緊急クエスト2
一旦、ギルドに戻り報告をしたあと、遅い昼飯を食べなからミナと相談。
ギルドでもらった地図―ギルドで無償で配布している―を見ると、集落のあった湖の更に奥は岩山があり、その奥にダンジョンがある様だ。
岩山に入ると生態系か変わるようなので、手前の谷間の入口まで誘き寄せれば囲まれる事はなくなる。
気付かれないように1度湖を回り込んで谷側から近づくか。
少し遠回りになるが安全が優先だ。多少の資金か出来たし、装備を整えよう。今日の狩でミナのレベルもあがったし回復アイテムをたっぷり持っていけばいけるだろう。
翌日を準備に費やし、簡単なクエストをこなしつつレベルもあげる。
ミナは7レベルで、俺はなんだかんだで17まであがっている。ほんとにレベルあがるの早いな。
このクエストでどれだけあがるか楽しみだ。
翌朝日が昇る前から移動を開始する。ミナは夜目も効くので、特に問題ない。
魔物は暗いうちは活発になっているので、行く手を阻むモノだけを倒しつつ、明るくなる頃には、谷の側に到着出来た。
谷の状況を確認し安全を確保して休憩する。
「ミナ、疲れてない?体力は大丈夫か?」
ミナはもぐもぐとサンドイッチを食べながら周囲を警戒している。
「少し休めば問題ないです。ショウは疲れてないですか?」
「レベルが上がったおかげかほとんど疲れてないよ。」
この後、ミナが一人で集落に向かいゴブリンの注意を引きながらここ迄戻ってくる。
俺はここで待機だ。こぶし大の石を集めてあるのでミナがここ迄下がったら、近くの岩から、投石する。
道の広さは、人が3人並んで歩ける位。
戦闘するなら2人ずつ相手にするくらいだろう。2人ずつなら、ミナは楽勝だ。
後はどれだけの数が居るのかだ。
結構大雑把な作戦だが、ここ迄引き寄せられるかが鍵だ。
「では、そろそろ行ってきますね。」
「うん、ミナ。気をつけて!」
言いながら、ギュッと抱き締める。
ミナも嬉しそうに抱きついてくる。
「ショウ♥頑張ったらご褒美下さいねっ♥」
はにかみながら言うミナは、可愛く気合いも充分だ!
俺も頑張らなければ!
「うん、無事に帰ったら、ご褒美考えよう。」
……
その日の夜、酒場はメチャクチャ盛り上がっていた。
ゴブリンの集落は壊滅。クエストは無事に達成。報酬は結構な額だった。ギルド依頼のクエストだった為、報酬は他よりも良かった。
ゴブリンの数も75匹と思ったより多かったのもある。
そして嬉しい誤算もあった。
ゴブリン達がアイテム袋を持っていたのだ。サイズは中だが、大収穫だ。
他にもナタのような武器等もあったので使えそうな物は色々と持ち帰り売却して金に変えた。
レベルもあがった。
ミナは9、俺は20だっ!
凄くない?
今は3人でいい気分で酒を飲んでいる。
そう。アンナさんが早期の依頼達成に興奮して、何故か打ち上げに着いてきたのだ。
「ほんろに凄いですぅー。あっろひうまに、ゴブリン、ヤッてくるなんれー。」
「アンナさん大丈夫?飲み過ぎじゃない?つか酒のんだ事あるの?」
「ありますょー、らいりょーぶれすっ!」
呂律が回ってないが、楽しそうにケタケタ笑ってる様は少しヤバい感じがしないでもないがまぁいいか。
ミナも結構飲んでるのでやはり酔っ払っているようだ。
「ショウ〜♥ミナ頑張ったよ〜♥なでて下さい〜♥」
ミナの戦いは凄かった。途中から笑いながらゴブリン達を蹂躪していった。
鬼神の如き強さで、ゴブリン達は恐怖で立ちすくんでいたり、逃げ出すものも居たりしたが、あっという間に回り込んで、全て屠っていた。
思い出すと恐ろしい……。
ギャップが凄い…。
頭を撫でてあげると、ニヘラ〜っとだらしなく笑い横からむぎゅっと抱きついてくる。しばらく離れそうにないな、これは。
胸の感触が気持ちいい。
「ミナ強かったなー。この辺にはもう敵居ないな。」
「ミナさん、ずるいですぅ、アンナも撫でてくらさぃ。」
「何でだよ。」
すぐさま突っ込むが、一応撫でる。
「今日は疲れたからそろそろ帰ろうか〜。アンナさん、またね。ちゃんと帰れるか?」
名残惜しそうにするか
「直ぐ近く何で大丈夫ですぅ。」
方向が同じだったので、送りつつ俺たちは宿に帰る。
「疲れたから今日はもう寝ちまおう。」
「はいっ♥今日は離れないです!ぎゅっと抱きしめて欲しいです♥」
一応ギルドで水浴びをしてるので、そこまで汚れては居ないはずだ。
服だけ着替えてベッドに横になると、酔もあって二人ともあっさりと眠ってしまった。
翌日目が覚めたら、昼前だった。
結構疲れてたらしい。
苦しくて目覚めたら、ミナが上に重なっていて、谷間に挟まれていた。
幸せな苦しさだ。
ふにゅふにゅだったな。。
資金が出来たので、革の鎧と棍棒を買った。ミナは格闘なので動きやすさ重視だ。
次の街に向かうのもいいけど、ダンジョンあるんだよな。
見てみたい。と言う事でギルドへ。
ギルドに入ると、アンナさんが泣きそうな顔で、飛び出してきた。
「昨日は申し訳ありませんでしたっ!ご迷惑をおかけしましたっ!」
「ああ、いいよ。もう大丈夫?」
「はい。ほんとに恥ずかしいです。すみません。」
「まぁ、たまには息抜きも必要だよね。」
「ありがとうございます。では、本日はどのようなご用件でしょうか?」
切り替えが早いのはさすがプロだな。
「ダンジョンの情報が欲しいんだけど。岩山のダンジョンの。」
「承知しました。あのダンジョンは攻略済みですが、宝箱は何度も復活します。ボスが居るので、倒すと宝箱が出ます。3階層でそんなに広くないので攻略は簡単にできると思います。鉱石や宝石系の宝が多いです。」
なるほど。楽勝かな?
「適正レベルは6なので章さん達には物足りないかと。けど、お金は稼げると思いますよ。アイテム袋もあるみたいですし。」
聞けば、石系の宝は普通は単価はいいが重いので数は持てないがアイテム袋が有ればかなり割のいい宝だそうだ。
まぁ、石を何個も持ち歩くの確かに厳しい。
そういう事なら、早速稼がせてもらおうか。路銀は多いほうが良いしな。
そのまま向かおうと思ったが、起きたのが遅かったので、今日は街を歩いてみる。
ミナは普通に手を繋ぐようになった。少し恥ずかしいけど、素直に嬉しい。
そういや魔法があるんだよな。なにも覚えないけど。
「魔法ってどうやって覚えるんだ?」
「えっとですね、魔法使いに転職してレベルを上げれば覚える様です。」
「転職か。」
「戦士や僧侶、武道家やアサシン等もあります。」
「色々あるんだね。転職ってどうするの?勝手にやればいいのか?」
「いえ、この街には無いですけど転職させてもらえる神殿があってそこで転職します。次の街に行けば確かあったはずですよ。」
ほう。興味深い。やはり魔法は使ってみたいよな。ミナは格闘系だし、魔法使いになろうかな。まぁ、次の街に着いたら考えてみよう。
「ちなみにいまは、何の職業なんだろ?」
「今は、村人だと思います。私は村にいた時は奴隷でしたが今は村人になっていますよ。」
「格闘家じゃなかったのか…。村人であの強さか。」
「種族に適正がある職業があるんですが、獣人は基礎能力が高いので格闘系が素でも強いんです。格闘家になるともっと能力があがると思います。」
凄いな。今より上がるのか。ミナは格闘家で決まりかな。