表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
助けた猫と冒険旅行  作者: とうふビール
1/12

生まれ変わり

           1




佐藤 しょう


42歳。


平凡にも届かないしがないサラリーマンだ。


ある日、仔猫を助けた。


塀の隙間に落ちて出られずにいたようだ。


良いことをしたなと思っていたら、自分は事故で死んでしまったようだ。



気がついたら、不思議な場所にいた。


白いような、黒いような、何とも表現出来ない場所。




神様と思われる、シルエットが現れて、言った。


「貴方は、子猫を助けた直後の事故で亡くなりました。予定外の行動だったため、死ぬ筈ではありませんでした。なので生まれ変わる事が出来ます。ただし、同じ世界と言う訳にはいきませんので、別の世界になります。その代わりと言うわけではありませんが、少しサービスをしておきますので頑張って下さい。」




死んだ事は多少ショックだったが、どうせつまらない生活だったんだ。


特に不満は無い。むしろやり直せるなら望むところだな。


「分かりました。お願いします。子猫は無事ですか?」




「…いえ、残念ながら一緒に亡くなりました。」


「そうですか……では、一緒に生まれ変わらせてもらえませんか?」


「もちろん、そのつもりでした。すぐに会えるでしょう。」





知らない、匂いと音が聞こえて気がついた。



周りを見ようと思っても、身体が上手く動かせない。


怪我ではないようだが。



女性が近付いてきて、何か話しかけて来た。


「あ〜、う〜」



うまく喋れないと思っていたら、抱き上げられた。



母親らしい。


どうやら赤ん坊からやり直すようだ。




5歳になった。



父親は、いない。どうやら死んでいるらしい。


この世界は、獣人がいる。他にもエルフやドワーフ等の亜人も暮らしている様だ。



獣人は、奴隷になる事が多いらしく、どこの家にも大体1人いて一緒に暮している。



家にも、今度奴隷を買うらしい。そんな余裕かあるのか不思議だったが、子供だから安いそうだ。それに労働力があるほうが重要とのこと。




その日はすぐに来た。


猫の獣人で女の子だった。初めはおどおどしていたが、俺を見ると安心したようだ。


猫耳だ。かわいい。


自分と同じくらいの子供がいると分かったからだろうか?



「ミナといいます。よろしくおねがいします。」



「よろしくね、ミナ」



簡単に自己紹介を済ます。



奴隷の扱いなど分からないので、友達感覚で良いか。子供だし。


母親もおっとりしていて、子供が一人増えて嬉しい様な感じだし。




「ミナはショウ様と会ったことが有ります。助けていただきました。」


「え?誰かを助けたこと無いけど?」


「覚えてませんか?前世で私は猫でした。塀の隙間から出られなくなって、寂しくて泣いていました。」



あ。覚えている。すぐに会えると神様が言っていたが、猫がいないから忘れていた。


「あの時の子猫か!よく僕だとわかったね。」



話を聞くと、神様が生まれ変わらせてくれる事や、僕にまた会える事を教えてくれたらしい。



で、顔を見たらあの時の人だと何となくわかったらしい。


神様凄い。



僕らはすぐに打ち解けて、ミナの仕事のない時に一緒に遊ぶようになった。





それから更に10年が経っていまは15歳。



この世界での独り立ちの時。


この世界は、魔物がいて、レベルがあって、魔法が使える。



神様のサービスは、レベルアップが早いこと。経験値が普通より多く入るらしい。



サクサクとレベルが上がり村1番の高レベルになっていた。と言っても10レベルだけど。


ミナはすっかり大人の身体付きになっていた。



獣人だからだろうか?引き締まったしなやかな筋肉だけど、女性らしい丸みも備えているがスタイルが良かった。


顔は整っていて、何より胸がでかい。



何より、俺になついていて、いつも近くにいる。少し照れる。



話を戻そう。


独り立ちするのに、この世界を見てみたかった。旅に出るのだ。



母親にはもう話してある。


ミナは、寂しそうにしていた。



「ショウ、気をつけてね。いつでも戻ってきて良いからね。」



「ミナ、今までありがとう。母さんを助けてあげてね。」



「………」


ミナは、うつむいていたが、何かを決意した様にこっちをみる。



「ショウ様についていきたいです。奴隷の身なのはわかっていますが、ショウ様を守るためにそばにいさせてください。奥様にはたくさん良くしてもらい、どんなに感謝しても感謝しきれませんが、この気持ちも止められません。どうかお願いします。」


母親は黙って聞いていたが、やがてニヤニヤと笑うと


「こうなるだろうなと思ってました。普段のミナの態度を見てたら、いつ言い出すのかなー?ってドキドキしてましたよ。」




ミナは真っ赤になってしまった。



「分かりました。ショウをよろしくね、ミナ。それと奴隷も解放するわ。今までありがとう。」


「奥様…。ありがとうございました。」



ミナは、感極まって泣きながらそう言うと、母親と抱き合った。






そんな出発から半日ほど。


行商人の馬車に同乗させてもらい最寄りの町まで送ってもらった。



小さな町だけど、まず何をするべきか?


冒険者のシステムがあるのでまずは登録してこよう。



旅するのにお金も稼がなくてはならないし。


「ミナ、まず冒険者の登録しよう。」


「はい、ショウ様」



「もう、様はいらないよ。奴隷じゃないだろ?」


「…うん、…ショウ」



えへへと照れながら、呼び捨てにするミナ。



可愛すぎだな。よし。頑張って自重しよう。





冒険者ギルドの受付で、登録したい事を伝える。


カード登録に必要なのは、名前と自分の一部。


まぁ髪の毛でいい。



未登録のカードに髪を乗せて、魔力を込めると髪の毛が吸い込まれた。


これで登録完了。レベル10と表示された。



「え?10レベル?」


受付嬢が驚いていた。普通はせいぜい3レベルらしい。村人なら1のままなのがほとんどだそうだ。



ミナもレベル5。


こちらは、獣人ならば普通らしい。



「このレベルならお願いしたいクエストが有りますから、また来てください!」



そう言われて悪い気はしないので、頷いてひとまず宿を探しに行く。



あまり金がないので、やや低めのランクだ。



「お金稼がないといけませんね。後でさっきのクエスト聞きに行きましょう、ショウ様」



様が抜けないが、まぁそのうちなれるだろう。


「そうだな。クエストの準備って何が必要かな?傷薬とか?」



「私もあまり詳しくないですが、そうですね。薬は必要かと。後食料とかでしょうか?」



「低ランクのクエストでも受けてみて、考えてみようか。」


「そうですね。ショウ様武器はどうしますか?」



ああ。村では木の枝とか蹴りとかで倒してたなぁ。スライムとか少し大き目の虫とかだったからなぁ。



ミナもそんな感じだったな。


「ミナはどうするの?」


「私は剣や槍なら普通に使えますし、素手でも問題無いですよ。」



「…獣人凄いね。それともミナが凄いのか?まぁそれなら何とかなりそうだね。どちらにしても買い揃える程のお金無いし、それで行ってみよう。」




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ