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状況への対策会議

今回の件を、俺は女王様とイリアさんに細かく話した。

肩の脱臼やら、ちょっと骨が折れてたりしていた俺だけど

何だかもうなれてきた気がする。これがリョナ系主人公の定めか。

もうエロ要素よりもリョナ要素の方が強いんじゃないかな。


「騎士団長なんて、よっぽどの人望がないと無理でしょうね」

「えぇ、彼女の実力は凄まじかったけどそれだけでは人の上には立てない。

 でも、彼女は騎士団長という役職に就き、最後も抵抗せずに…」


彼女は抵抗を一切しないまま、地下の牢屋に囚われることとなった。

彼女がその気を出せば、手枷も牢屋の柵もあっさり壊せるだろうが

彼女にそんな動きはない。ずっと、地下牢で大人しくしている。

本来ならば処刑だったはずだが、今回の件を知っている兵士達や

女王様の判断もあり、彼女は処刑もされないまま拘束されている。


「処刑を避けたのは実際、正しい判断だと私は思うわよ?」

「…私もそう思うけど、周りはうるさいのよね」


だが、女王様の判断に不満を持つ重鎮はかなり多かった。

士官や秘書などの、高貴なメンバーは全力で嫌がっている。

しかし、騎士達全員は、この判断に賛同をしている。

それだけ彼女の人望が厚かったと言う事だろう。

しっかりとした騎士団長だったんだな。


「ここまでうるさいと、毒殺の可能性だって生じるわ。

 とは言え、彼女もモンスター。毒では死なないでしょうけど」

「私はそんな人柄の奴が暴れるとは思えないけどね。

 強い奴が接触しなければ無害なんでしょ?

 セイナちゃんが接触した結果、怪我しちゃったけど」

「それは名誉の負傷って感じで自分は気にしてません。

 あんなに強い人が強敵と判断してくれたって事は素直に嬉しいです」


うん、強敵と書いて友と読みそうな人だからな。

それなら、強敵と認められるのは名誉な事だろう。

単体ではぶっ飛んだ実力を誇る相手にタイマン挑んで良い勝負が出来たわけだし。

まぁ、実際はほぼ一方的にやられてただけだけど。


「しかし、セイナちゃんが勝てない相手って相当よね」

「地下牢の損傷具合から見ても攻撃力がえげつないのが分かりきってるしね。

 私としては、あれだけの攻撃を2発受けて耐えてるこの子の方が恐いんだけど?」

「結構修羅場は潜ってますから」

「ねーさん、この子は見た目と全然違うんだけど? 恐いんだけど?」

「私が目を付けるほどよ? 見た目が頼りになるわけ無いじゃない」

「そ、それは分かるけどさ…ぶっ飛んでるわ…」


実際、この見た目通りの実力であれば一撃で死んでるし

そもそも彼女が敵対する相手では無いんだよなぁ。


「でも才能は凄いと私は思うわよ? 格闘術は1ヶ月だっけ?」

「はい、鍛えて貰いました」

「元々強かったんでしょうけど、1ヶ月で更に強くなるのは凄いわね。

 まるで男の子よね。男子3日会わずんば刮目してみよ-的な」

「実は俺って結構頑張り屋さんなんですよ」

(どの口が言いますか、アホ)

(すみません)


やはりルアに怒られてしまった…予想はしていたけどな。

でも良いじゃん、こう言う場面で位嘘吐いても。


「頑張り屋さんかはわから無いけどね」

「イリアさんまで…」

「まぁまぁ、頑張り屋さんじゃ無いかも知れないけど格好いいとは思ってるわよ?

 将来ビックになるって思うしね。

 ほら、ランも前までグータラしてる駄目な教え子だったけど今じゃ名君だからね。

 私の目はかなり正確なのよ、だから間違いないわ」

「え? あ、はい」


フォローになるのだろうか? そこはあまり良く分からないが

ハッキリ分かったことは、俺が怠け者だと言う事はバレていたと言う事だ。

その上で、イリアさんは俺を養子にしようとしているのか。


「まぁ、セイナちゃんが将来有望なのは疑う余地がないわけだけど

 と言うか、あなた達メンバーはどう考えても将来有望だけど。

 ひとまず今はその話は置いておいて、毒殺の方ね」

「そうね…今最も近い危険性がそれだからね。

 下手に毒殺なんて仕掛けられたら、彼女が怒る可能性がある。

 そうなれば、牢屋なんてあっさり突破されるだろうし

 そんな事があったとバレれば、最悪騎士達の反乱もあり得るわ。


 それ程にまで、彼女の人望は厚い。そして何より

 人望の差にかなりの差があるというのが大きな問題ね」


共通して全体に人望があれば問題は無いかも知れない。

そうすれば暗殺の危険性など無いのだから。

人望がなければ暗殺があったとしても大した影響はない。


一部に偏った人望があるからこそ厄介な状態とも言える。

とは言え、ああ言うタイプはの人望は偏るのは分かるがな。

男らしい性格。圧倒的な力。絶対的な存在力。

堂々とした立ち振る舞い。曲がることない意思。

こりゃ、男のハートを鷲掴みだね。

異性として掴むわけではながな。


「暗殺を避ける為にどうすれば良いかと考えれば

 まぁ、食事も騎士達に任せるというのが無難かしらね」

「とは言え、人心を掌握する方法は結構あるのが現実。

 金、地位、名誉…」

「その程度の誘惑に負けるなら、そもそもその騎士は騎士団長を尊敬はしてないわね」

「そして何より、家族ね」

「…あぁ、あり得るかも」


家族を人質に取られてしまえば、尊敬している相手でも殺すだろう。

それは仕方ないだろう。そして理由を知れば、彼女はそれを許す。

ちょっとしか会話もしてないし、そこまで戦っても無いけど何となく分かる。


「うーん、面倒事が増えた気がするわね」

「ごめんなさいね、私の失敗よ」


この行動が女王様の心労を増やしてしまったと考えたのか

イリアさんが少し気まずそうに謝罪をした。


「いや、結構有意義だと私は思うけどね。

 何せ、今回の件で人型のモンスターにも友好的な奴が居ると分かった。

 今まではサキュバスしか発見できてなかったけど、これは大きい」


確かに女王様の言うとおり今まではサキュバス程度の話しか聞いてなかった。

しかし、今回の件でサキュバス以外にも友好的なモンスターが居る

と言う事が分かった。これはそれなりに有意義だと思える。


「とは言え、潜伏しているモンスターは敵対立高いでしょうけどね。

 奴隷商に関わっているかも知れないモンスターは間違いなく敵対してる」

「そうね、そっちも探さないといけないしで大変よ…」


本来の目的を見失っていたのか、女王様は少しピクリと反応した後

怠そうに机に肘を突いた。


「あの子、教えてくれないかしら」

「無理だと思います。仲間を売るようなタイプじゃありませんよ」

「よね、今までの話を聞いていたら大体想定できるわね」


騎士道精神というか、ああ言うタイプは拷問されても口は割らないだろう。

心理戦や取引などをしたところで、あいつは確実に仲間を売らない。

可能性があるとすれば…あの2人くらいしかないだろう。




「…また来たの?」

「女王様直々の指令なんでね」

「ふん、前の怪我はどうした? 負け犬め

 あいつが甘かったからお前は生きてるだけで

 お前はただの敗北者だ」

「その敗北者に負けてるくせに、随分と偉そうだね」


ロンのその反論を聞いて、俺はついつい失笑してしまった。

抑えようとしたが、どうも笑いを抑えられなかったからな。

まさか、本当にこんな事を言ってくる奴が居るとは思っていなかった。


「ば、馬鹿にして!」

「いや、つい笑っちまってね、悪気は無かったんだ」

「この!」

「…私達は話さない」

「外の奴らは前に言ってたとおりなんだろ?」

「…あの時、嘘を吐いていたのに信じてるの?」

「……話しているという自覚が無い間は口が軽くなるのは当たり前だろ?

 それが仲間内で会話中であれば。更に、監視が居ないと勘違いしていれば」

「……まさか」

「全部聞いてたんだぜ? お前ら2人の会話」

「はぁ!? ぬ、盗み聞きとか常識無いの!?」

「おいおい、俺達は種が違うんだろ? 同じ常識が通用すると?

 全人類の未来が掛ってるかも知れない場面でお行儀良く出来るわけないだろ?」

「く、クソ!」


もう一度尋問をしないと駄目ってのは結構面倒だな。

とは言え、情報を引っ張り出さない限り手は出せない。

ひとまず、シオさんを通して潜伏しているモンスターの数はマリス達に伝えた。

だが、人数が分かってもどうしようも無いかも知れないが、知らないよりはマシ。

今、俺に出来る事は情報をこいつらから引き出すことかな。


…マリスはどうしてるか、結構気になるな。

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