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7 ・お呼びだし+高身長年齢上の女性

 左目が疼き終わる。久しぶりの未来予知だった。

僕が左目の疼きを抑えながら、その場から動けないでいるのを見て、キユリーもさすがに不審に思ったのだろう。


「エリゴルさん。どうしたんですか?」


心配したような気味悪がっているような声で僕のことを心配して声をかけてくれたのだ。

僕はその事に気づくと、すぐに左目付近から手を離し、何事もなかったように誤魔化す。


「ん? ああ目にゴミが入ったみたいだ。問題ないよ」


正直、キユリーに本当のことを言ってしまおうかとも考えてしまう。キユリーになら未来予知ができていると伝えてもいいと思ってしまう。

だが、思いとどまる。禁忌の森で干渉を受けて未来予知が出来ていると周囲に知られてしまえば僕は死刑だ。

たとえ、親友であるキユリーであってもこの事を伝えない方がいい。変な事に巻き込んでしまうかもしれないから。


「じゃあ、キユリー。僕は少しあの人を捜してみるよ。ほら、そろそろ出発なんだろう?

あの人も呼んであげなきゃいけない」


これ以上、深掘りするような心配を受けてしまえば本当にキユリーにしゃべってしまいそうだ。

だから僕はキユリーから離れるようにあの人を呼んでくるという口実を使う。


「…………ええ。分かりました。あの人のこと守ってあげてくださいと言ったのは私ですしね」


そんな僕をキユリーはそれ以上なにも聞いてくることなく、僕を見送ってくれた。




 あの人とはたびたび話題に上がっていた謎の高身長年齢上の女性のことである。

先程、山1つを技の的として消し飛ばしたとフレンドちゃんからは聞いている。

フレンドちゃんは西の方角だと言っていたので西に移動していけばいずれ会えるだろう。


「…………いいんですか? 大切なフレンドの親フレンドに嘘をついて」


ふと声がした方を見ると、いつの間にかフレンドちゃんが着いてきていた。


「まぁ、キユリーは大事な親友だから危険事に巻き込みたくないしね。僕が事件に巻き込まれて死ぬときはキユリーに知られずに死にたいんだよ。てか親フレンドってなんだよ」


「そこは無視していただいて。それよりもご立派な決意ですね。いい加減吐いちゃえばいいのに。案外、みんなもフレンドの未来予知なんて興味もないかもしれないですよ」


なんだか妙だ。僕はフレンドちゃんに未来予知の話をしたんだっけ?

それともアナクフスの時みたいに調べられてバレたのか?


「どうしたんですか。別に干渉を受けた事は誰にも言いませんよ。フレンドと私の仲じゃないですか」


そんなに親交があったかなとつっこみたくなった。確かに彼女はネゴーティウムの時の恩人だけど貸し借りは済んでいるしな。

まぁ正直に言うと、フレンドちゃんから仲がいいと思われているのはほんとうにうれしい。


「そうだよな。フレンドちゃんとの仲だもんな。いつの間にか僕が喋っていたとかなんだろうな」


「そうですよ。忘れちゃったんですか?」


ほんとうに忘れちゃっていた。昔から物忘れが激しかったのは事実だから今回もそうなのだろう。けれど、こんなに大事なことフレンドちゃんに話しちゃったのにそれを忘れてしまうとは……。ほんとうに物忘れが酷くなってきたのだろうか。


「そうだ。どうせなら私にフレンドが見た予知を教えてくれませんか?

私の方がプルフラスよりはマシだと思いますけど」


フレンドちゃんからの提案。

確かにその提案は良いアイディアだ。


「そりゃいいアイディアだ。お願いするよフレンドちゃん」


こうして僕はフレンドちゃんに自分の見た予知を話してしまった。初めて身内に予知を語ったのだ。




 一通りフレンドちゃんに語り終える。


「……っていうのを見たんだよ」


自分でも正直話しにくい予知だったが、それを聞いたフレンドちゃんはというとポカーンとしていた。


「………………なんかよくわからないっすね」


「それ。僕にもわからないんだよ」


「とりあえず巫女をどうにかするっていうのが大事なのかもしれないですね」


「巫女が五色の未を呼び出す前にどうにかするかだよな」


「「巫女をどうにかね……」」


どうにかするってどうすればいいのだろう。僕にできることはいったいなんなのだろう。

そういえば、あの予知の中でプルフラスは巫女を侮っていたと後悔していた。たしか僕の存在がどうとかって……。

でも、プルフラスは前に僕の存在が巫女に対する武器になるとも言っていた。

僕が参戦するべきなのか参戦せざるべきなのか。

正直、どちらを選べば良いかさっぱりわからない。




 悩んでいた僕とフレンドちゃん。その2人に答えを投げ掛けてきたのは第三者の人物だった。


「巫女をどうにかするって?

そんなの簡単だろうが。殺せばいい」


僕とフレンドちゃんは声がした方向に視線を向ける。

そこにいたのは僕らが会いに来た人物だった。


「「ゲッ、謎の高身長年齢上の女性!!」」


「オレか。謎の高身長年齢上の女性ってのはオレのことなのか!?」


「よかったっすねフレンド。私らが行く前に謎の高身長年齢上の女から来てくれましたよ」

「よかったぜ。なぁ、謎の高身長年齢上の女性。プルフラスがもうすぐ出発だって謎の高身長年齢上の女性のことを呼んでたぞ」


「……あのさ。オレにも名前はちゃんとあるんだぜ。まぁ貴様らに教えてやるつもりもないけどな」


「おいおいそんなこと言ってちゃ。謎の高身長年齢上の女性が本名になっちまうぞ」

「そうっすよ謎の高身長年齢上の女性。いい加減吐いちゃえばいいのに」


「フハハハハハハハハ。巫女の前に貴様らをぶちのめしてやろうか?」


そう言って脅しにかかってくる謎の高身長年齢上の女性だったが、そんな脅しが僕に通用すると思っているのだろうか。

僕は謎の高身長年齢上の女性の脅しを真に受けることなく、フレンドちゃんと共に彼女から少し離れながら移動することにしたのである。

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今回の話もどうかあなたの暇潰しとして役にたちますように…。 気に入っていただけたら是非評価でもポチッと押していただけませんでしょうか。モチベーションに繋がりますので…。星1でも構いません!! ★これ以外の作品☆付喪神の力で闘う付喪人シリーズ
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