18 ②・僕しか知らない情報+予言書
十二死の酉を討伐する。
その提案をハルファスと執事さんに行う。
すると、その提案を聞いたハルファスが急に笑い始めた。
「アハハハハ、化物退治?」
「ハルファス様。お笑いになる話とは思えませんが……」
「いやいや、執事。これを笑わずしておくべきではないだろう。
確かに、馬車の墓場道ではそういう噂を聞きはする。しかし、エリゴル殿」
「なんだよ……ハルファスさん」
「一緒にということは貴国も参戦するのかね?」
「それは僕だけだと……」
誰にも相談してない話だ。マルバスに許可も取っていない。僕1人で挑む気でいた。
「やはりそうか。兵士も我が国が派遣するのだろう?
貴国はそう簡単に言ってのけるだろうが、ほとんどが我が国の消費。こいつを守るのも国の兵士だ。
確かに、これは我が国の問題だ。けれど、我が国としてはこの怪物とやらをそのままでも構わないと考えた」
自国の民に起こるかもしれない危険をハルファスが無視しておこうと発言した時に、隣の執事が慌てたような表情でそれを諌めようとする。
「ハルファス様、我が国民に危機が迫っているかもしれないのにそんな口は……」
「例えだよ執事。考えたとする例えさ。
それでその場合は残されたあなたはどうするんだ?
1人で挑むのか?
それとも逃げ帰るのか?」
諌められたハルファスは何の反省もなくそれを冗談だと言いきり、そして再び僕に尋ねてきた。
僕は悩むこともなく、その質問に答えを返す。
「…………1人でも挑むさ」
「死ぬかもしれないのにか?」
「ああ、挑むとも。僕には参戦のメリットがないと考えられているのなら、それは検討違いさ。
僕は化物を討伐したいんだ。その化物についての情報も持っている。僕しか知らない情報さ」
「ふむむ、情報……?」
「そうだ。僕しか知らない情報さ。怪物のせいで僕はさんざん困った目に合わされているんだからな。
だからこそ、僕を参戦させてくれ。そうすればその情報を渡す」
「そうか。ただの足手まといになる訳ではないということか……」
すると、ハルファスは顎に手を置いて考え始める。
執事がそれを見守る中、10秒ほど考えていたハルファスは口を開いた。
「よし、買った!!
エリゴル殿、あなたを馬車の墓場道に案内しよう!!」
「それって……」
「執事よ。狩の準備を兵士たちに指示しておいてくれ。
時刻はいつ? なに、明日の早朝までに?
ああ、分かったぞエリゴル殿。
それでは兵士たちは自分の所属する隊の兵士長を集めておけ。
この大広間はこれより、化物退治の作戦会議場とする!!」
「かしこまりましたハルファス様」
「エリゴル、化物の情報はすべて真の話をしてくれないと困るからな!!」
「分かってますハルファス殿」
十二死の酉討伐への一歩を歩き始めた瞬間であった。
ルーラーハウス内は大騒ぎ。
兵士たちはあわてふためいて兵士長を探しに出かけ、執事は急いでルーラーハウス外の兵士たちに連絡を行う準備をしている。
僕がその忙しそうな光景に呆然としていると、ハルファスが僕の肩に手を置いて話しかけに来てくれた。
「自国であるモルカナ国にも相談せずに自分で決めた結果として、私に一番に相談してくれたのは嬉しかった。その礼だ」
ハルファスはそう言い残すと、僕を置いて大広間から退出していったのである。
次は27日12時です




