9①・結果報告+女帝の城へ行こう
フォカロルとの対面から数時間後。
僕らは例のラブラブホテルにて再会を果たす。
マルバスは城の偵察。僕と妹メイドさんは聞き込み調査。
両方とも充分に情報が集まったので、最終確認というわけである。
「うむ。2人の聞き込み調査の中にはさすがに女帝の弱点に繋がるモノはなかったか……」
「僕らも頑張ったのだけどね……」
妹メイドさんがお店でかき集めてくれた情報と、フォカロルとの出会い後に僕だけで集めた情報ではあまり良い情報と言うのは掴めなかった。
「そういえばマルバスのお城の偵察はどうだったんですか?」
「オレの?
さすがに城内の地図までは分からなかったが、数日後の夜に兵士たちが国中に動くことになってるらしいぞ。
出世式?か何かの準備だそうだ。
だから、城内は女帝と数十名くらいだと考えている。忍び込むならその日だな」
その日に捕らえられている『マルファス・ラ・ドラグ』を救出し、更に女帝の暗殺。
改めて思い返すとなかなか一晩で行うには苦労しそうな内容である。
せめて、日を分けてすることができれば楽なのだろうけど。
「一夜で2つのミッションか……僕らだけでできるのかな?」
正直僕としては不安である。
本当はもっと人数が欲しいと思ってしまう。
2つのミッションのために手分けして行えるくらいの人数が欲しい。
けど、人数がいないのを嘆いても仕方がない。
「確かに……人数が微妙だな。
オレが女帝を暗殺する。
その間に妹メイドがエリゴルに付き添い、マルファスを救出。
オレ1人で対処できるのなら問題ないけど。
兵士1人にでも見つかればアウトだからなぁ~」
「女帝のいる部屋の天井に忍び込むにしても、女帝の部屋が分からない。
せめて、女帝のいる部屋までの地図があれば見つからずに移動できるんでしょうけどね……」
「「うーーーん」」
城内の地図があればマルバスは見つからずに女帝の暗殺が可能であり、僕らは難なく『マルファス・ラ・ドラグ』の捕らえられている牢屋を発見できる。
けれど、地図がないのでどうにもできない。
兵士に変装して忍び込むにしても城内を把握するためにはかなりの日にちが必要になるし……。
せめて、この国に女帝への恨みを持っている人がいれば、その人の協力で城内のことが分かるかもしれない。
それをやるのは、リスクが高いがそういう人を見つけるしか方法がないのだろうか?
すぐに最初の難関にぶち当たる。正直、もっとスムーズに行くと思っていた。なめていたのかもしれない。
アナクフスの時は味方に城内を把握している者がいたので動きやすかった。
けど、今回はそんな人はいない。自分達で捜すしかない。
「ああ、地図でしたらこちらですよ」
「「うーーーん…………ん?」」
僕らが妹メイドさんに視線を向けると、彼女は衣類の隙間からパサッと何かを取り出した。
それは数枚の紙の束である。多少返り血に染まってはいるが、城内の地図である。
「見にくい部分はありますが、我らのミッションには問題がないはずです」
「さすが妹メイド!!
頼りになるわーーー」
地図を入手していた事を誉めるマルバス。
さらに嬉しさのあまり妹メイドさんに抱きつくマルバス。妹メイドさんはマルバスに撫でられて恥ずかしそうに赤面しているが嫌ではなさそうだ。
そんな2人の様子を眺める僕。
「すごいな……妹メイドさん」
彼女がいつの間にどこで地図を入手していたのかは不明だが、これでお城への侵入方法を考えることができる。
こうして始まるのは女帝の暗殺計画の最終確認。
その行動が善か悪かは分からないが、僕らは女帝の暗殺と『マルファス・ラ・ドラグ』の救出を遂行しなければならないのである。




