緊急クエスト
殆ど眠れなかった…。
寝かせてもらえなかった。とか言う意味じゃなく、己の欲望と戦っていたからだ。
最初は後ろから抱きしめる感じでいたのだが、やがて寝返りをうつ度に柔らかい感触が身体のあちこちに当たって意識しっぱなし。
ベッドでむにゃむにゃゴロゴロしてる姿はやはり猫っぽい。
朝、寝顔を見ていたときにミナが起きて目があった時は可愛かった。。
毎日寝たい。
これから二人で過ごすのでそういう関係になっても良いと思うけど、まだ早い気がする。
そんな訳で、寝不足のままギルドへ向かう。
今日から1週間はレベル上げと金稼ぎに専念する事を考えてクエストを選ぶ。
討伐系メインで、近くを探索しながらレベル上げする。
お金は主にクエスト報酬と魔物の討伐部位を売って稼ぐ。
荷物が大変だなと思っていたら、マジックアイテムのふくろがあるらしい。
空間魔法というものがあって、それで作れるらしい。
ダンジョンなどにもある様だ。欲しいな。
取り敢えずギルドに向かい、効率良く成長出来て、金も貯まるようなクエストを探す。
が、まぁそんな都合良いいものは無いよな。
念の為、聞いてみるか。アンナさん居るし。
「すいません、レベルとお金がサクサク貯まるクエストありますか?」
「えっ?…そんな都合いいものあれば皆受けてますよ。」
「ですよねー。じゃ、高く売れる素材とか教えて下さい。」
「高値がつくのはやはり魔石ですね。でもそれなりの強さの魔物がドロップしますし、滅多にドロップしません。他には、レアメタルとか鉱石とかも高値が多いですよ。」
「他はダンジョンでお宝を見つけるとかですね。まぁ、この辺りに大したダンジョンはありませんけど。」
「じゃ、やっぱり地道に魔物の素材集めとかですね。」
「お金を貯めたいんですか?」
「うん、まぁ。装備とかアイテム袋とか欲しいですからね。」
「じゃあ、まえに話した依頼を受けてもらえませんか?」
「えーと、なんだっけ?」
「以前、受けて頂きたいクエストがあるって話したのですが、初めてだから別のクエストを受けると言う話をしたんですが…。今なら受けて頂けるでしょうか?」
「あー、そうでしたね。どんな内容なんですか?」
アンナさんはホッとしたように
「実は、南の森の中にゴブリンの集落が出来た様なんです。単体だと殆ど脅威は無いんですが、群れを作るとかなり厄介になりまして。まだ目立った被害はないんですが、集落が出来るとまずいことに成りますので今のうちに駆除したいと思ってまして。」
「それって結構大事じゃないですか?」
「ええ、そうなんです。」
結構な数が居るだろうから、レベルアップできそうだし、少しはお金も溜まりそうだな。
ただ、今の装備で大丈夫なのかが不安だ。
ミナは武道家っぽいから攻撃力の点では問題なさそうだが、俺は村人の普段着っぽい服とナイフだ。
集団に囲まれるとかなり危ないだろう。
「期限とかあるんですか?」
「期限は無いですけど、あまり時間がかかると増えていきますので、早めの駆除が望ましいです。」
ふーむ。正直どれだけいるか、分からないから準備はしっかりしたい。
「複数のクエストを同時に受ける事も出来ますか?」
「え?あ、はい。大丈夫です。期限などがあるものは注意しなければなりませんが。」
よし、じゃぁ、まず偵察がてらにその集落行く途中に達成出来そうなクエストもいくつか受けて行こう。
レベルも金も少しは貯まるだろう。
「じゃぁ、そのクエスト受けてみます。」
「良かった!ありがとうございます!助かります!」
「勢いで受けちゃった感じだけど、ミナ大丈夫かな?」
「ゴブリン位問題ないです!サクッとやっつけちゃいましょう!」
ミナはやる気充分だ。
偵察がてら、森に向かう事にした。
森の近くにも何匹かゴブリンがいたりしたが、ミナは余裕で、俺もそこそこ苦労もせずに倒せた。
森の中を慎重に進んでいくが、ミナが大体の気配が分かるのでいきなり囲まれる様なことにはならないだろう。
見回りなのか、たまにうろつくゴブリンを倒しながら奥に進んでいった。
しばらく行くと、川があり奥地と思われる方に進んでいくと湖らしきものがあるのが何となく分かった。
そして、気配も増えきた様だ。
「ショウ、この先に気配がたくさんあります。おそらくそこがそうかと。」
「数は分かる?」
「かなりの数がいると思います。50以上でしょうか。」
「分かった。1度戻ろう。」
慎重に森の入口に向って歩き出す。
ふーむ。結構な数がいるようだな。厳しいのではないだろうか?
「ミナ、どうだろう?二人でいけそうか?」
「囲まれなければ、大丈夫だと思いますが、森の中で囲まれると厳しいかもしれません。」
後でこの辺りの地形を確認してみよう。
ゴブリンに追われたのか犬や兎の魔物が森の入口付近に逃げ込んでいる様だ。
見つけ次第狩っていく。薬草も採取。
ついでのクエストは問題なさそうだ。
ひとまずギルドに戻り情報を整理しよう。