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◆09◆

 目の前に十七枚の金貨がある。木の葉のデザインで有名な某国の二十四金一トロイオンス金貨だ。一枚が三一・一グラムある。今月分の給与(?)だそうだ。


 十七枚では五百二十八・七グラムである。約束より二十八・七グラム多い。


「確か五百グラムじゃなかったか?」


「ドウセ模造品こぴーデスシ、誤差ノ範囲トイウコトデ。劣化品ぱちもんデハアリマセンノデ、ゴ心配ナク」


「いや、誤差って、二十八・七グラムって、確か今朝調べた金相場だと、買取りで税込みグラム六千百八十一円だから……えーと、十七万七千三百九十四円七十銭って、昔の俺の手取り以上じゃないか!」


「誤差デスネ」


「はー、先月は出費が多かったからありがたいけどさ」


「何ニ使イマシタカ?」


「え、話さなかったか? ほら、灯油のストーブ買うって」


「薪ノすとーぶガ壊レタノデスカ?」


「薪ストーブだけだと家全体は暖房できないの」


「部屋ヤ場所ニヨッテ、温度ノ『むら』ガデキルト言ウコトデスカ?」


「そうだけど、何か良い対処法ある?」


「家ノ構造ヲ走査シマス……終ワリマシタ。コノ家屋ノ基礎ハ砕石ヲ敷キ込ミ、突キ固メタ上ニこんくりーとヲ打ッタモノデスネ」


「ああ、工務店の話じゃ、鉄筋コンクリの箱の中に突き固めた砕石が入っている構造だそうだが」


「デハ、一番簡単ナノハ、ソノ基礎ノ更ニ下ニ発熱体ヲ埋設シテ、土台ゴト暖メルコトデスネ」


「えっ、土間基礎の中にはプロパン・ガスの配管や電力線、給湯給水管なんかもあるはずだぞ。それに『発熱体』って、夏はどうするんだ?」


「大丈夫デス。チョウドふぃーるどわーく用ノ簡易発電装置(じぇねれーたー)ガ在庫デアリマス。調査用どろーんノ予備部品デスガ、低出力ナ旧型ナノデ使ッテシマイマショウ。発熱体ノ配置トひーとぽんぷノ設置デ、配管類ノとらぶるハ回避デキマス」


「えーと、よく分からないけど、無問題?」


「無問題デス」


「じゃあ、任せるわ。あれ、工務店が天井裏に設置するダクトは?」


「ふぃるたー交換ノこすとヤ、だくとノ定期的ナ清掃費用ニツイテ、説明ガ無カッタト、くれーむヲツケ、断ッテクダサイ」


「え? そんなクレームつけて良いの?」


「ハイ。コレラノめんてなんすヲ怠ルト重大ナ健康被害ヲ生ジル結果ニ成リマス。シカモ素人ニハ困難デ、専門業者ニ依頼シタ場合ハ高額ナ費用ヲ請求サレマス」


 クソッ! あの工務店の男、俺を瞞したの? カモネギ扱いかよ!


「チョットねっとデ調ベレバ分カルコトデス。瞞サレル方ガ悪イノデショウ」


「どん亀はネットで調べたのか?」


「ソウデス。ココ三十年ホドデ、人類ノ文化風俗ニツイテノ調査ハ、飛躍的ニ進展シマシタ。ねっとノ、オ陰デス」


「どうせ俺はネット弱者だよ!」



 どん亀によると、ラジオ放送やテレビ放送の時代に入った頃も、情報の収集が格段に容易になったそうだが、インターネットの普及とそこへの電波による接続が開始されたことで、獲得できる情報の質や量は、爆発的に(それも一気に核爆発レベルにまで)増加したそうだ。


 それ以前には隠れての観察(ストーキング)か、地道に書籍などを収集するか、俺みたいな標本を採取するか、ぐらいしか手段が無かったからね。インターネットの盗聴モニタリングって、エシュロンか?


 どん亀に促されて、俺は工務店にダクト工事の断りの電話を入れた。電話口に出た相手は、家に来た業者の奥さんらしい女の人だった。


「今日社長が帰られた後、知り合いに話しましたら『定期的なダクトの清掃やフィルター交換のコストを入れると、大きなオフィスみたいな物件じゃないと割に合わない』と説明されまして……」


「ダクトの清掃なんて、しない方の方が多いですよ。フィルター交換だって、そんなに頻繁にするとは聞きません」


「その人に『健康被害をその業者は補償してくれるのか?』『フィルターに繁殖したカビを吸い込んで死んだ例や、回復不能の障害が残った例もあるんだぞ』と言われまして……」


「その方、医療関係者なんですか?」


「ええ、まあ」


「……」


「確かまだ口頭の仮契約ですし、見積もりも出して貰ってないので……」


「わかりました。社長には、そう伝えておきます」


 対人関係となると気の弱い俺は、頭から断ると言うことが不得意だった。それでも断り続けていると、相手は面倒臭くなったのか、そう言って電話を切った。



「おい、どん亀、工務店のダクト工事断ったぞ」


「御苦労様デス。コレデ余計ナ人間ノ出入リヲ回避デキマシタ」


「それで、これからどうするんだ?」


「秋マデニハ工事ヲ完了シマショウ」


 その工事って、誰がやるんだ? ひょっとして俺? あのビーム・サーベルで穴掘るの?



 予定では99話で終話のはずなんですが、まだ六分の一までしか書けていない時点で不安になってます。何より、ヒロイン(?)候補の『あいつ』が登場できるのはいつになるのか! いや、主人公とUFOしか、キャラがまだ出てきてませんよね。

 読者の皆様、読んで下さるだけでありがたく思っています。

 でもコメント貰えたら励みになります。よろしくお願いします。

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