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助けた猫と冒険旅行  作者: とうふビール
5/12

転職

       ダンジョン




この街はそこそこの規模はあるけど場所が田舎であまり強い魔物もいないため、武具もあまり強力な物はない。



なので、ダンジョンで金を貯めて次の街に行こうと思う。


魔物は弱かったのでダンジョンの周回も楽にできた。


鉄鋼石等は鍛冶屋が有れば武具を作ってもらえる様だ。宝石系はアクセサリーを作るのに適しているし、売っても良い。

どちらにしても金がかかりそうなので結構な量を確保しておきたい。


運良くアイテム袋の小がダンジョンの宝から手に入った。


大や特大等が欲しいが取り敢えず無いよりマシだ。


ある程度の金が確保出来たし、次の街に向かう準備をする。


この街から徒歩で1週間程掛かるらしいので、どうしても夜営が必要になる。

出来ればもう少し人手があると良いなぁと思いギルドに向う。


ちょうどいいクエストがあればいいが、無ければ同行者を探すべきだろうか?


アンナさんに聞いてみよう。


「今のところ次の街ミネスタへ向かう様なクエストは無いですね。後、同行者を探すのはあまりオススメできません。命を預ける訳ですから信頼できる相手じゃないと危ないです。魔物もそうですが、冒険者に襲われる可能性もありますから。冒険者同士の揉め事は結構有りますからね。」


「そうですか、う〜ん。どうしようかな。」


「ショウ、大丈夫!ミナが頑張るっ!」

「いや、流石に1週間はきついだろ。寝不足になると昼間でも魔物に遅れをとる可能性がある。まぁ急ぐわけじゃないからもう少し様子を見よう。」


「ミネスタに行くようなクエストがあるかチェックしておきますね。」



アンナさんにお礼を言ってギルドを出る。

まぁ取り敢えずダンジョンでも行っとくか。夜営の練習とかしたほうがいいのかなぁ。



数日間、ダンジョン周回をしていたある日ダンジョンから出て街へ戻ろうとしたら、足を怪我した白い仔犬がぐったりと横たわっていた。


衰弱している様で目を開けない。取り敢えず薬を塗りあまり動かさない様に抱きかかえ街へ戻る。


途中何度か目を開け警戒の唸り声をあげたが体力がなさすぎてそれも続かない。水をやり保存食を食べさせようとしたが噛む力がなく食べられなかった。


宿に戻り何を食べるかわからないので、シチューに薬草を混ぜたものをあげてみたら少しは食べてくれた。


足の方も薬が効いたらしく普通に歩ける様だ。何日か食べ物をあげていたらすっかり懐かれたようだ。


これも憧れるシチュエーションだな。ミナも可愛がっている。猫と犬だが喧嘩はしないようだ。名前をつけてやろうか。素直にシロか?


「ショウ、この子は女の子ですよ?」



「え?そうなの?う〜ん。じゃあ、ルナは?」


「わぅっ」と返事をしたので決まりだな。

「よし、じゃぁルナ!よろしくなっ!」


ルナを連れてギルドに向かう。アンナさんに紹介しようと思う。


「こんにちは、お久しぶりですショウさん。あれ?」


「こんにちは〜。この子飼う事にしたんだ。ルナって名だよ。」


「そうなんですか、じゃぁペット登録しておきましょう。」


「ん?そんなのあるの?」


「飼い犬として登録しておかないと迷子になったときとか探せませんからね。少し毛をもらえますか?」


登録は冒険者と同じ要領だ。


「…あれ?…この子…犬じゃない…ぇぇっ!シルバーウルフっ!?」


「どうした?」


「すいません、この子シルバーウルフですっ!!どこに居たんですか!?」


「え?いつものダンジョンの入口辺りに倒れてたんだけど…。」


「シルバーウルフは魔物ですよ!?近くに親は居なかったんですねっ!?……崖から落ちたのかな…!?」


「どういう事?」


「えーと、シルバーウルフの強さは災害クラスですっ!頭が良いので自分から人を襲うことは有りませんが、怒らせると国が滅びますっ!」


ルナを見ると、クゥーン?てな感じでこっちを見つめている。

え?こんなかわいいのに?


「プライドが高く何者にも媚びない筈です…が……。そしてレベルか有ります。子供ですがレベルは8です。」


「え?強くないか?」

「この辺りの魔物には負けるないですね。」


「ていうか、…飼って良いのか…?」


「頭も良いし、なぜかショウさんに懐いてる様なので…大丈夫……だと思います……。たぶん。でもバレない様にしてください!」


首輪とカードをもらってギルドを出てルナを抱き上げる。


「お前、凄い奴だったんだな…。ミナは気づかなかったの?」


「すいません、私は子供の頃から奴隷でしたから、知りませんでした。」


謝られるが、別にミナは悪くないので撫でておく。


ルナも、わぅと鳴くので撫でてあげる。


「でも強いみたいだから、試しに狩りに行ってみよう。無理はしないでな。」


「そうですね。」


初めてクエストを受けたときの森へ行ってみる。索敵能力が優秀ですぐに魔物を見つけた。


兎の魔物だ。様子を見ようと思った時にはルナは飛び出しあっという間に仕留めてしまった。


その後も何度も魔物を見つけては積極的に狩りをしていった。


俺とミナはやる事が無い。子供なのに優秀過ぎる。見つけた時に元気だったら負けてたかも知れない。。。


まぁ頼りになる仲間が出来たことを喜ぼう!


ルナがいれば出発出来そうだな。ペット用の防具等は無いみたいたが、必要無さそうか。


食事も人と同じで良さそうだし。


翌日、ギルドに行って出発のあいさつを済ませ旅立つ事にした。


寂しくなるが、それ以上に先に進める事のワクワクが大きい。



街を出て2、3日は魔物も変わらないので順調だった。心配だった夜営は、ルナが魔物の気配をいち早く察知して教えてくれるので凄く楽だった。


そしてそれはその後も同じ。多少魔物が強くなったところでそれは変わらなかった。正直、拍子抜けしたが気を抜かない様に注意する。



あっという間にミネスタについて、ギルドに向かう。クエストの確認と転職するためだ。


わかった事は、転職はいつでもできるが強くなるにはある程度の期間は1つの職を続ける事。転職は神殿で行う事だ。



早速、転職神殿に向かう。


神殿は思ったよりも大きく神々しい雰囲気が有る。教会も兼ねているらしく神官が多い。まぁ神殿も神様関連だから元は一緒なのか。


早速転職だ。職盤と呼ばれるマジックアイテムを持つと今転職出来る職業が選べるらしい。


ミナは戦士、武闘家、モンク、狩人、踊り子が出た。何になるかは任せているので回復も出来て戦闘もするモンクを選んだ。


さて自分は。戦士、僧侶、盗賊、魔法使い、武闘家、魔物使い、狩人があった。

モンクがあればいいなと思ったがなかった。現状ミナとルナで戦力は十分。

魔物使いは魔物を仲間に出来たりするらしいが仲間が増えたらどうなるんだ?街に入れるのか?盗賊はゲームなら選ぶが現実だとまずいんじゃないか?罠避けとかなら盗賊な気もするが狩人も出来るらしい。

回復や補助なら僧侶だ。うーん。安全を優先して僧侶にしよう。

今の武器もそのまま使えるし。


ルナは流石に無理だな。


モンク、僧侶、シルバーウルフのパーティだ。


まぁまぁバランスとれてるんじゃないかな。

ペットOKの宿は有るだろうか?探して見よう。


一応あるにはあるが、ペットは外の馬小屋になるのがほとんどだ。


ルナはペットというか仲間だから部屋に連れていきたいがそれは駄目となる。


だんだん街の中心から外れて寂れた方に来てしまった。安宿が集まっているような場所の隅っこの方だ。


そんな場所にサクラハウスがあった。

新しくは無いが丁寧に掃除がされており、庭があり馬房も併設されていて宿の裏口につながっている。

繁華街から少し離れているせいか客の入は殆どない。入口を入ると小ぢんまりとしたカウンターに30半ばほどのオヤジが退屈そうに座って、いや、居眠りしていた。


「すいませーん。」


声をかけるが反応がない。


「すいませんーん!!」


「起きろっ!!」


「うおっ!!」

でかい声で怒鳴ると驚いた男はガタガタっと椅子から転げ落ちた。

「痛って!何だっ!誰だっ!」


「は〜い、すいません」


怒鳴る男と、奥から若い女の子が出てくる。


女の子はジロリと男を見て「どうせまた居眠りしてたんでしょ?」とズバッと指摘。

男はバツが悪そうな顔をして女の子をチラっと見てからこちらを向き直り「脅かしたのはあん…!?」

「こらっ!お客さんに何いってんのっ!」

怒りがおさまらない様子の男の言葉より早く女の子に怒られて軽く拗ねているようだ。


なんか駄目な雰囲気だけど、まぁダメ元で一応聞いてみる。

「コイツと同じ部屋で泊まれるかな?」


「はぁ!?犬と同じ部…」

「同じ部屋は無理ですけど、1階の裏口横の部屋なら馬房のすぐ横だから窓を開ければすぐ見えますよ。」


男は何か言いかけたが、女の子がハキハキと説明してくれた。

すぐ隣か。これで妥協しなけりゃ野宿しかないよな。


ミナを見るとショウに任せますって顔して見ている。「じゃぁ部屋を見せてもらえますか?」


「はい、どうぞこちらへ」

女の子が素早く案内してくれる。入り口から少し奥に裏口があり馬房と繋がっているがドアがあり建物の中を使って良いらしい。

部屋も綺麗に掃除されていてベッドも2つある。悪くない。


「ここにしよう。連泊するから割り引いてもらえない?」


「ありがとうございます!何泊する予定ですか?一泊100ゴルですが一週間で550ゴルで良いですよ。」


「しばらくいるつもりなのでじゃぁ2週間分ていくら?」


「2週間なら1000ゴルに負けときます♥」


ムウ。かなり安くなったな。商売上手な女の子だ。


「じゃぁそれでお願いします。」

「ありがとうございます。それでは受付にどうぞ」

と言って男はすっかり蚊帳の外でテキパキと手続きを済ませてしまった。

少し男に同情してしまう。


ああ、そうだ「ルナ、同じ部屋は難しいみたいだから悪いけどこの場所で寝てもらっていいかい?」


ルナはしょうが無いなぁと言うように「わふん」と鳴くと裏口玄関の端に陣取った。

部屋に入り窓を開けて

「俺たちはここに居るから安心してね。」

「ルナ、寂しくなったら言ってね!」

と説明しておく。



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