。




